米業界紙MJBizDailyは1日、ケンタッキー州のヘンプ由来THC飲料メーカーが、米酒類業界の大手業界団体「Wine & Spirits Wholesalers of America(WSWA)」に初めて加盟したと報じた。加盟企業はCannaBuzzで、同社のアニー・ラウスCEOは「THC飲料カテゴリーの安全でアクセスしやすい市場づくりに貢献したい」とコメントしている。酒類ロビーの中心団体がTHC飲料メーカーを受け入れるのは初で、販売流通やルール形成の場にTHC飲料が本格的に入っていく節目とみられる。
マリフアナ・モーメントも、アルコール業界の主要団体が初めてTHC飲料メーカーをメンバーに加えたと伝え、酒類・THC飲料のサプライチェーンが接近する流れを指摘した。各州で規制がばらつくなか、流通・年齢確認・ラベル表示などの“酒類並み”の業界標準が、WSWAの議論を通じて整備される可能性がある。大手酒類ディストリビューター網へのアクセス拡大が進めば、バーやレストランでの取り扱いも広がるとの観測が出ている。
背景には、クラフトビールを含むアルコール需要の伸び悩みと、低アルコール/ノンアル志向の拡大がある。既に複数のクラフト醸造所がヘンプ由来THC飲料に参入し、ドラフト(サーバー)提供や缶製品など“酒場の体験”を置き換える提案が広がっている。一方で、州ごとのTHC含有量上限や検査・表示の新ルールが市場形成の足かせになるとの懸念もあり、規制当局との綱引きは続きそうだ。
今回のWSWA加盟は、THC飲料が「アルコール産業の隣接カテゴリー」から「同じテーブルでルールを作る存在」へと移行する象徴的な出来事。今後は、年齢確認や責任ある提供、課税や流通規則のすり合わせが焦点となる。
参考記事:CannaBuzz is first hemp THC beverage maker to join alcohol trade group(MjBizDaily)