今回はペット用CBDに関する情報をまとめてみました。CBDはカンナビジオール(Cannabidiol)の略で、大麻植物から抽出される非精神活性化合物です。ペット、特に犬と猫におけるそのメリット、リスク、合法性、および関連する研究を詳しく見ていきます。
本記事に日本国内での違法行為を幇助する目的はありません。あくまで学習や調査の参考情報としてご活用ください。またペットのCBDの健康に関する使用につきましては、専門的なアドバイスを受けた上での使用が推奨されます。

ペットCBDの効果・種類について
CBDを人間以外の動物に使用してもエンドカンナビノイドシステムと相互作用し、痛み、不安、炎症などの生理学的バランスを調整する可能性があります。American Kennel Clubによると、正式な犬への効果に関する研究はまだ限られていますが、ヒトや他の動物の研究から有望な結果が示唆されています。

犬用CBD
CBDは犬の疼痛管理、てんかん、不安障害、皮膚疾患などに対して有望な治療効果を示す可能性があります。神経保護、抗炎症、抗がん作用も期待され、エンドカンナビノイドシステムと相互作用することで効果を発揮すると考えられています。
しかし、消化管吸収が低く、薬物動態は投与経路や犬の個体差(品種、年齢、性別)によって大きく変動します。臨床試験では関節痛の緩和や癲癇発作の減少が報告されていますが、急性術後疼痛や恐怖反応に対する効果は不明です。副作用は一般的に軽度で、消化器症状や嗜眠が見られることがありますが、長期投与によるALP(アルカリホスファターゼ)上昇も報告されています。研究結果にはばらつきがあり、投与量や製剤の違いなどが影響している可能性があるため、さらなる研究が必要です。
猫用CBD
猫に対するCBDの研究は少なく、安全性や薬物動態についての情報は限定的です。研究によると、猫は犬よりCBDの血中濃度が低く、吸収率も低いことが判明しています。また、猫はCBDに対する耐性が低く、頭を振る、舐めるなどの副作用が犬より多く報告されています。
特にMCTオイル製剤では下痢の発生率が増加し、高用量では嗜眠や低体温などの軽度の副作用も確認されています。一方で、猫は犬よりTHCへの耐性が高い可能性が示唆されており、CBDとTHCの混合物に関する研究が今後の課題となります。現時点では、猫に対するCBDの安全性や有効性を判断するにはさらなる長期的な研究が必要であり、科学的データは限られています。
CBDペットフード
ペットに与えるCBDの形態としては、調査した範囲ではオイルがもっとも一般的に国内では販売されているようです。
CBDペット製品は、液体、固体、外用の3つの形態に分類されます。
液体形態には、オイル、口腔スプレーなどがあります。オイルは摂取の精度が高く、ティンクチャーはアルコールベースで投与が容易です。口腔スプレーは粘膜から吸収されます。固体形態には、おやつ、チュー(噛むおやつ状のもの)、カプセル、タブレットがあり、特におやつやチューは味付きでペットに与えやすく、カプセルやタブレットは正確な投与が可能です。外用形態にはクリーム、ローションなどがあります。
リスクと副作用
いくつかの副作用が報告されています。以下に、調査で確認された副作用を詳細にまとめます。:
副作用 | 詳細 |
---|---|
食欲増加 | 最も一般的な報告で、Cornell Universityノサイトでも確認。 |
鎮静(眠気) | 高用量で特に見られ、初期の投与時に顕著。 |
ドライマウス | CBD は唾液の分泌を減少させる可能性があることがわかっています。犬の場合、これは喉の渇きの増加として現れます。 |
下痢と嘔吐 | まれですが、過剰摂取や個体差で発生。AKCによると、数週間の使用後に見られることがあります。 |
肝酵素の変化 | 特にアルカリフォスファターゼ(ALP)の増加が報告されている。 |
アレルギー反応 | まれですが、ヘンプ由来の成分に対するアレルギーが可能で、腫れやかゆみが見られる場合がある。 |
これらのリスクを最小限に抑えるため、獣医師と相談し、ペットの現在の健康状態と薬のリストを確認することが重要です。
信頼できるCBD製品の選択
ペットにCBD製品を使用するにあたってCBD製品の品質は重要です。コーネル大学の研究では、29のペット用CBD製品を評価し、4製品に重金属汚染が見られ、2製品にはカンナビノイドが含まれていなかったことが明らかになりました。また、残りの製品のうち、10製品のみがラベル表示の総カンナビノイド濃度から10%以内の範囲でした。
このため、正しい商品を選ぶために以下の点に注意する必要があります:
- 第三者機関によるラボテスト:製品の純度と効力を保証する第三者機関のテスト結果を確認してください。
- 由来:ヘンプ由来のCBDを選び、栽培方法が明確であることを確認してください。
- 形態:ペットのニーズに合った形態(チンキ剤、おやつなど)を選択してください。
日本でのペット用CBDを使用するのは合法なのか?
日本では、THCが法律の規制下にありますが、CBD製品はTHCが基準値未満であれば合法です。この規制により、ペット用CBD製品も同様に適用されます。
購入する際は、THC含有量を確認し、合法的な製品を選ぶことが重要です。


まとめ
ペット用CBDは、不安、痛み、発作、皮膚条件の管理に有望な選択肢ですが、品質管理と獣医師の指導が不可欠です。日本では合法的な製品を選ぶことで使用可能です。現在の証拠はまだ限定的であり、さらなる研究が進行中であることを理解することが重要です。
参考文献
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- 犬用CBDオイル
- CBD: What you need to know about its uses and efficacy
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- Will My Pet Experience Side Effects with Pet CBD Oil? Here’s What You Need to Know
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