【CBD事業者向け】CBD製品を含む大麻由来製品の新規制について解説

大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部改正に伴い、令和6年12月12日から新たな規制が施行されます。この改正は、CBD製品を含む大麻由来製品の製造・販売に大きな影響を与えるものです。本記事では、新規制の要点と、CBD事業者の皆様が特に注意すべき点をご説明いたします。

目次

Δ9-THC許容量の新基準

引用:麻薬、麻薬原料植物、向精神薬、麻薬向精神薬原料等を指定する政令第2条の解釈と具体例

新規制の核心は、製品中のΔ9-THC(テトラヒドロカンナビノール)含有量に関する新たな基準です。製品の形態によって、以下のように許容量が定められました。

  • 油脂(常温で液体のもの)及び粉末:10ppm(百万分中十分)
  • 水溶液:0.1ppm(一億分中十分)
  • その他の形態:1ppm(百万分中一分)

これらの基準は、濫用による保健衛生上の危害が発生しない量として設定されています。CBD製品の製造・販売を行う事業者の皆様は、自社製品がこの基準を遵守しているか、早急に確認する必要があります。

製品区分の判断基準

製品のΔ9-THC許容量は、その形態によって異なります。そのため、自社製品がどの区分に該当するかを正確に判断することが極めて重要です。以下に、各区分の定義と代表的な製品例を示します:

a) 油脂(常温で液体のもの)及び粉末(10ppm) 定義

• グリセリンと脂肪酸が結合した化合物を90%以上含む
• 常温(15~25℃)で液体である
• 日本薬局方における粗末以下の粒度の粉末
製品例:CBDオイル(オイル入りカプセル含む)、ヘンプシードオイル、CBDパウダー

b) 水溶液(0.1 ppm) 定義

• 水に物質を溶解または分散させた液体
• 粘度が100mPa・s未満
• グリセリンと脂肪酸が結合した化合物の含有率が10.0%未満
製品例:CBD入り飲料、CBD配合化粧水

c) その他(1 ppm) 定義

上記以外の全ての製品
製品例:CBD含有菓子、錠剤、バーム/クリーム、電子タバコ用液体

製品管理上の重要ポイント

新規制に適合するため、以下の点に特に注意が必要です:

常温基準

全ての製品は、常温(15~25℃)における状態で区分を判断します。
例えば、冷凍状態で販売される製品でも、常温で液体になる場合は液体として扱います。

分離可能製品の扱い

カプセルやシート状化粧品など、製品の一部が容易に分離できる場合、その内容物や液体部分で判断します。

数値の取り扱い

油脂判定や粘度測定では一の位を、グリセリンと脂肪酸結合化合物の含有率は小数点第一位を四捨五入します。

CBD事業者が注意する点

製品の再確認:
現在販売中または開発中の全製品について、新基準に基づいて再度確認を行ってください。

分析体制の整備:
ppmレベルのΔ9-THC濃度を正確に測定できる分析体制を整えることが重要です。

製造プロセスの見直し:
必要に応じて、Δ9-THC含有量を低減するための製造プロセスの見直しや改善を検討してください。

表示の確認:
製品表示が新規制に適合しているか確認し、必要に応じて更新してください。

仮に基準値を突破したとしても仕入れや検査、管理体制など大きな変更を求められる企業が多くなると考えられます。また、併せてそれらの維持コストが増加する可能性があります。

令和6年12月12日から施行される新規制は、日本国内のCBD産業に大きな変化を与える可能性が大きくあり、CBD事業者は直ちに対策を練る必要があります。理論上では検査方法によっては基準値はクリアするかもしれませんが、管理体制の強化やそれに伴って検査や原料仕入れのコストが上がることから実際にビジネスを行うことが困難になる企業も増えるかもしれません。日本国内でCBD事業を行う以上は規制遵守になることからCBD事業者は慎重な経営判断が求められます。

参考資料

麻薬、麻薬原料植物、向精神薬、麻薬向精神薬原料等を指定する政令第2条の解釈と具体例

大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の成立について

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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