ウルグアイと大麻・CBDの合法化/法律/歴史/ビジネス|完全まとめ

こんにちは、CANNABIS INSIGHT(カンナビスインサイト)です。

今回は、ウルグアイにおける大麻規制と合法化の現状について紹介します。2013年にウルグアイは世界で初めて嗜好用および医療用大麻を合法化し、大麻政策において国際的に注目を集めました。国家として違法薬物市場を制御し、新たな経済収入の道を切り開くことを目指したこの大胆な決断から10年以上が経過し、現在ではその成果と課題が明らかになっています。

目次

ウルグアイにおける大麻規制・法律と合法化

ウルグアイ

2013年に大麻利用を世界初合法化

ウルグアイは2013年に嗜好用および医療用大麻市場を規制する法律19.172を可決し、大麻政策の分野の先駆者となりました。 世界初の国レベルで大麻を合法化した国になります。この動きは、違法薬物取引に対抗し、新しい輸出収入源を生み出すことを目的としていました。

この法律では、医療目的(具体的には、医療用製品の製造)や医薬品用途の研究と工業化など、大麻関連の活動が非犯罪化されました。 この法律により、大麻栽培規制研究所(IRCCA)が設立され、政策の実施と執行を監督する権限が付与されました。

嗜好用大麻には以下の三つのアクセス手段があります。

  • 自家栽培
  • (認可を受けた)薬局
  • Cannabis Social Club

Cannabis Social Club:
最大45人の成人によって結成され、99本までの大麻を栽培することが法的に認められている組織。

ウルグアイの大麻合法化は、世界的に注目されていますが、いくつかの課題も抱えています。

違法市場の存続:
薬局の登録数の少なさ、銀行取引の困難さ、供給不足などにより、違法市場は依然として存続しています。

医療用大麻へのアクセス:
高価格、製品の不足、処方できる医師の不足などが、医療用大麻へのアクセスを阻害しています。

規制の執行:
IRCCAの職員不足、警察との連携不足など、規制の執行には課題が残っています。

IRCCAとは:
Instituto de Regulación y Control del Cannabis(大麻規制管理機構)の略称。ウルグアイの大麻関連活動を規制・管理する政府機関。

大麻に関する政策・法律の背景

ウルグアイは、長年続く麻薬取引に関連する暴力や犯罪の増加に悩んでいました。従来の禁止政策では違法薬物市場の拡大を抑制できず、むしろ犯罪組織の資金源になっているとの認識が広がっていました。これを受けウルグアイ政府は大麻の合法化を決断し、国家が管理する市場を創設しました。違法市場より安い価格で大麻を提供し、消費者を合法市場へ誘導することで、犯罪組織の資金源を断つ狙いです。

しかし、合法化から10年以上経った現在でも、違法市場は依然として存在しています。これは薬局の登録数が少なく、銀行取引が難しいため、合法的な大麻へのアクセスが限られていることが要因とされています。

また2013年の後、数年間にわたって段階的に医療用大麻に関する具体的な規制は導入されています。

大麻規制法の変遷

法律または政令主な内容
1974年政令14294号個人的使用を目的とした麻薬の所持を非犯罪化。ただし、「個人的使用」の定義は曖昧で、栽培や販売は依然として違法であった。
2013年法律19.172号大麻の生産、流通、消費を含むバリューチェーン全体を合法化。嗜好目的と医療目的の両方が含まれる。大麻規制管理研究所(IRCCA)を設立。
2014年政令372号産業用途の非精神活性大麻(ヘンプ)を規制を設定。
2015年政令46/015号医療目的の「植物製品(plant products)」(ハーブまたはハーブの混合物)と「医薬品」の製造を承認。IRCCAと公衆衛生省(MSP)の認可が必要。
2016年政令403/016号あらゆる種類の「植物性専門品」の製造と販売の規制を設定。
2017年大麻由来医薬品の専門家による処方が許可。
2019年法律19.847号それまでの医療用大麻製品に関する法律を4つの種類に分類。医師の処方箋に基づく医療用大麻の製造(医療用調剤)を許可。
2020年政令282/020号公衆衛生省の認可を受けた倉庫での、医療用大麻製品の物流オペレーションを規制。
2021年政令246/021号政令46/015号を廃止し、医療用大麻産業の新しい法的枠組みを提案。原料や半製品の輸出を許可。

日本から渡航する際には注意が必要

ウルグアイでは、医療・嗜好用ともに大麻が合法化されています。医療用大麻へのアクセスは旅行中には難しいと考えられますが、嗜好用には比較的容易にアクセスできる可能性があります。一方で、複数の情報ソースに「まだ違法市場は存在している」とありますので、細心の注意が求められるでしょう。

渡航される際などは、ご自身で必ず最新の情報をお確かめください。

ウルグアイにおける大麻ビジネスについて

注目企業

ウルグアイの大麻産業においてのプレイヤー三社を紹介します。

企業名企業HP
Synergistichttps://synergisticuy.com/
Bloominghttps://www.blooming-uruguay.com/
Akras Honest Geneticshttp://www.akras.co/

Synergistic

Synergisticは、ウルグアイに拠点を置く企業で、大麻の栽培と加工を行っています。革新的な技術と持続可能な方法に基づき、栽培から製品開発までを一貫して管理しています。特に品質管理と製品のトレーサビリティに注力し、世界市場で高品質な製品を提供しています。主な製品は、医療用およびレクリエーション用の大麻関連製品です。

Blooming

Bloomingは、ウルグアイに拠点を置く医療用大麻製品を提供する企業です。持続可能な農業手法と厳格な品質基準を採用し、純度の高い医療用製品を製造しています。特にカンナビノイドの抽出技術に力を入れ、個別の患者ニーズに合わせた製品を提供しています。ヨーロッパ市場を主なターゲットとしており、安心して使用できる医療製品を追求しています。

Akras Honest Genetics

Akras Honest Geneticsは、持続可能で高品質な大麻製品を提供する企業で、ウルグアイを拠点としています。主に大麻の育種と種子の生産を行っており、カンナビス産業の発展に貢献しています。独自の育種技術を用い、厳選された遺伝子をもつ品種を世界中に供給しています。品質管理に注力し、クライアントの多様なニーズに応えることを目指しています。

市場|CBDから嗜好用大麻まで

ウルグアイは2013年に世界初の大麻合法化を実現しましたが、10年以上経った現在、特に医療用大麻ビジネスは期待された成功には至っていないと報告されています。

主な課題として、輸出額が低迷しています。2018年以降の総輸出額は3,000万ドルに届かず、目標の10億ドルから大きく離れています。国内需要の限界や厳しい規制が原因とされています。

また、医療用大麻の認可手続きの煩雑さが事業の収益性を圧迫しています。規制が厳しく、栄養補助食品の製造も認められないため、市場成長が阻まれています。

それでも、新たな成長機会を模索しており、国内市場での販売やブラジルなど南米諸国への輸出が拡大しています。2023年にはGreenMedがブラジルに医薬品原薬を初めて輸出しました。

ニュース・レポート

CANNABIS INSIGHTではウルグアイの大麻に関するニュースや情報を発信していきました。2024年の非犯罪化は、合法化に向けて動きをもたらすかもしれません。ここからの動きにも引き続き注目していきます。ウルグアイの大麻ビジネスは、課題に直面しながらも、新たな成長の道を模索しています。今後、規制の緩和や銀行取引の環境が改善されれば、ウルグアイの大麻ビジネスは再び成長軌道に乗る可能性があります。

▼ 過去に取り上げたニュース

ウルグアイでは、大麻企業が撤退しつつあります。ウルグアイは嗜好用大麻を合法化した最初の国ですが、規制の厳しさや市場の小規模さがビジネスを困難にしています。大手グローバル大麻企業はウルグアイでの事業から撤退しており、新たにウルグアイで事業を立ち上げる場合も、政府などの強力なバックアップがない限り、3〜4年ほどかかるとされています。事業運営の難易度が高いと問題視されていますが、大麻利用者は増加しており、今後市場がどのように展開されるか注目されています。

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参考記事・情報

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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