タイの新首相に就任したアヌティン・チャーンウィーラク氏が、大麻政策の再起動に向けて注目を集めている。アヌティン氏は保健相時代の2022年に脱犯罪化を主導した“カンナビス推進派”として知られ、9月5日の議会投票で首相に選出。人民党の条件付き支援を受けた移行内閣として、4カ月以内に議会を解散し総選挙に進む見通しだ。短期政権ながら、停滞していた制度設計をどこまで進められるかが焦点となる。
国内では昨年以降、公共衛生を理由に「麻薬再指定」を求める声が強まり、規制強化に振れた。一方、業界や投資家は、アヌティン政権下で“全面禁止でも無規制でもない”医療中心の枠組みへと収れんするとの見立てを強める。専門家は、医師の関与や処方を前提にしたアクセス、品質基準の引き上げ、研究と追跡調査の拡充が現実的な落とし所になると指摘する。
首相就任直後の報道でも、アヌティン氏は物価・家計債務・観光のテコ入れを優先課題に挙げつつ、短い任期の中で優先度の高い案件を前に進める姿勢を示した。大麻産業は観光や農業の裾野が広く、適正管理と医療・ウェルネス需要の取り込みが実現すれば、地域経済の下支えとなる可能性がある。市場筋は「年内に制度の方向性が示されれば、来年の選挙後に具体化が加速する」と見る。
一方で、人民党の支援条件により年明けまでに議会解散が予定され、政権の安定性は限定的だ。制度改正は省令・告示レベルの手直しから着手し、医療アクセスを軸にした“段階的な合法化の再設計”を打ち出せるかが勝負どころ。政治の先行きが不透明な中、投資や観光の回復と歩調を合わせられるかが試される。
海外メディアも「大麻の脱犯罪化を主導した政治家の返り咲き」が業界再生の追い風になると報じており、短期政権の“4カ月”をどう使うかに視線が集まっている。


