オーストリアと大麻・CBDの合法化/法律/歴史/ビジネス|完全まとめ

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こんにちは、CANNABIS INSIGHT」です。

この記事では、オーストリアにおける医療用・嗜好用大麻の具体的な規制内容、その背景にある法律や政策の変遷、関連ビジネスの動向、市場データ、そして日本人が渡航する際の注意点などを詳しく解説します。オーストリアの動向を理解するための参考情報としてご活用ください。

この記事は大麻産業の情報をまとめ、学習やリサーチを補助する目的で作成されています。日本国内での違法行為を幇助する目的はありません。

CANNABIS INSIGHT
目次

オーストリアにおける大麻規制・法律と合法化

医療用大麻の規制

オーストリアでは医療用大麻は処方箋によって入手することが可能です。その利用は厳しく制限されています。​患者が利用できるのは以下の3種類の医薬品に限られます。​

  • ドロナビノール(Dronabinol)
  • ナビロン(Nabilone)
  • サティベックス(Sativex)

これらは主にがん、エイズ、多発性硬化症(MS)、神経系疾患の治療に処方されます。​しかし、乾燥大麻の処方や使用は認められていません。​また、医師や保険会社の慎重な姿勢により、処方や保険適用が困難な状況が続いています。

嗜好用大麻の規制

嗜好用大麻の所持や使用は違法ですが、2016年以降、少量の所持に対しては刑事手続きの簡素化と訴追保留が適用されるようになりました。​具体的には、THC20グラム以下(乾燥大麻で約40グラム相当)の所持は、初犯であれば罰金や健康当局への紹介などの措置が取られます。​再犯や公共の場での使用など、悪質なケースでは懲役が科される可能性があります。​

嗜好目的での大麻の栽培、販売、輸入、輸出は厳しく禁止されています。​例えば組織的な取引に関与した場合、最大20年の懲役が科される可能性があります。

その他の規制

オーストリアでは、処方薬(医療用大麻を含む)のインターネットを通じた販売は明示的に禁止されています。オーストリアの薬局は、オーストリア国内または国外への処方薬の発送を行うことはできません。

大麻に関する政策・法律の背景

以下にオーストリアの大麻に関する法律と政策が、時間の経過とともにどのように変化してきたかを示しています。

年度主な出来事内容の要点
1998年麻薬法(Suchtmittelgesetz)の制定EU加盟後に制定。大麻を含む麻薬規制の法的枠組みが整備される。
2008年麻薬法の改正(医療用栽培・限定的自家栽培の許可)医療用のTHC抽出目的の栽培許可。THC0.3%未満なら自家栽培可(花が咲く前まで)。
2015年個人使用者の取り扱い合理化使用者を警察から保健当局へ送致。密売人と区別。花・種子収穫のみが「製造」と判断。
2016年実質的な非刑罰化(Decriminalisation)使用は非犯罪行為に。少量所持には罰則の可能性あり(猶予や治療も選択肢)。
2017年末~規制強化の動き(CBD制限)CBD食品・化粧品を禁止(2018~)。

オーストリアの大麻関連法は1998年の麻薬法制定に始まります。2008年の法改正では、医療・研究目的での大麻栽培が許可され、THC含有量0.3%未満であれば限定的な自家栽培も容認されました。

2015年には、個人使用者の扱いが合理化され、警察から直接保健当局へ送付されるようになり、使用者と密売者を区別する方針が強化されました。また同年、非商業的な収穫は違法な「製造」にあたらないとの内務省見解も示されました。続く2016年には、大麻の「使用」自体が非刑罰化されましたが、少量所持は依然として処罰の対象(ただし執行猶予や治療などの代替措置あり)とされています。

しかし、2017年末の新政権(人民党)発足以降、規制緩和の流れは転換します。2018年からはCBD製品(食品・化粧品)が禁止されています。この規制強化の方針は、2020年からの連立政権(人民党・緑の党)にも引き継がれており、近年のオーストリアでは再び規制を強める方向へと進んでいるとされています。

日本人が渡航する際には注意が必要

オーストリアでは医療大麻は合法ですが、旅行者にはほとんどアクセスできない状況です。また嗜好目的での使用は非犯罪化されているものの依然として違法です。

日本国外において大麻をみだりに、栽培・所持の場合等に罰する日本の規定があり、罪に問われる場合があります。大麻・THCをめぐる日本の法律は複雑で、さらに規制が行き届いていない市場では思わぬ健康リスクもあります。日本から渡航される際は薬物の安易な利用を避けるべきでしょう。また、違法大麻のある場所の近くには、覚醒剤等の危険ドラッグが存在する可能性があるため十分に注意してください。

渡航される際などは、ご自身で必ず最新の情報をお確かめください。

参考情報:海外での薬物犯罪・違法薬物の利用・所持・運搬(外務省)

オーストリアにおける大麻ビジネスについて

企業名概要
Hanfgartenヨーロッパ最大級のヘンプ製品販売業者、2015年創業
Bushplanet25年以上の経験を持つ、大麻苗木・クローン専門
Hanf & Hanfウィーンを拠点に大麻苗木販売、業界で知られる
NaturalCBD持続可能で地域に根ざしたCBD製品を提供
Hanfoaseヘンプクローンや種、CBDオイル、栽培機器を販売

Hanfgarten – ヨーロッパ最大級のヘンプ製品販売業者

Hanfgarten(ハンフガルテン)は2015年に設立されたオーストリアのオンライン小売業者で、ヨーロッパで最大の大麻製品の流通業者の一つとして知られています。同社はCBDフラワー、CBDオイル、大麻植物、苗など幅広いヘンプ製品を取り扱っています。ウェブサイトでは、おいしいレシピやコツなどの大麻関連記事を掲載した独自の雑誌も発行している。

Bushplanet – 25年以上の経験を持つ大麻苗木・クローン専門企業

Bushplanet(ブッシュプラネット)は1997年に設立され、オーストリアの大麻産業で最も知られた名前の一つです。25年以上の経験を持ち、大麻関連製品のサプライヤーであるだけでなく、合法化の積極的な支持者でもあります。

Hanf & Hanf – ウィーンを拠点とする大麻苗木専門店

Hanf & Hanf(ハンフ・ウント・ハンフ)はウィーンを拠点に大麻苗木の販売を行う企業で、ウィーンの主要なクローンショップの一つとして知られています。Than Drazenによって創設されたこの企業は、オーストリアの大麻産業の先駆者とされています。

NaturalCBD – 持続可能なCBD製品提供

NaturalCBD(ナチュラルCBD)は、オーストリアの持続可能なCBD製品を販売するオンラインショップです。2020年に創業しています。

Hanfoase – 多様な大麻関連製品を取り扱うオンラインショップ

Hanfoase(ハンフォアーゼ)は、大麻の苗木、種子、CBDオイル、栽培機器を販売するオンラインショップです。「信頼性が高く迅速な」配送サービスを掲げ、顧客のニーズに応えています。

値段・市場・税収

医療用カンナビス市場は成長軌道にあり、Statistaによると2029年までに市場規模は1億1430万ドルに達すると予測されています。2021年には過去最高の医療用カンナビスを輸入し、2018年上半期には7,325人の患者がドロナビノールやSativex、Cesametなどの許可されたカンナビノイド医薬品にアクセスしていました。

PriceOfWeed.comのデータによると、オーストリアでは高品質の大麻が1オンス(約28.35グラム)あたり約315.72ドル、中品質が約307.19ドルで取引されています。これを1グラムあたりに換算すると、高品質で約11.14ドル(約10.3ユーロ)、中品質で約10.84ドル(約10ユーロ)となります。

ニュース・レポート

CANNABIS INSIGHTではオーストリアの大麻に関するニュースや情報を発信していきました。オーストリアではTHC含有量0.3%以下の乾燥大麻をたばこ税の対象とし、たばこ販売店でのみ販売可能とする判決が下されています。寛容な政策がひろがるヨーロッパですが、オーストリアは慎重な姿勢を保っています。これからもオーストリアの動きに注目していきます。

▼ 過去に取り上げたニュース

【他の地域の大麻の状況について知る】

参考記事・情報

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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