COA(Certificate of analysis)とは何か? 大麻・CBDの成分分析表。食品や医薬品にも

本記事ではCOA(Certificate of analysis)の読み方について解説します。

目次

COA(Certificate of analysis)とは何か?

COA(分析証明書)の意味を解説するイラスト。カンナビノイドの濃度を示す紙と虫眼鏡の図。
CBD製品の成分や安全性を確認する「成分分析表」。

COAとは「Certificate of analysis」の略称で、意味は分析証明書です。大麻事業でCOAを指す場合は成分分析表とも言います。

大麻のCOAには、大麻に含まれるカンナビノイドの濃度や農薬、カビ、微生物、その他の汚染物質の検査結果が記載されています。国や州ごと許可を受けた研究所がCOAの証明書を発行し、安全に消費ができることを証明する資料になります。

COAは各CBD事業者のWEBページに掲載されていることが多く、消費者でも製品の安全性や含有されている成分を確認することが可能です。ただ、確認するためにはそれなりの読み方を知らなければならないので本記事では「COAの読み方」についてまとめていきます。

COAは食品・輸出や産業廃棄物にも

COAはCBD業界以外にもさまざまな業界で使用されますが、以下に代表的な例を挙げます。

  • 医薬品:
    新薬やジェネリック医薬品の有効成分、純度、安定性を確認するために使用されます。たとえば、臨床試験や市場投入前の品質管理でCOAが必須となります。
  • 食品:
    輸入食品の安全基準(例:残留農薬、重金属)や成分分析(例:アレルゲン含有)でCOAが求められます。特に日本では、食品衛生法に基づき、COAが輸入手続きで重要視されます(MHLW)。
  • 化学品:
    化学物質の組成や環境規制(例:REACH規則)への適合を確認するために使用されます。化学品の製造業者は、COAを通じて顧客に製品の品質を保証します。

COAという用語は産業廃棄物業界では標準的に使用されておらず、代わりに、廃棄物の特性を文書化するための「廃棄物プロファイルシート」や「廃棄物特性評価報告書」が広く用いられています。

COAの構成要素

①COAの基本情報

まず初めに「報告日」「第三者機関名」について確認しましょう。最新情報であり、信憑性の高い機関によるCOAなのかを確認します。第三者機関(検査機関やラボ)が信頼性のある機関かどうかは調査は難しいので、それ以外の箇所で最低限に信頼性があるかを確認できると十分です。日本では「Anresco Laboratories Japan」「KCA Laboratories」「Eurofins QKEN K.K.」の検査機関によるCOAを提示しているCBD企業が多くいます。

②カンナビノイド&テルペンの含有量・結果

カンナビノイドとは「大麻に含まれる成分の総称」で、THCやCBD、CBNなどのことを言います。カンナビノイド製品の中にはCBDしか含まない製品(アイソレート)もありますが、多くの製品では複数のカンナビノイド(国内ではTHC以外)を混ぜている場合が多いです。COAではカンナビノイド製品にどのくらいのカンナビノイドが含有されているかを確認することができます。

以下の参考画像のようにCBD:〇〇%・〇〇mg、CBN:〇〇%・〇〇mgといったように製品の詳細が表示されています。NDと記載がある場合は計測不可能なので含有量は極めて低いことになります。

複数のカンナビノイドやテルペンの検出濃度とLOQ(定量下限)を記載した成分表
主要カンナビノイドや香り成分テルペンの含有量一覧。

引用元:https://acslabcannabis.com/blog/retail/how-to-read-a-coa-and-why-its-so-important/

③安全性試験結果

残留溶媒、重金属、マイコトキシン、農薬などのカンナビノイド以外の物質が含有されているかがわかる指標になります。大麻を育てる過程で土壌に含まれた成分が含まれるケースもあり、その中には体に悪い物質が含まれているケースもあります。基本的には安全基準を突破したCOAが公開されているはずです。

CBD製品に含まれる可能性のある残留溶媒、カビ毒、重金属の検査結果一覧
各成分の残留基準と実測値が記された安全性チェック表。

引用元:https://acslabcannabis.com/blog/retail/how-to-read-a-coa-and-why-its-so-important/

結果欄(result)には、各分析物の横に“<LOQ “と表示されているのがわかる。<LOQとは「定量限界以下」ということなので、この資料では安全な許容限界以下ということがわかります。

④責任の所在(署名)

最後に検査している人の署名があります。

⑤その他(サマリー)

その他、サマリー資料などがある場合もあるので、より細かい情報を確認したい場合は確認しましょう。

実際にCBD企業のCOAを見てみる

以下に信頼できる2社のCBD企業のCOAのキャプチャを添付しました。信頼性の高い企業はこのようにCoAを自社サイト内で公表しています。

Elixnol (エリクシノール ロールオン 450より)

日本向けロールオンCBD製品の成分分析証明書。CBD量が454mg/unitと記載されている。
CBD含有量は1容器あたり454mg。THC未検出。

NATURECAN (40% CBDオイルより)

40%CBD濃度のMCTオイル製品に関するCOAで、合計430mg/mLのCBDを含むことが示されている。
40%CBDオイルのCOA(KCA Labs)

カンナビノイド検査の重要性

カンナビノイド検査は、CBD製品や大麻製品の品質、安全性、法令遵守を確保する上で不可欠です。主な検査項目には、カンナビノイド含有量分析(CBD、THC、CBG、CBN等)、残留農薬検査、重金属検査、微生物検査、テルペン分析などが含まれます。これらの検査により、製品の効果、安全性、合法性が保証され、消費者が安心してカンナビノイド製品を使用することができます。

日本や世界にはCBDをはじめとするカンナビノイド製品を検査する検査機関があります。これらの検査機関で調査された情報がCOAになり、消費者に情報として届きます。

  • 1. Anresco Laboratories Japan
  • 2. KCA Laboratories
  • 3. Eurofins QKEN K.K.
  • 4. 一般財団法人新日本検定協会 
  • 5. ボーケン品質評価機構 (BOKEN)
  • 6. ACS Laboratory
  • 7. SC Labs
  • 8. CannaSafe

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編集長の考察・まとめ

参考サイトには「安全性試験の欠落」「カンナビノイドの欠落」「ラボの証明書なし」「THCの多さ」「宣伝されているよりも少ないCBD(または他のカンナビノイド)。」「テルペン類が宣伝より少ない」を最終確認項目としてまとめていました。

要するに、商品(事業者が謳っている数値や効果)とCOAに相違がある場合は信憑性を疑う方がいいということだと思います。上記で述べたようにCOAの確認はリテラシーと時間を必要とします。消費者全員ができるわけではないので「こんなものもあるんだな」「怪しそうな会社だけど商品を買ってみたいので調べてみよ」みたいな視点を持っていくのがいいのではないでしょうか。

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

Takaomi Akagiのアバター Takaomi Akagi CANNABI INSIGHT代表/編集長

CANNABIS INSIGHT 編集長。2022年にメディアを立ち上げ、国内外のCBD・大麻産業を政治、経済、ビジネスという観点から取材・分析。日本国内のCBD市場調査レポート『CBD白書』の編集発行をはじめ、年間ニュースを俯瞰する企画『大麻・CBDニュース総選挙』を主宰・運営。CBDジャーニー、カナコン等の業界カンファレンスやコミュニティでの登壇・モデレーション、事業者向けの寄稿・解説を通じ、大麻・CBDについての社会的意義や経済可能性を調査しています。

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