韓国と大麻・CBDの法律/歴史/ビジネス|完全まとめ

こんにちは、CANNABIS INSIGHT(カンナビスインサイト)です。

今回は、韓国における大麻規制と法律ついて詳しく解説します。2018年末に韓国で医療用大麻が合法化されたことは、東アジア初の試みとして大きな注目を集めました。しかし、嗜好目的での大麻の使用は依然として厳しく規制されています。

本記事では、韓国における大麻規制の歴史や合法化の背景、さらに韓国の大麻ビジネスに関する最新情報を詳しくご紹介します。大麻の歴史と現在の状況を知ることで、国際的な視点から大麻規制のトレンドを理解する一助となれば幸いです。それでは、詳しく見ていきましょう。

目次

韓国における大麻規制・法律と合法化

2018年、医療用大麻合法化

韓国では、2018年末(改正法の施行は翌年)から医療用大麻が合法化されています。韓国は東アジアで初めて医療大麻を合法化した国になります。

一方で、嗜好目的での大麻の使用は合法ではありません。嗜好目的の大麻の販売、使用、所持、栽培を違法としています。 また韓国政府は、自国民が世界のどこに行っても自国の刑法の対象となることを明確にアナウンスしています。

医療大麻の使用もかなり厳しく規制されており、特定の条件を持つ患者のみが利用でき、ケースバイケースで承認されます。 承認された患者は、4種類のCBDベースの医薬品のいずれかについてのみ申請でき、入手するには韓国希少必須医薬品センターに申請する必要があります。

合法化の背景

2015年、韓国政府は「麻薬類管理に関する法律」の改正法案を国会に提出しました。しかし、慎重な意見が多く、すぐには合法化には至りませんでした。

2017年には、市民団体「医療用大麻合法化運動本部」が設立され、医療目的での大麻使用の合法化を求める運動が本格化しました。またCBDオイルを輸入した保護者が摘発される事件が相次ぎ、適切な治療法がない患者とその家族の切実な状況が報じられるようになりました。このような状況が合法化の必要性を一層高めたとされています。

2018年、政府は国際的な動向や患者の要望に応じ、医療目的での大麻使用を合法化する方針を発表しました。同年11月に改正法案が国会で可決され、12月に公布されました。そして2019年3月12日から、改正法が施行されることになりました。

日本から渡航する際には注意が必要

韓国では医療大麻が合法化されましたが、厳しい規制のもと管理されており、一般消費者は韓国国内で大麻・CBDを使用することは禁じられています。

実際に韓国関税庁(KCS)「大麻が合法化されている国や地域でヘンプ、カンナビス、THC、CBD、CBNなど表記がされた商品を購入し、韓国に持ち込むことは避けるべきです」と海外の観光客に注意喚起しています。

日本からの渡航の際には十分な注意が必要です。

大麻を取り締まる法律の変遷の一部

西暦関連法案、出来事概要、背景
1957麻薬法(Narcotics Act)大麻、ケシ、アヘン、コカインの使用が禁止。
1976大麻取締法(Cannabis Control Act)あらゆる形態の大麻の使用が禁止。
2000麻薬取締法(Narcotics Control Act)1976年の大麻取締法は、1957年の麻薬法と統合され、2000年に麻薬取締法が成立。
2018麻薬取締法改正韓国議会は麻薬取締法を改正し、医療目的での大麻の使用を許可。

韓国における大麻利用の歴史

韓国における大麻の歴史は長く、薬用や工業用に広く使用されてきました。 大麻はシルクロードを通じて韓国にもたらされ、痛みや便秘の治療薬として伝統的に使用されていました。 麻はまた、特に慶尚北道の南東部の州で、衣料品やその他の工業目的のために栽培されていました。慶尚北道は、麻栽培の規制緩和区域に指定された場所でもあります。

紀元前3000年頃の遺跡から大麻の糸や骨製の針が出土しており、高麗時代(2333-108 BC)の遺跡からは大麻の紐や布の痕跡が発見されています。 当時、韓国産の大麻は有名で、周辺諸国との重要な交易品だったとされます。 また、地面に穴を掘り、熱した石の上に大麻の茎を置き、その上に草と土をかぶせて蒸すという方法が、西洋の探検家イザベラ・バードが韓国で観察した独特な大麻の加工方法として記録されています。

上質な大麻布は、高麗時代には中国との交易の重要な品目となり、麻ひも、縫い糸、梱包材、帆布などのより工業的な用途にも使われていました。

韓国における大麻の常用は日本の植民地時代(1910-1945)にも続き、日本は徴兵された兵士が麻薬に手を出すことを恐れて、大麻の栽培を奨励したとされています。 しかし、この慣習は1945年の韓国の日本からの独立とともに終わり、1957年には李承晩大統領によって麻薬法が制定され、大麻の使用が禁止されました。

韓国における大麻ビジネスについて

注目企業

Imagination Garden は医療用大麻栽培スタートアップ企業です。スマートファーム技術を用いて、高品質な大麻の安定供給を目指しており、韓国における医療大麻産業のパイオニア的存在で、VICEやMJJDailyからのインタビューが公開されています。これからの市場を牽引するプレイヤー候補です。

▶︎ Imagination Garden

市場・税収

Statistaのサマリーによると、2023年の大麻関連製品の総収益は513百万ドル(約700億円強)ほどと報告され、そのなかでも医療用大麻はおよそ61%と最大の割合を占めています。

同分析では、ユーザー数も2023年には50万人を突破したと考えられており、CBDやTHC含有製品の利用が解禁されていない状態でも徐々にマーケットの成長が起こっています。

※Statistaのサマリーには記載がありませんが、サティベックスとエピディオレックスなどの医薬品の流通額(輸入や消費含む)が「医療用大麻市場」でそれ以外のCBD製品を「CBD関連製品」と定義していると私たちは考えています。

規制緩和区域の存在

韓国では、2020年に慶尚北道の南東部が麻栽培の規制緩和区域に指定され、韓国の大麻産業の中心地となりました。 この地域は、認可を受けた栽培者が輸出および医療目的で合法的に麻を栽培できる国内で唯一の場所です。

この地域は伝統的に麻の栽培と加工の技術が受け継がれてきました。規制緩和区域として指定することで伝統的な麻織物生産の復活と地域経済の活性化が期待されています。

韓国の大麻産業のプレイヤーはこの場所に集まっていると考えられます。

ニュース・レポート

韓国では2018年に医療用合法化に踏み切って以降、「嗜好用大麻が合法になる」などといった大きな動きはないように見えます。

TheKoreaTimesの記事の中では、食品名やブランド名のなかで大麻や麻薬といった言葉を禁止するといった法改正があるという報告がなされています。このニュースからもわかるように、韓国社会では依然として大麻の社会的な影響について敏感な状態が続いていると考えられます。引き続きCANNABIS INSIGHTでは大麻をめぐる最新情報について注目していきます。

【他の地域の大麻の状況について知る】

参考記事・情報

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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