マレーシアの大麻・CBD事情について調査してみました。
マレーシアでは、大麻の所持、使用、栽培、販売に厳しい罰則が科されます。しかし、医療大麻の有効性が注目される中、政府は医療目的での使用を認める可能性を模索しています。厳格な規制と変化への兆しが交錯するマレーシアの現状を探ります。
マレーシアにおける大麻規制・法律と合法化
マレーシアでは大麻・CBDは現在も違法です。
大麻の栽培、所持、取引、消費はすべて禁止されています。 マレーシアでは厳しい政策が取られています。違反者には罰金、懲役、鞭打ち、さらには密売に対して死刑が科されることもあります。これにより、大麻は厳しく規制されており、医療目的の使用も例外ではありません。
医療用大麻に関する世論
マレーシアにおける医療用大麻をめぐる世論は、多様であり、医療目的での使用を支持する意見と、違法薬物としての否定的な見方が混在しています。以下にその主なポイントを整理します。
医療目的の使用に対する支持
医療用大麻への関心が高まっており、特にその薬効に注目が集まっています。
大麻の所持に死刑が科されることへの反対運動も起こっているようです。
一部の情報によると、医療大麻を販売するオンラインページが複数存在し、そこでは多くのフォロワーや購入者が登録しています。
医療用大麻を購入する患者数は、数百人規模に達していると推測されています。
否定的なイメージ
マレーシアでは大麻が違法であるため、一部の層では大麻に対する否定的な見解が根強く残っています。
特に、宗教的な観点から、大麻製品に含まれる成分(THCなど)とハラール認証の問題が議論されています。
このような文化的・宗教的背景により、医療目的であっても大麻を受け入れがたいと考える人々が存在しています。
マレーシアは多民族国家であることが大麻の法律に関しても複雑性を増している要因かもしれません。
イスラム教 64%、仏教 19%、キリスト教 9%、ヒンドゥー教 6%、その他 2%
大麻に関する政策・法律の背景
大麻の所持、栽培、使用、販売は全面的に違法となる根拠は1952年危険薬物法(Act 234)に基づくとされています。
この厳格な規制は、国の文化的・宗教的背景や安全性への懸念に基づいています。特に、イスラム教徒が多いマレーシアでは、大麻に関連する成分が宗教的戒律に違反する可能性がある点も議論の対象となっています。
一方で、近年は医療用大麻への関心が高まり、政府も医療目的の使用を許可する可能性を検討していると報じられています。この背景には、慢性疼痛、がん、てんかん、多発性硬化症などの症状を緩和する医療大麻の有効性が多くの研究で示唆されていること、世界的に医療大麻に対する理解と支持が広まっていること、医療大麻の合法化による新たな産業と雇用創出、税収増加などの経済的なメリットへの期待などが挙げられます。
医療大麻の合法化を進める他国の動きがマレーシアの政策にも影響を与えています。
歴史
大麻は何世紀にもわたってマレーシアで栽培されてきたと考えられています。古代マレー人が何のために大麻を使用していたかを証明する証拠は多くありませんが、織物や食品などの実用的な目的で使用されていた可能性が高いようです。
19世紀後半のアジアで大麻ブームが起こり、それ以後の規制強化のなかで、マレーシアの法律は大幅に厳格化され、長年にわたり、比較的少量の大麻の所持に対しても死刑が科されてきました。
ニュース・レポート
CANNABIS INSIGHTではマレーシアの大麻に関するニュースや情報を発信していきました。それほど議論が進んでいる国という印象はありませんでしたが、世界各国の緩和を受けて、マレーシア国内でも徐々に議論が進んでいるようです。これからもマレーシアの状況について情報発信を続けたいと思います。
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