CBD(カンナビジオール)は世界中で注目を集める一方、アジアの一部の国々では厳しい規制下にあります。本記事では、香港、中国、韓国、ドバイ(アラブ首長国連邦)、シンガポール、タイにおけるCBD規制の最新動向を詳しく解説します。各国の法律、罰則、そして規制の背景について深く掘り下げていきます。
2025/02/06更新
アジア圏を中心にCBDが違法な国がある
参考記事内にある図ではCBDが規制されている国々がまとめられています。緑=合法、赤色=違法、黄色=不明瞭な箇所あり、青色=合法化施策を進行中、と各国のCBD規制の現状が区分されています。
日本、カナダ、アメリカをはじめ、ヨーロッパ各国、オーストラリアなどの先進国を中心にCBDが合法化されている傾向があります。逆に、中国やシンガポール、アフリカ地域ではCBDを違法成分として規制しています。
世界的に大麻・CBDのトレンドがうまれつつあると言っても、先進国を中心に一部の国々がCBDを合法化しているだけで、アジアやアフリカ地域ではまだまだCBDの規制整備が進んでいないことがわかります。
また、図を見て分かるように西洋と東洋でCBDの規制状況が大きく異なっています。このことから国民性、医療、歴史、文化が大麻・CBD規制に大きく影響するのではないかと考えます。当たり前と言えばそうかもしれませんが、これらの影響は大麻・CBDの規制を根深いものにしていると思います。
そして、東洋の中でもアジア圏は麻との歴史が深いにも関わらず、規制傾向が強い傾向が出ていることが私の興味をそそる問いになっています。ドラッグ、医療、歴史(戦争など)などと様々な観点から考察しなければならないのでCBDの規制だけでこれらの現象を理解するのは難しいとは思いますが、何か理由があると考えます。読者の中でアジア圏ではなぜ大麻が広まらないのかについて詳しい方がいましたら教えていただきたいです。
とりあえず、上記の図からはCBDが規制されている国は多くあり、一概に日本だけが「ダメ。ゼッタイ。」ではないということです。大麻・CBDに寛容だから良い、悪いはないと思いますが、想像しているより日本はCBDに寛容的なのかもしれません。
CBDが違法な国を知ろう!
ここからはCBDを違法にしている国の規制内容やトレンドをご紹介していきます。大麻の合法化のニュースだけではなく、CBD規制を行っている国々を見ることで興味深い気づきがあるかもしれません。
香港:CBD禁止へ舵を切る
香港では2023年2月からCBDを禁止し、ヘロインやコカインを含む薬物リストにCBDを追加しました。この動きは、世界的なCBD合法化の流れに逆行するものとして注目を集めています。
香港政府の主張によれば、CBDには直接の精神作用がないものの、分解されてTHCに変換される可能性があり、結果として精神作用を生み出す懸念があるとしています。この理由から、香港政府はCBDを規制薬物リストに加えることを決定しました。
規制違反に対する刑罰は非常に厳しく設定されています:
– CBD密売・製造: 最高で無期懲役、500万香港ドルの罰金
– CBD所持・消費: 最高で7年の禁固刑、100万香港ドルの罰金
香港政府は、CBD規制強化によってドラッグ全体の取り締まりを強化しようとしています。この動きは、アジア地域におけるドラッグ政策の厳格化傾向を象徴するものといえるでしょう。

中国:CBD違法化と特区での産業育成
中国では現在、CBDを違法物質に指定し、国内でのCBD利用を禁止しています。この規制は2021年に国家医療品監督管理局(NMPA)が違法物質リストを公開したことで本格化しました。
規制強化の背景には、主に二つの要因があります。一つは青少年の薬物教育への悪影響への懸念、もう一つは生産から輸入までの管理リスクです。特にCBD化粧品に関しては、2021年の規制強化により、それまで合法的に販売されていた1700件のCBD化粧品が一斉に検挙対象となり、中国のCBD市場に大きな打撃を与えました。
しかし、中国の麻政策は完全な禁止ではありません。麻を栽培し、繊維や漢方薬として取り扱ってきた歴史を踏まえ、特区を設けて麻の栽培を許可しています。これらの特区では、CBD規制の整備や栽培管理なども行われており、将来的な規制緩和の可能性も示唆しています。
大麻関連の刑罰は非常に厳しく設定されています:
– 大麻使用: 15日間の拘留と325米ドルの罰金
– 大麻所持・栽培・製造: 最悪の場合、死刑の可能性もある
このように、中国ではCBDが禁止され、大麻関連の刑罰も重いですが、同時に特区を設けてヘンプ産業のための栽培や管理を行うという複雑な状況にあります。

韓国:医療用CBDのみ許可
韓国では、CBD製品に関する厳しい法律が施行されており、医療用処方箋がある場合のみ使用が許可されています。これは日本のような健康食品区分でのCBD製品利用とは大きく異なる点です。
韓国で利用可能なCBD医薬品には、Sativex、Epidiolex、Marinol、Cesametなどがあります。これらの医薬品を入手するには、専門医に相談の上、申請書を提出し承認を得る必要があります。
CBD関連法規に違反した場合の刑罰は厳しく、5年以下の懲役または9万〜10万ドルの罰金が科せられる可能性があります。
興味深いことに、韓国と日本は麻の歴史において類似点が多くあります。1976年に韓国の朴正煕大統領が「大麻取締法」を導入するまで、麻は機織り、衣類、網、ロープ、薬などに広く利用されていました。また、ヒッピー文化の影響を受け、アーティストや音楽家の間で大麻使用のムーブメントが起こったこともありました。
現在は法律の影響で厳しく取り締まられているCBDですが、日本やアメリカの影響から、将来的にはより多くのCBD製品がオンラインで購入できるようになる可能性もあります。

ドバイ:厳格なCBD規制
ドバイを含むアラブ首長国連邦(UAE)では、CBDの使用が厳しく禁止されています。UAEは大麻全般に対して非常に厳格な規制を設けており、CBDもその例外ではありません。
大麻やCBDの所持が発覚した場合(体内に存在する場合も含む)、重い懲役刑と高額な罰金が科せられる可能性があります。具体的な刑罰は以下の通りです:
– 初犯: 3ヶ月の懲役、または2万〜10万DH(5,445〜27,225ドル)の罰金
– 2回目以降: 6ヶ月以上の懲役または3万〜10万DHの罰金
ドバイのCBD規制の厳しさを物語るエピソードとして、CBDベイプを所持・使用したイギリス人が懲役25年の刑に処されたという事件が有名です。また、微量のCBDで逮捕されるケースが多いため、外国人受刑者を支援する団体も存在します。
UAEは酒類や婚姻関係などにも厳しい法律を持つ国であり、日本の文化とは大きく異なる点が多くあります。ドバイに移住や旅行を考えている日本人は、大麻やCBDに関する法律が極めて厳格であることを十分に理解しておく必要があります。

シンガポール:CBD全面禁止の厳しい姿勢
シンガポールでは、薬物乱用防止法(MDA)に基づき、CBDは規制薬物に指定されています。そのため、シンガポール国内でのCBDの使用、所持、密売、輸出入はすべて禁止されています。さらに特筆すべきは、シンガポール国民が海外でCBDを使用したことが判明した場合でも、刑罰の対象となる点です。
シンガポール政府の公式文書によれば、精神活性作用の強い大麻を規制薬物とし、微量でも「THC」が検出される可能性があるカンナビノイドはすべて禁止対象としています。この厳格な姿勢は、日本の「THC」規制強化の動きに似ています。
シンガポールの薬物政策の厳しさは、国民にも深く浸透しています。例えば、数ヶ月前にシンガポールの水泳オリンピック選手が大麻を使用したことが明らかになった際は、厳しい処罰とともに国民からも多くの批判の声が上がりました。
シンガポールのCBD関連情報をリサーチすると、医薬品としてのCBD利用に関する議論はある一方で、健康食品やサプリメントとしての使用は明確に禁止されています。この状況を見る限り、シンガポールで一般的なCBD使用が許可される日は当面訪れそうにありません。

タイ:大麻関連の規制緩和
タイではCBD利用は合法です。
2018年に医療用大麻が合法化され、2022年6月には嗜好用大麻も非犯罪化されました。東南アジアにおいて、先んじて大麻の規制緩和を行っているパイオニア的存在です。
このようにCBDだけではなくTHCも規制を緩和していく姿勢の裏側には、薬物乱用はつねに生活の近くにあり、今日でも、タイの人々にとって社会問題だったといえることが挙げられます。
2000年代初頭、タイではメタンフェタミンやヘロインの乱用が深刻な社会問題となっていました。2002年に薬物乱用者更生法が施行され、強制的な治療制度が導入されました。2022年の大麻非犯罪化後、メタンフェタミンの価格が大幅に下落したとの報告があります。これは大麻の普及によりメタンフェタミンの需要が減少した可能性を示唆していますが、因果関係についてさらに研究が必要です。大麻非犯罪化が他の薬物使用に与える影響については、今後の詳細なデータが出てくると考えられます。

編集長のまとめ・考察:アジアのCBD規制の特徴
ここまでCBDが違法な国について調べてみました。蓋を開けてみればCBDを違法にしてる国の多くはアジア圏の国々で、西洋の国々では大麻が禁止でもCBDは合法である国が多かったです。 CBDを禁止にしている国々は大麻の規制を強化している延長線上にCBDを位置付けており、ゲートウェイのような扱いをしている印象が強かったです。また、CBDを違法にしている国々の刑罰は厳格なものが多く、私たちが気軽に行くであろう国でもCBDが違法にされているケースが多々あります。
CBDに関心がある方や、これらの国々への渡航を検討している方は、各国の最新の法規制を必ず確認するようにしましょう。特にアジア諸国では、CBDに関する規制が非常に厳しいため、細心の注意が必要です。
世界的にはCBDの利用が広がりつつありますが、アジア地域ではまだまだ規制が厳しい状況が続いています。今後、これらの国々でどのような政策変更が行われるのか、注目していく必要があるでしょう。
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