中国と大麻・CBDの合法化/法律/歴史/ビジネス｜完全まとめ

2025年2月6日

こんにちは、CANNABIS INSIGHT（カンナビスインサイト）です。

今回は中国における大麻の規制・法律、そして合法化に関する現状を徹底解説します。嗜好目的の大麻使用が厳しく禁止されている一方で、産業用大麻（ヘンプ）の栽培は徐々に活発化しており、雲南省と黒竜江省がその中心となっています。本記事では、中国の大麻に関する法規制の概要、歴史的背景、そして急速に成長する産業用大麻ビジネスの現状について詳しく見ていきます。

記事のハイライト

大麻利用は違法
産業用大麻の栽培は一部合法
THC含有量は0.3%以下に制限
伝統的な大麻利用の歴史がある
世界最大のヘンプ栽培面積

中国における大麻規制・法律と合法化

中国で大麻利用は違法

中国では、大麻の利用は違法です。栽培と加工は厳しく制限され、嗜好目的の使用も禁じられています。CBDまたはTHCの抽出物を電子タバコ、医薬品、または食品添加物等に使用することは、現在許可されていません。

一方で産業用大麻の栽培・輸出入は活発に進められており、栽培のための法律が整えられています。現在、中国で産業用ヘンプの栽培が合法化されているのは、雲南省と黒竜江省の2つの省だけです。雲南省は、花や葉の利用に焦点を当て、黒竜江省は、主に繊維の利用に焦点を当てた生産体制を確立しています。

なお産業用であっても、THC含有量が0.3%を超える大麻は違法とされています。

法律制定の歴史

大麻を取り締まる法律の一部

中華人民共和国刑法第347条から第357条
(Article 347 to 357 of the PRC Criminal Law)
中華人民共和国麻薬取締法
(The PRC Anti-Drug Law)
麻薬及び向精神薬の規制に関する規則
(Regulation on the Control of Narcotic Drugs and Psychotropic Drugs)

中国における大麻利用の歴史

中国における大麻の伝統的な利用は、少なくとも1800年の歴史があり、繊維、食品、医薬品など、多岐にわたって利用されてきました。麻は重要な農作物とみなされ、紀元前5000年頃から栽培されていたという調査もあります。古代中国医学では、麻は体を冷やす効果があるとされ、解熱、解毒、血行促進、そして体の陰と陽のバランスを整えるために用いられていました。

文献には、麻が食品や繊維作物としてどのように利用されていたかを示す記述が多くあります。 例えば、6世紀の『神農本草経集注』では、麻は布や靴の材料として使われていたと記しています。後の文献、『本草綱目』には、種子から油を搾ったり、繊維を布や蝋燭の芯に使ったりしたという記述も見られ、歴史的な中国医学の文献には、麻のすべての部分が記録されています。 これには、種子、雌花序、葉、根だけでなく、茎の皮や、茎を繊維にする過程で使われる水も含まれます。しかし、現在臨床で使用されているのは種子（果実）のみです。

麻は「穀物」のカテゴリーに分類されることが多く、食品としての役割が大きかったことが伺えます。 麻の実は現代中国でも食品として消費されており、広西チワン族自治区の巴馬県では「長寿」の食べ物として知られています。

中国における大麻ビジネスについて

産業用大麻（Hemp）に注力

1985年から2010年まで麻の生産が禁止されていましたが、2010年に雲南省で再開され現在では世界有数のヘンプ繊維生産国となっています。これは国際的な産業用ヘンプの合法化の波と、経済的可能性への認識の高まりによって促進されました。

世界最大の栽培面積

中国は世界で最も広大な栽培面積を誇り、世界の栽培面積の約半分を占めています。様々な規制や需要の減少によって、栽培面積の最低時は約10,000ヘクタールを記録。ピーク時の10分の1以下の規模にまで縮小していましたが、2015年には27,500ヘクタール（種子用12,000ヘクタールを含む）まで回復し、2019年には60,000ヘクタールを超えています。そのなかでも2018年から2019年にかけて黒竜江省は最大の産業用ヘンプ栽培地域であり、栽培面積は約20,000ヘクタールだったとの報告がありました。

産業用大麻特区的に発展

中国政府が1990年代後半から産業用ヘンプの利用に注目しはじめたのち、法整備が雲南省と黒竜江省のふたつの省で整えられ、特区的な栽培体制になっています。

雲南省では、産業用ヘンプの植え付けまたは加工に従事する事業体は、関連情報を少なくとも 3 年間記録するために、適切な記録システムを備えておかなければなりません。黒竜江省では、出所、目的、数量、売上などを地方公安局に報告しなければなりません。

これらの規則により、産業用ヘンプの栽培と加工の法的根拠が提供され、企業は標準化された手順に従い、業界の秩序を維持することが求められつつも、法の下での産業用大麻生産を行っています。

ヘンプ製品輸出

2024年に国連がオープンアクセスで発表した「産業用ヘンプ製品の世界輸出（Measuring global exports of industrial hemp products Insights from national product classifications）」では、麻紐の輸出量は全世界でトップという結果が得られています（全世界における輸出額はを約78%を占める）。

麻紐の輸出額は2019からの3年間で144％の成長を見せており、2022年には12.7百万ドル（およそ20億円）を記録しています。

ヘンプは国際的にもその利用が注目されている農作物であり、今後の中国の動きにも注目です。

週刊大麻ニュース｜4月6日-4月12日
ヘンプが園芸業界を救う

園芸業界で広く使用されるピートモスの代替品として、麻の活用に注目が集まっています。ピートモスは植物が腐植物質として蓄積された泥炭を乾燥させたもので、土壌改良に活用されます。しかし、環境への影響を考慮し供給量が減少しており、規制を設ける国も増えています。このため、麻の特性を活かしてピートモスの代替としての利用が研究されています。

注目企業

中国のヘンプ企業であるQ-Power社が、ノースカロライナ州中部に進出し、産業用ヘンプの生産を開始する計画を立てているというニュースがありました。Q-Power社は、食品から衣料品、機械、石油、木材、金属、鉱物まで、あらゆるものを生産する中国政府所有の巨大コングロマリットの一部です。ヘンプ生産施設は、約1000万ドルの投資で設立され、20〜30人の雇用が見込まれています。