ニュージーランドと大麻・CBDの合法化/法律/歴史/ビジネス|完全まとめ

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ニュージーランドにおける大麻規制は、長年にわたり厳格な取り締まりのもとで維持されてきました。しかし、近年では医療用大麻に対する制度の整備が進み、産業としての大麻ビジネスも注目を集めています。

本稿では、ニュージーランドにおける大麻規制の歴史や最新の法改正、医療用大麻の制度と主要企業、そして市場動向までを網羅的に紹介し、日本からの渡航者が留意すべき点についても解説します。

この記事は大麻産業の情報をまとめ、学習やリサーチを補助する目的で作成されています。日本国内では、THC・大麻は厳しく規制されています。

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目次

ニュージーランドにおける大麻規制・法律と合法化

医療用大麻

ニュージーランドでは、2019年に「Misuse of Drugs (Medicinal Cannabis) Regulations 2019」が制定され、2020年4月1日から施行されました。この規制は、医療用大麻の利用を認めるための枠組みを提供し、患者が質の高い医療用大麻製品にアクセスできるようにすることを目的としています。2024年には「Misuse of Drugs (Medicinal Cannabis) Amendment Regulations 2024」が公布され、さらなる更新が行われました。

この枠組みは、以前の規制では利用が制限されていた医療用大麻製品の処方を可能にし、商業的な栽培や製造もライセンス制で許可しています。2025年3月時点で、厚生省のウェブサイトでは、承認された医療用大麻製品とライセンス保持者のリストが更新されており、制度の継続的な運用が確認できます。

嗜好用大麻

ニュージーランドでは、嗜好用大麻は「Misuse of Drugs Act 1975」に基づき、依然として違法です。所持や利用の非犯罪化もされていないようです。

大麻はスケジュール2、クラスBの管理薬物に分類されており、所持、使用、栽培、供給は禁止されています。2020年10月17日に行われた国民投票では、嗜好用大麻の合法化が50.7%対49.3%で否決され、現在も法改正の動きはありません。ただし、2020年の国民投票の結果は僅差であり、支持と反対の意見がほぼ拮抗していることを示しています。

この結果は、ニュージーランドが嗜好用大麻の合法化を進める他の国々と異なる道を選択したことを示しており、引き続き厳格な取り締まりが行われています。2025年現在、新たな法改正や法案提出は確認されていません。

大麻を取り締まる規制の変遷

出来事法的根拠
1927大麻の取引が厳しく制限危険薬物法(Dangerous Drugs Act 1927)
1955医療用大麻の輸入終了WHOの要請に基づく国内政策
1965大麻所持に対する厳しい刑罰が導入麻薬法(Narcotics Act 1965)
1975薬物分類枠組みの導入、大麻はクラスBに分類薬物乱用防止法(Misuse of Drugs Act 1975)
2018医療用大麻の使用拡大薬物乱用防止法改正(Misuse of Drugs Amendment Act 2018)
2019医療用大麻制度の制定薬物乱用防止(医療用大麻)規制(Misuse of Drugs (Medicinal Cannabis) Regulations 2019)
2020嗜好用大麻合法化の国民投票が否決大麻合法化および規制法案(Cannabis Legalisation and Control Bill)

ニュージーランドの大麻規制は、1927年から始まり、1975年の「薬物乱用防止法」で現在の枠組みが確立されました。

医療用大麻は2018年から拡大され、2020年に制度が開始しましたが、レクリエーショナル大麻の合法化は2020年の国民投票で否決されました。2025年現在、大きな法改正はなく、レクリエーショナル大麻は違法のままです。

日本から渡航する際には注意が必要

ニュージーランドでは依然として嗜好用大麻利用は違法です。医療用へのアクセスはライセンスによって制限されています。

日本国外においても、みだりな大麻栽培・所持等を罰する日本の規定があり、罪に問われる場合があります。大麻・THCをめぐる日本の法律は複雑で、さらに規制が行き届いていない市場では思わぬ健康リスクもあります。日本からニュージーランドに渡航される際は薬物の安易な利用を避けるべきでしょう。また、違法大麻のある場所の近くには、覚醒剤等の危険ドラッグが存在する可能性があるため十分に注意してください。

渡航される際などは、ご自身で必ず最新の情報をお確かめください。
参考情報:海外での薬物犯罪・違法薬物の利用・所持・運搬(外務省)

ニュージーランドにおける大麻ビジネスについて

注目企業

Cannasouth

2019年6月にNZX(ニュージーランド証券取引所)に上場(NZX:CBD)した、ニュージーランド初の医療用大麻企業です。垂直統合型のバイオ医薬品企業で、製品開発と研究に注力しています。医療用大麻製品とカンナビノイド抽出物を製造。ニュージーランドの医療大麻産業を牽引する存在です。

▶︎ 公式HP

Puro New Zealand

マールボロ地方に拠点を置く、ニュージーランド最大の医療用大麻栽培企業であり、世界でも数少ない大規模有機栽培の生産者の一つです。Kaikōura Coast(屋外)とWaihopai(室内)の2つの栽培施設を運営しています。有機栽培の医療用大麻を生産。

2022年に政府から1300万NZDの補助金を受け取り、業界の成長を加速しています。国内患者向けの供給だけでなく、輸出も視野に入れ、国際的な需要に対応しています。

▶︎ 公式HP

Helius Therapeutics

ニュージーランド最大級の医療用大麻企業で、栽培、研究、製造を手掛けています。2021年にニュージーランドで初めてGMP認証を取得し、国内産大麻から派生した製品の製造を承認されました。

安全で効果的な医療用大麻製品を開発し、Puro New Zealandの製品製造も担当。炎症性や神経変性疾患の治療に向けた研究も進行中です。垂直統合された医療用大麻生産会社です。

▶︎ 公式HP

市場規模

Statistaによると、ニュージーランドの大麻市場は2025年に3,665万米ドルに達すると予測されています。この数字は2024年4月16日に更新され、医療用製品(乾燥花、オイル、エディブルなど)に焦点を当てています。

2024年の市場規模は3,614万米ドルとされ、予測されている2025年から2029年までの年平均成長率(CAGR)は0.61%と非常に緩やかです。

ニュース・レポート

CANNABIS INSIGHTではニュージーランドの大麻に関するニュースや情報を発信していきました。オーストラリアでは嗜好用大麻が一部地域で非犯罪化されていますが、地理的に近いニュージーランドではまだ進展がないようです。一方で嗜好用大麻の利用を却下した投票でも僅差の結果であり、近い将来、可能性のあるマーケットになるかもしれません。

▼ 他の地域についても知る

参考記事・情報

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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