テルペンとは? 大麻の香りを決める化合物群

ここの記事では大麻植物において重要な要素であるテルペンについて解説します。そもそもテルペンとはなんなのか?というところから説明していますので、ぜひご興味のある方は読んでみてください。

目次

「テルペン」とは?

大麻の香りは、テルペンという揮発性化合物によって作られます。テルペンは植物が外敵から身を守ったり、受粉者を引き寄せるために生成されます。大麻には多くのテルペンが含まれ、その組み合わせによって品種ごとに異なる香りや風味が生まれます。

また大麻だけがテルペンを持つのでは無く、多くの植物を含む生物がテルペンを生成しています。つまりテルペンとは化合物のカテゴリー名になります。

テルペンとは、イソプレンを基本単位とする炭化水素で、植物や昆虫、菌類、細菌などによって生成される生体物質です。炭素10個の構造を持つ化合物群にこの名称が付けられ、炭素10個を基準にカテゴライズされています。

イソプレン:
化学式C5H8で表される有機化合物です。正式名称は2-メチル-1,3-ブタジエンで、分子構造は以下の特徴を持ちます:
・5つの炭素原子と8つの水素原子で構成されています。
・2つの二重結合を含む不飽和炭化水素です。
・メチル基(-CH3)が1つ付いた構造をしています。

抗菌、殺虫、雑草防除剤としての可能性について広く研究されており、 受粉媒介者や散布者など、害虫の天敵や有益な昆虫を誘引します。現在、50,000種類以上が知られています。

大麻におけるテルペンの組成は、品種や栽培環境、収穫時期によって変わるため、同じ品種でも異なる香りになることがあります。香りは品種の個性を表し、その品質や効果を判断する重要な要素となっています。

大麻に含まれるテルペンの例

テルペン名

香りの特徴

主な特性

作用

α-ピネン

松の香り

アセチルコリンエステラーゼを阻害し、記憶力を助ける

認知機能の向上、抗菌、防腐作用

β-ピネン

松の香り

α-ピネンと同様、記憶力を助ける効果がある

認知機能の向上、抗菌、防腐作用

β-ミルセン

ムスク、ホップの香り

鎮痛効果を高め、「ソファロック」効果をもたらす可能性がある。抗酸化、抗発がん作用あり

鎮痛、リラックス、抗酸化

リモネン

柑橘系の香り

セロトニンとドーパミンを増加させ、抗不安作用をサポート

抗不安、抗ストレス、鎮静作用

リナロール

花の香り

不安軽減効果

リラックス、抗不安

β-カリオフィレン

スパイス(コショウ)の香り

CB2受容体のアゴニストとして作用し、抗炎症作用や抗菌作用、胃保護作用など多数の効果あり

抗炎症、抗菌、鎮痛、抗発がん

カリオフィレンオキシド

レモンバームの香り

抗真菌作用、殺虫作用

抗真菌、殺虫作用

(具体例)α-ピネンの詳細

ひとつの具体例としてα-ピネンを紹介します。α-ピネンは、カンナビスに含まれる主要なモノテルペンの1つであり、松のような香りの特徴があります。記憶力を助ける効果や、THC中毒による認知機能障害を最小限に抑える効果があるとされています。また、防腐作用も持ちます。

α-ピネンの効果:

  • 記憶力の向上

  • THC中毒による認知機能障害の抑制

  • 防腐作用

α-ピネンは、β-ピネンとともに、カンナビスの香りと薬効に貢献する重要なテルペンです。

参考文献

  • Ninkuu V, Zhang L, Yan J, Fu Z, Yang T, Zeng H. Biochemistry of Terpenes and Recent Advances in Plant Protection. Int J Mol Sci. 2021 May 27;22(11):5710. doi: 10.3390/ijms22115710. PMID: 34071919; PMCID: PMC8199371.

  • Sommano SR, Chittasupho C, Ruksiriwanich W, Jantrawut P. The Cannabis Terpenes. Molecules. 2020 Dec 8;25(24):5792. doi: 10.3390/molecules25245792. PMID: 33302574; PMCID: PMC7763918.

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

目次