カンナビス・サティバL.とカンナビス・インディカL.の違い

カンナビス属の植物は、主に「サティバ」と「インディカ」という2つのタイプに分けられ、それぞれが異なる形態や効果を持つことで知られています。これらの違いは、背丈や葉の形状、効果の特性に現れますが、分類学的には両者の区別が議論の対象です。本記事では、これらの特徴について解説します。

カンナビス属の植物分類

マリファナの代表的な種類として、C. sativa subsp. sativa(サティバ)・C. sativa subsp. indica(インディカ)が知られており、それぞれ異なる特性を持っています。

カンナビス属の植物分類
Line drawing adapted from Anderson (1980), courtesy of the Harvard University Herbaria and Botany Libraries.

カンナビス・サティバL.の特徴

カンナビス・サティバL.は一般的に以下のような特徴を持っています。

  • 背が高く、細長い葉
    サティバは背が高く成長し、葉は細長い形状をしています。

  • 開花が遅い
    他のカンナビス種と比べて、開花時期が遅い傾向があります。

  • 精神的効果
    サティバは高揚感や多幸感をもたらし、創造性や社交性を高める効果があると言われています。日中の使用に適しているとされることが多いです。

カンナビス・インディカL.の特徴

一方、カンナビス・インディカL.は以下のような特徴を持っています。

  • 背が低く、幅広い葉
    インディカは背が低く、葉は幅広い形状をしています。

  • 開花が早い
    インディカはサティバに比べて開花時期が早いです。

  • リラックス効果
    インディカは鎮静作用やリラックス効果があり、痛みや不安を和らげる効果があるとされています。夜間やリラックスしたい時に使用されることが多いです。

カンナビノイドとテルペンの違い

サティバとインディカの効果の違いは、含まれるカンナビノイドテルペンの組成の違いによるものです。サティバはTHCの含有量が多い傾向にあり、インディカはCBD(カンナビジオール)の割合が比較的高いことが多いです。また、それぞれの品種によってテルペンの構成も異なり、これが特有の香りや効果に影響を与えます。

サティバとインディカの分類学的な議論

カンナビス・サティバとカンナビス・インディカは、分類学上の議論が続いており、別々の種とするか、あるいはカンナビス・サティバの亜種とするかで意見が分かれています。DNAバーコード分析によれば、両者の遺伝的な差異は亜種または品種レベルの植物の平均的な差異とほぼ同じであり、亜種として扱う方が適切であるという結論が導かれています。

要するにカンナビス・サティバとカンナビス・インディカは、見た目や効果の違いはあるけれど、遺伝子レベルではそこまで大きな違いはなく、同じ種の亜種として扱うのが妥当という意味です。

遺伝子バーコード:生物の特定の遺伝子の塩基配列。特定の遺伝子に着目してその塩基配列(DNA バーコードとよばれる)を分析すれば、予め作成しておいたデータベースに照合することで、その生物種を特定することが可能。

サティバとインディカの交配

現代の大麻栽培では、サティバインディカの交配が進んでおり、それぞれの特徴を併せ持つハイブリッド品種が数多く存在します。そのため、サティバとインディカの区別は必ずしも明確ではなく、品種ごとにTHCやCBDの比率が異なるため、使用目的や効果も多岐にわたります。

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結論

カンナビス・サティバL.とカンナビス・インディカL.は、一般的にはそれぞれ異なる特徴を持つカンナビス種として認識されていますが、DNA解析や現代の品種改良の結果、両者の区別は曖昧になってきています。

「サティバ」と「インディカ」という名称は、伝統的な特徴に基づいた俗語として用いられることが多いですが、正式な分類学的な違いはそこまで大きくないことがわかっています。

参考文献

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  3. Phupaboon, S., Matra, M., Prommachart, R., Totakul, P., Supapong, C., & Wanapat, M. (2022). Extraction, characterization, and chitosan microencapsulation of bioactive compounds from cannabis sativa L., cannabis indica L., and Mitragyna Speiosa K. Antioxidants, 11(11), 2103.
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※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
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編集者

Takaomi Akagiのアバター Takaomi Akagi CANNABI INSIGHT代表/編集長

CANNABIS INSIGHT 編集長。2022年にメディアを立ち上げ、国内外のCBD・大麻産業を政治、経済、ビジネスという観点から取材・分析。日本国内のCBD市場調査レポート『CBD白書』の編集発行をはじめ、年間ニュースを俯瞰する企画『大麻・CBDニュース総選挙』を主宰・運営。CBDジャーニー、カナコン等の業界カンファレンスやコミュニティでの登壇・モデレーション、事業者向けの寄稿・解説を通じ、大麻・CBDについての社会的意義や経済可能性を調査しています。

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