カンナビス(cannabis)、ウィード(weed)、マリファナ(marijuana)といったように大麻植物(Cannabis sativa L.)にはさまざまな呼び名があり、今回はこれらの用語の違いについてまとめてみました。
大麻植物の用語の違い
これらの用語は文脈によって使い分けられますが、基本的には同じ大麻植物を指しています。法的・医療的な文脈では正式名称である「大麻」や「カンナビス」が使用されることが多いです。
カンナビス (cannabis)
カンナビス (cannabis)は大麻植物(Cannabis sativa L.)の学名であり、総称として使用されます。例えば医療用大麻は「メディカル・カンナビス」、嗜好用大麻は「レクリエーショナル・カンナビス」のように使われます。
参考文献によると「Cannabis」という言葉は、1798年に「麻」として使用され、ギリシャ語に由来し、多くの言語と共通の語源を持つとされます。例えば、アルメニア語の「kanap’」、アルバニア語の「kanep」などです。THC由来の酩酊作用に関しては1848年から記録されているそうです。
英語での発音が「カナビス」になることから「カナビス」と「カンナビス」どちらでも使用する場合があります。
参考文献:語源辞典「etymonline」
マリファナ (marijuana)
マリファナ (marijuana)は大麻草の乾燥した花や葉を指す一般的な俗称です。
1918年に、酩酊目的で使用されるCannabis sativaの製品が「marijuana(マリファナ)」と呼ばれるようになったそうです。「Marijuana」という名称は、1918年にスペイン語の「Maria Juana」から影響を受けて名付けられ、元々の語源は不明ですが、メキシコ起源の言葉ではないとされています。
参考文献:語源辞典「etymonline」
ウィード (weed)
ウィード (weed)はマリファナの英語圏での俗称の一つです。雑草(Weed)から派生して使われている用語だと考えられます。
「タバコ」の意味は1600年頃、「マリファナ」の意味は1920年代から付加されて使用されているとされます。
参考文献:語源辞典「etymonline」
ガンジャ (ganja):
マリファナの別称の一つです。インドでは、花穂から製造される比較的強い効果のある大麻製品をガンジャと呼びます。英語では1800年代から使用があるとされます。
参考文献:語源辞典「etymonline」
大麻
日本語で Cannabis sativa 植物全体を指す一般的な用語です。
THC含有量による区分
ヘンプ(hemp)
THC含有量が0.3%未満の大麻品種を指します。
カンナビス(cannabis)
THC含有量が0.3%以上の大麻品種を指します。
カンアビス・マリファナ・ガンジャで最も使われているのは?

このグラフは、Google Books Ngram Viewerを使用して「Cannabis」「Marijuana」「Ganja」という3つの語の使用頻度を、1940年から現在までの書籍で比較したものです。現在ではCannabisが、英語の書籍ではもっとも登場頻度が高いことが伺えます。
以下、各語のトレンドについて説明します。
「Cannabis」
増加傾向:1960年代中頃から急激に増加しています。1980年代には若干減少しますが、その後再び上昇し、2000年代後半から急激に使用頻度が増加しています。2020年代に入ってもこの増加傾向が続いています。
考察:大麻の医学的、合法化に関連する議論の活発化や、近年の大麻合法化の動きが影響している可能性があります。
「Marijuana」
ピーク:こちらも1960年代中頃から使用が急増し、1970年代に小さなピークに達しています。ただし、1980年代には「Cannabis」より高い使用頻度を維持しています。2000年代以降も使用が高い水準で推移しているものの、2000年代に若干の減少が見られます。
考察:「Marijuana」はカジュアルな表現として使用される一方、「Cannabis」は医学的または正式な場面で使用されることが多い傾向が反映されている可能性があります。
「Ganja」
低い使用頻度:この語は全体的に他の2つの語と比べて使用頻度が非常に低く、ほとんど変動がありません。
考察:「Ganja」は特定の地域や文化圏、また隠語的な使用に限られているため、一般書籍ではあまり使われていないと考えられます。
全体的な傾向
1960年代から1970年代にかけて、これらの言葉の使用が大きく増加したのは、大麻に関する文化的な変化、特にヒッピー文化や反戦運動などが影響している可能性があります。
2000年代以降の再増加は、大麻の合法化に関する議論や研究の増加を反映していると考えられます。
このように、特定の時代背景や社会的動向がこれらの語の使用頻度に強く影響していることがわかります。
編集長の考察・まとめ
marijuana、cannabis(カナビス、カンナビス)の使い分けについて、私はよりパブリックに近い場であれば「cannabis」を使う方がいいと考えています。海外のニュースやメディアは「cannabis」を使ってる方が多く感じますし、「marijuana」や「weed」は俗語に近いイメージがあります。もちろん、コミュニケーションを取る方との関係性や「marijuana」や「weed」を使った方が伝わる場面もあるのでケースバイケースですが、私たちCANNABIS INSIGHTは極力「cannabis」を使うようにしています。大麻には様々な呼び方があり、扱いや理解が難しい場面がしばしあるかと思いますが、それも興味深い文化の一つとして捉えていただいて場面に合わせた使い方をするのがいいのかもしれません。
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