カンナビス・ソーシャルクラブ(CSC)とは? 大麻の生産と分配を行う組織

カンナビス・ソーシャルクラブ(CSC)とは、成人の大麻使用者の閉鎖的なコミュニティ内で、大麻の非営利生産と分配を行うモデルです。近年ではドイツが大麻合法化の際、このモデルを取り入れることを決定し話題になりました。

CSCは現在、世界中のいくつかの国で運営されていますが、法制度や社会政治的な状況は大きく異なります。今回は、主に論文を参考にしながら、情報をまとめてみました。

目次

CSCの主な特徴

  • 非営利団体としての登録:
    CSCは通常、正式な非営利団体として登録されます。

  • 会員システム:
    CSCは一般的に、成人した国民または居住者のみが会員になることができ、会員になるには会費を支払う必要があります。

  • 生産機能:
    大麻の生産は、会員の消費量の推定値(スペインとベルギーの場合)または法的枠組み(ウルグアイの場合)に基づいて行われますが、クラブによって適用される基準は国によって大きく異なります。

  • 分配機能:
    CSCは、会員への大麻の分配に関して異なる取り決めを開発しています。

CSCは通常大麻の禁止と合法化の間の妥協案として提案されています。 CSCの支持者は、CSCが以下のように公衆衛生上の目標を促進するのに役立つと主張しています。

  • 青少年による大麻へのアクセス、入手可能性、および使用を最小限に抑える。

  • 薬物使用運転を最小限に抑える。

  • 依存症と中毒を最小限に抑える。

  • 望ましくない汚染物質や不確実な効力を持つ大麻製品の消費を最小限に抑える。

  • 特に公共の場での大麻とアルコールの併用を最小限に抑える。


国ごとのCSCの特徴

スペイン

  • 全国的な規制は存在しない

  • 約800-1000のクラブが活動中

  • 特にカタルーニャ州とバスク州で普及

  • 1990年代から活動家主導で発展

ベルギー

  • 小規模な活動(7クラブ程度)

  • 法的地位は不明確だが活動継続

  • 社会的に一定の認知あり

ウルグアイ

  • 2013年に法制化された先進例

  • 27の正規認可クラブが存在

  • 政府機関(IRCCA)による管理体制

  • 完全合法な運営が特徴

ドイツ

  • 非営利団体としての運営を義務付け

  • 予防活動担当者の配置が必要

  • 会員数と生産能力に上限あり

  • 商業目的の販売は禁止

  • 都市部での設置に距離制限あり

参考文献

  • Decorte, T., Pardal, M., Queirolo, R., Boidi, M. F., Sánchez Avilés, C., & Parés Franquero, Ò. (2017). Regulating cannabis social clubs: A comparative analysis of legal and self-regulatory practices in Spain, Belgium and Uruguay. International Journal of Drug Policy, 43, 44–56. https://doi.org/10.1016/j.drugpo.2016.12.020

  • Manthey, J., Rehm, J., & Verthein, U. (2024). Germany’s cannabis act: A catalyst for European Drug Policy Reform? The Lancet Regional Health – Europe, 42, 100929. https://doi.org/10.1016/j.lanepe.2024.100929

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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