THCとは? 嗜好品・医薬品にも使われる大麻成分を詳しく解説

thcとは?

本記事は日本国内での違法行為を幇助する目的はありません。学習や調査の参考情報としてご活用ください。THCは麻薬及び向精神薬取締法等の大麻関連法で厳しく規制されています。

こんにちは。CANNABIS INSIGHTです。今回は大麻の主要成分であり、幻覚を引き起こす原因とされる「THC」について調査した結果をまとめました。

目次

THC(テトラヒドロカンナビノール) の概要

THCは、大麻草に含まれる主要な精神活性物質であるデルタ-9-テトラヒドロカンナビノールの略称です。

医療用途があり、米国食品医薬品局(FDA)はドロナビノールを含むマリノールとシンドロス、およびナビロン(THCに類似した合成物質)を含むセサメットを特定の症状の治療薬として承認しています。

また合法化・非犯罪化済みの国(カナダ、ドイツ等)では精神活性化作用を楽しむための嗜好品として大麻を利用する方も多くいらっしゃいます。

▼ THC(デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール)の化学式

大麻が合法化されている国

THC(テトラヒドロカンナビノール)の作用

メリット

主に中枢神経系に存在するカンナビノイド受容体CB1との結合を介して効果を発現します。吐き気の軽減・食欲増進・痛みの緩和などの効果が生まれ、医療分野では化学療法による副作用の管理やAIDS患者の食欲不振の治療に用いられており、閉塞性睡眠時無呼吸症の潜在的治療薬としても注目されています。

世界で有名なTHCを含有する薬、つまり医療用大麻として使われるものはいくつかあり、例えばサティベックスやマリノールがあります。マリノールは合成デルタ-9-テトラヒドロカンナビノールを含有するカプセル剤です。 中枢神経系に作用し、食欲増進、吐き気・嘔吐の抑制などの効果があります。

マリノールは、1985年に、抗がん剤治療に伴う難治性の吐き気・嘔吐を適応としてFDA(米国食品医薬品局)の承認を得ました。 1992年には、AIDSによる体重減少を伴う食欲低下にも適応が拡大されています。

デメリット

しかし、医療的な側面において、THCの使用には他の作用も伴います。精神的な影響や、鎮静、錯乱、頭痛などの身体的な症状が報告されています。まれに発作を引き起こす可能性もあります。

長期使用にもリスクがあります。カンナビノイド過剰症候群や無気力症候群の発症、さらには精神疾患のリスク上昇が懸念されています。特に妊娠中や授乳中の女性は避けるべきであり、高齢者への投与には特別な配慮が求められます。また、依存や誤用のリスクがあるため、使用中は運転や重機操作を控えるなどの対策が必要です。

THCには医療的な利点がある一方で、潜在的に注意しなければいけない点も存在します。そのため、医療目的での使用は必ず医師の指示のもとで行うべきであり、一般的な使用(嗜好用大麻としての使用)については、法的・健康的な観点から慎重に判断する必要があります。

THCとCBDの違いは?

CBD(カンナビジオール)は、大麻由来の成分の一つですが、THC(テトラヒドロカンナビノール)とは異なり、精神活性化作用がなく「ハイ」にならない点が大きな特徴です。医療や健康分野でも注目されており、特に米国では、CBDがてんかん治療薬(Epidiolex)としてFDAに承認された実績があり、世界的にもTHCに続き研究が進められてる成分です。

THCとの大きな違いは、「精神活性化作用の有無」と「合法性」です。THCは精神活性作用があり、多くの国で厳しく規制されていますが、CBDは一般的に規制が緩やかで、医療や健康目的での利用が進んでいます。ただし、国や地域によって法律が異なるため、利用前には最新の規制を確認することが重要です。

CBDの持つポテンシャルや市場の成長性は、大麻業界全体の未来を占う上でも注目されるポイントです。THCの規制や合法化の議論とあわせて、CBDの現状と今後の動向にも注目していきましょう。

日本での規制 大麻に関する法改正について

日本では麻薬及び向精神薬取締法において、Δ9-THCそのものを規制しています。

2024年12月12日から、大麻に関する新しい法律が一部施行されました。この法改正の主なポイントは以下の通りです:

  1. 大麻の不正使用が禁止され、罰則の対象になります(使用罪の設置)。
  2. CBD製品等の中のΔ9-THC(テトラヒドロカンナビノール)の量に制限が設けられます。制限値は製品の種類によって異なります: 液体の油脂や粉末:0.001% 水溶液:0.00001% その他の製品:0.0001%
  3. これらの制限値を超えるΔ9-THCを含む製品は「麻薬」とみなされ、規制の対象となります。
  4. 制限値以下の製品は規制対象外です。

もし現在、THCを含む製品(CBD製品等)を所持しており、制限値を超える可能性がある場合は、適切に処分しなければなりません。製品に関する具体的な質問は、製造元や販売元にお問い合わせください。なお、難治性てんかんの患者については、大麻草由来成分を含む製品の継続使用に関する臨床研究が予定されています。

この法改正についての詳細は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。

参考文献

  1. National Center for Biotechnology Information (2024). PubChem Compound Summary for CID 16078, Dronabinol. Retrieved October 4, 2024 from
  2. Tetrahydrocannabinol (THC)
  3. 令和6年12月12日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます
  4. 大麻取締法等の施行状況と課題について

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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