ラオスと大麻・CBDの法律/歴史/ビジネス|完全まとめ

こんにちは、CANNABIS INSIGHT(カンナビスインサイト)です。

今回は、ラオスにおける大麻規制の最新動向についてご紹介します。2022年末に施行された新しい法規制により、医療用および産業用大麻(ポーキアオ)の一部が合法化され、CBD製品の市場が広がり始めました。規制の枠組みや企業の要件についても触れ、ラオスの経済に与える影響や将来の展望について解説していきます。

目次

ラオスにおける大麻規制・法律と合法化

医療用大麻の規制緩和

ラオスの大麻規制についてですが、2022年12月28日に麻薬及び向精神薬に関する法律(2007年)と刑法(2017年)で禁止されている大麻に関して、医療用および製品用麻の規制に関する保健大臣決定第3789号が出されました。

保健大臣決定第3789号:
ラオス語で「ポーキアオ」と呼ばれる麻を、「ガンジャと同じ科に属し、学名をCannabis Sativa L. (Cannabis sativa L. subsp. sativa var. sativa) とする植物であり、ガンジャ(Cannabis Sativa L.)の亜種である」と定義しています。

これは一般的に繊維や種子油の生産のために栽培される産業用大麻(hemp)の品種に相当します。

この決定により、一部のヘンプ関連製品は、医療用処方箋の下でのみ流通・使用が認められているとされます。また承認を受けた企業は、麻の栽培、抽出、生産、加工、保管、流通、利用、輸出入、輸送を行うことができるようになりました。CBDオイルを含む飲料や、主にCBDを含む化粧品など、処方箋なしで購入できる製品もあります。ただし、これらの製品はTHC含有量が0.2%未満でなければならず、食品医薬品局(FDD)への登録も必要となります。

大麻に関する政策・法律の背景

ラオスでは、大麻は麻薬及び向精神薬に関する法律(2007年)と刑法(2017年)で禁止されています。

  • 麻薬法 Law on Narcotics (2007):
    あらゆる種類の大麻の生産、取引、使用を禁止しています。
  • 刑法 Penal Code (2017):
    あらゆる種類の大麻の生産、取引、使用を禁止しています。

しかし大麻についての検討は進んでいます。2019年、ラオス政府は、医療目的でのヘンプ栽培の合法化が実現可能かどうか、また、そのような政策がラオスにもたらす可能性のある経済的利益について、判断するために、特別委員会を設置しました。

そのような状況の中で、「医療用および製品用麻の規制に関する保健大臣決定第3789号」が出されました。そのため、上記の刑法・麻薬法の規制は存続しながら、規制の緩和が行われています。そのなかではポーキアオと呼ばれる麻の種類にのみ限定されており、ラオスにおいて、全ての大麻が違法なのではなく、特定の種類の大麻(「ポーキアオ」)の使用が条件付きで認められるようになったことを示しています。

麻関連活動を行う企業に対する要件もあり、それは以下のような規制があります。

  • 活動内容に応じて、保健省等の承認を得る必要がある。
  • 使用する種子は登録する必要がある。
  • 抽出に使用する施設は保健省の検査を受ける必要がある。
  • 少なくとも5年の経験を持つ、認可された薬剤師または化学者を雇用する必要がある。
  • THC含有量が0.2%未満であることなどを含む、要件を満たしている必要がある。

承認を受けずに活動に関与した場合、麻薬法および刑法に基づく犯罪を構成する可能性があります。

ラオスでは、気候と肥沃な土壌が麻の栽培に理想的な条件を提供することが知られています。ラオス産の大麻関連製品が世界中に輸出され、「Made in Laos」が高品質なCBD製品の証となる可能性があります。

しかし、麻や麻関連製品のTHC含有率を分析するプロセス、継続的な報告要件、保健省に提出しなければならない実現可能性調査の内容など、この新制度のいくつかの側面はまだ明確化されていないと言われています。

日本から渡航する際には注意が必要

ラオスでは嗜好用大麻は違法です。また現地の規制に十分注意が必要です。医療用大麻に旅行の際にアクセスするのは現実的ではありません。最新の情報を確認し、法的な問題を回避することが重要です。

渡航される際などは、ご自身で必ず最新の情報をお確かめください。

歴史・文化

VICEの記事によると、ラオスのヴァンヴィエン(Vang Vieng)という小さな町は、2000年代初頭から東南アジアをバックパック旅行するヨーロッパ人の飲酒者の目的地になってきています。 また、アヘン、マジックマッシュルーム、メタンフェタミンなどの違法薬物も簡単に入手できます。

その結果、ヴァンヴィエンはラオス有数の観光地の1つとなり、同国の観光産業を大きく後押ししてきました。 しかし、その過程で、ヴァンヴィエンは観光客向けに変化してきました。「レストランでは大麻やアヘンが1グラム8万キップ(約10ドル)で売られている」との記述もあります。

どの国でも同じことが起こりうるように、ラオスでも薬物規制が行き届いていない地域があります。このような状況で、大麻(違法なもの)を使うのは違法ですが、一方で大麻の解禁が他の危険な薬物等の流通を減らす可能性もあります。ラオス政府がどのような動きをするかにはこれから注目が高まるところです。

ニュース・レポート

CANNABIS INSIGHTではラオスの大麻に関するニュースや情報を発信していきました。アジアで医療大麻の使用が検討されるのは珍しいことなので、ラオスはタイとの地理的な近さもあり、まだまだ動きも出てくるかもしれません。引き続き、ラオスの動向にも注目していきます。

▼ 過去に取り上げたニュース

ラオス保険省は、規制の範囲内で国内の大麻生産と流通を承認し、CBDを医療目的で使用することを許可しました。ラオスでは大麻は使用、栽培、所持が禁止されており、違反すると重い刑罰が科されます。しかし、近年、大麻の医療効果や経済発展を模索する姿勢を見せており、その一環で今回のCBDを中心とする規制緩和が実施されたと考えられます。アジア圏では大麻やCBDを規制する方針を示す国が多い中、ラオスは新しい可能性を模索し続けています。

【他の地域の大麻の状況について知る】

参考記事・情報

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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