大麻の合法化と非犯罪化の違いとは?

こんにちは、CANNABIS INSIGHTです。

日本では「違法」か「合法」のふたつしかないように扱われる大麻ですが、それだけではなく「非犯罪化」するというプロセスを取り入れている国や地域が多く存在します。

今回は大麻の「合法化」と「非犯罪化」の違いについて解説していきます。

目次

大麻の合法化

ある行為に対するすべての法的禁止をなくすプロセスです。大麻の場合、タバコやアルコールと同様に、成人が自分の意志で購入して使用できるようになります。

例として、カナダは近年合法化を行っています。
完全に合法で大麻を取り扱っている国はまだまだ少なく、実際にどのような影響があるのかは未知数といえるでしょう。数少ないレポートとしてカナダの「大麻取締法の立法レビュー(Legislative Review of the Cannabis Act: What We Heard Report)」という報告書があります。興味のある方は見てみると、興味深い示唆が得られるかもしれません。

合法化済みの国の例

カナダ

カナダでは、大麻の利用は合法です。カナダにおける大麻は、「大麻法(Cannabis Act)」およびその規制によって規制されています。カナダでは、2018年10月17日に大麻が合法化されました。

ドイツ

ドイツでは、大麻の特定の条件下で利用することは合法です。2024年4月1日から、大麻が合法化されました。

成人(18歳以上)は最大25グラムの大麻を所持し、最大50グラムを自宅に保管することが可能となります。さらに、自宅で最大3本の大麻を栽培することも許可されます。

メリカの一部の州

アメリカでは、大麻は連邦法では違法ですが、州法によっては合法とされる場合があります。

2023年の時点で、38の州が医療目的での大麻を合法化しており、23の州とワシントンD.C.では嗜好用大麻も合法化されています。以下に完全合法化済みの州を色分けし、明示しました。

大麻の非犯罪化

大麻の非犯罪化とは、大麻が違法のままであるにもかかわらず、法制度が一定量以下の所持について個人を起訴しないことを意味します。その代わりに、罰則については幅があり、全く罰則を科さないことから、民事上の罰金、薬物教育、または薬物治療まで多岐にわたります。

例えば、スピード違反を例にすると、たとえ違反をしても、「前科」がつくわけではありませんが、罰金を支払う義務があります。(法律の細かい箇所に関しては若干異なると思いますのでスピード違反はあくまでイメージの参考程度に捉えてください。)

このように、その行為自体が引き続き違法であるものの、犯罪として処罰の対象外とすることを意味します。罰金や刑罰は科されず、代わりに行政処分や軽微な制裁に置き換えられることが一般的です。たとえば、ある国では薬物の非犯罪化が行われ、所持や使用に対しては犯罪としての罰則が科されなくても、罰金やリハビリの勧告などが行われることがあります。

大麻が使えることで有名なオランダも実は合法化しているというわけではなく、ソフトドラッグとして大麻を容認しているという状態です。各種の制限が存在し、犯罪として起訴されることは少なく、ルールを守って利用が可能であるという運用になっています。

非犯罪化済みの国の例

チェコ

チェコ共和国では医療目的での大麻の使用は2013年に合法化されました。

チェコ共和国では大麻に関する法律は比較的寛容で、個人的な使用のために少量の大麻を所持することは違法ではありません。しかし所持量によっては最大15,000チェココルナ(約612米ドル)の罰金が科せられる可能性があります。 2010年に施行された新しい刑法では、大麻と他の薬物を区別し、大麻の使用と栽培に対してより軽い罰則を科しています。2010年に「個人的な使用」の量が、ハッシュは最大5グラム、ハーブ大麻は最大15グラムと定められました。

ブラジル

ブラジルでは2024年6月に個人使用目的での大麻所持が非犯罪化されました。この変更でブラジルは、個人使用目的での大麻所持を非犯罪化した、世界で最も人口の多い国となりました。しかし大麻の嗜好目的での使用自体は合法化されていません。

まとめ

日本では、大麻に関する栽培の法律・麻向法などによって厳しく「違法」なものとして大麻は扱われています。そのため、使用・所持等は許されていません。一方で、大麻の法的な取り扱いには国によってグラデーションがあり、違法であっても黙認される文化圏も存在しています。このような背景は、ある国が今後どのようなジャッジを大麻植物に対して下すのかについてを大きく左右します。ぜひこの観点からもこの業界を巡る情報を観察してみてください。

参考文献

  • Svrakic DM, Lustman PJ, Mallya A, Lynn TA, Finney R, Svrakic NM. Legalization, decriminalization & medicinal use of cannabis: a scientific and public health perspective. Mo Med. 2012 Mar-Apr;109(2):90-8. PMID: 22675784; PMCID: PMC6181739.


※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

Takaomi Akagiのアバター Takaomi Akagi CANNABI INSIGHT代表/編集長

CANNABIS INSIGHT 編集長。2022年にメディアを立ち上げ、国内外のCBD・大麻産業を政治、経済、ビジネスという観点から取材・分析。日本国内のCBD市場調査レポート『CBD白書』の編集発行をはじめ、年間ニュースを俯瞰する企画『大麻・CBDニュース総選挙』を主宰・運営。CBDジャーニー、カナコン等の業界カンファレンスやコミュニティでの登壇・モデレーション、事業者向けの寄稿・解説を通じ、大麻・CBDについての社会的意義や経済可能性を調査しています。

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