フィリピンと大麻・CBDの合法化/法律/歴史/ビジネス|完全まとめ

s-1920x1080_v-frms_webp_7574fef2-eed0-4a7c-9612-757870e9450e_regular.webp

こんにちは、CANNABIS INSIGHT(カンナビスインサイト)です。

今回はフィリピンにおける大麻・CBDの合法化・法律・歴史・ビジネスについて解説します。

目次

フィリピンにおける大麻・CBD規制と合法化

全ての用途において違法

フィリピンでは大麻は「危険薬物法(共和国法第9165号)」により違法とされています。 この法律は大麻を禁止薬物に分類し、その栽培、製造、輸入、販売、所持、使用を禁じています。

フィリピンでの「大麻」は、乾燥、新鮮、開花、結実の有無、植物の一部または一部、種子など、あらゆる種類、階級、属、種の大麻草を指します。大麻とその関連製品の輸入、販売、密売場所の維持、製造、使用、栽培は、終身刑と罰金が科せられます。

また産業用ヘンプも大麻(Cannabis sativa L.)と同じ植物由来とみなされ、違法です。

合法化の状況

フィリピン食品医薬品局(PFDA)は、重篤な病気や末期患者に対し、大麻を含む未登録医薬品について特別許可証を発行することがあります。ただし、2018年12月の時点で、大麻オイルの特別な使用のために申請されたのは1件のみ。

2019年12月、危険薬物委員会(DDB)は「個人使用のための危険薬物を含む未登録医薬品の取得、所持、および使用のライセンス発行の要件」と題する、2019年第8号理事会規則を発行。 この規則により、希少疾患や末期疾患の患者がPDEAに申請してライセンスを取得することで、フィリピン国内で承認されていない危険薬物を含む医薬品を、個人で使用できる可能性があります。

DDB(Dangerous Drugs Board):
フィリピンにおける薬物防止と規制に関するプログラムの政策立案機関です。1972年の共和国法第6425号(危険薬物法)によって設立されました。薬物関連の事件を管轄する権限を持ち、薬物防止と規制に関するプログラムの政策立案を担っています。

そのような動きの中、フィリピン下院は2024年5月24日に医療大麻法案を第二読会で可決しました。法案は、慢性的な痛みを抱える患者に医療大麻を合法的に提供することを目的としています。法案は最終段階の第三読会へと進む見込みです。

フィリピン議会における法案の審議は、一般的に以下の3つの段階を経て成立するとされています。

  1. 第一読会(First reading):
    法案の題名と提案者が読み上げられ、委員会に付託されます。

  2. 第二読会(Second reading):
    法案の内容について詳細な審議が行われ、修正などが加えられます。

  3. 第三読会(Third reading):
    修正を加えた法案について、賛成・反対の投票が行われます。

今回の法案は、第二読会を通過したということは、法案の内容について大枠の合意が得られ、最終的な可決に向けて大きく前進したと言えるでしょう。

しかし、フィリピン医師会(PMA)などからは、法案成立に反対する意見も出ています。PMAは、法案が可決されれば、「嗜好目的の大麻の合法化への扉を開くことになる」と警告しています。

大麻に関する政策・法律の背景

2002年に制定された包括的な危険ドラッグ法(共和国法第9165号)は、1972年の危険ドラッグ法(共和国法第6425号)を廃止し、フィリピンにおける薬物犯罪への対応を強化したものです。この法律は危険薬物委員会(DDB)の権限を強化し、薬物関連事件への対応を委任しました。

1972年の共和国法第6425号:
フィリピンにおける危険薬物法として制定され、マリファナを違法薬物として分類し、その栽培、製造、輸入、販売、所持、使用を禁止しました。この法律は危険薬物委員会(DDB)を設立し、薬物関連の事件を管轄する権限を与えました。

重要条項:

  • 大麻の定義の拡大

  • 厳しい罰則: 大麻とその関連製品の輸入、販売、密売場所の維持、製造、使用、栽培には、終身刑と罰金が科せられます。

  • フィリピン薬物取締庁(PDEA)の設立: この法律によりPDEAが設立され、フィリピン国内の危険ドラッグや規制薬物の防止と捜査を担当する、主要な麻薬取締機関となりました。 PDEAは、刑罰および規制条項の執行、DDBの実施機関としての役割を担っています。 PDEAとDDBはどちらも、フィリピン大統領府の監督下にあります。


マニラ麻について

フィリピンにはマニラ麻というものが存在します。日本語では麻という呼ばれ方をしていますが、まったくの別物です。

マニラ麻は、実際には麻ではなく、バナナの一種である アバカ (Musa textilis) の繊維です。 主な繊維源として知られる麻 (ヘンプ) にちなんで「マニラヘンプ」と名付けられました。 フィリピンで広く栽培されており、かつてはロープの製造に主に使用されていました。 現在は、特殊紙 (ティーバッグの素材など) に使用されており、木材パルプよりも高価です。

日本から渡航する際には注意が必要

フィリピンは大麻に対して非常に厳しい法律を施行している国です。日本とは大きく異なる法的状況と厳しい罰則が存在することを認識し、フィリピン渡航前に、大麻に関するフィリピンの法律をよく理解しておくことが重要です。

具体的には、以下の点に注意が必要です。

  • 嗜好目的および医療目的での使用の禁止:
    フィリピンでは、医療目的であっても、特別な許可がない限り、大麻の使用は認められていません。許可を得ずに大麻を所持していた場合、たとえ少量であっても、終身刑を含む重い罰則が科される可能性があります。

  • 特別許可について: フィリピン食品医薬品局(PFDA)は、「人道的特別使用許可」を発行しており、重篤な病気や末期患者が、フィリピンで未登録の薬を輸入して使用することを許可しています。これには、大麻を含む医薬品も含まれます。しかし、この許可は取得が難しく、日本から渡航する旅行者には現実的ではありません。


渡航される際などは、ご自身で必ず最新の情報をお確かめください。

大麻を取り締まる法律の変遷の一部

西暦関連法案、出来事概要、背景
1972危険薬物法
(Republic Act No. 6425 (Dangerous Drugs Act of 1972))
大麻が違法薬物に指定
2002危険薬物法
(Republic Act No. 9165 (Comprehensive Dangerous Drugs Act of 2002))
上記、共和国法第6425号の廃止。大麻に対する規制の強化。

フィリピンにおける大麻ビジネスについて

フィリピンにおいて、大麻はどのような用途でも厳しく規制されており合法の市場が存在しません。

しかし、実際にはHSコード5302を使ってヘンプが輸入されているという矛盾が存在します。フィリピンでは「ヘンプ」、「マリファナ」、「カンナビス」はすべて大麻草(Cannabis sativa L.)由来とされ、法律上は区別されていません。

共和国法第9165号(危険薬物法)により、大麻の栽培、製造、輸入、販売、所持、使用が禁止されています。つまりヘンプも違法ということになります。フィリピン貿易産業省(DTI)は輸入は禁止されているという立場をとっています。

これらのことから、フィリピンにおけるHSコード5302に基づくヘンプの輸入は、法規制と実態が乖離している可能性があります。

ニュース・レポート

CANNABIS INSIGHTではフィリピンの大麻に関するニュースや情報を発信していきました。以前として厳しい規制下にあるフィリピンですが、医療用大麻に関しては今後動きが出てくる可能性があります。引き続き、情報をお伝えできればと思っております。

▼ 過去に取り上げたニュース

フィリピン下院で医療用大麻法案を可決、医師会が反対

フィリピン下院で医療用大麻法案が可決されたことに対し、フィリピン医師会(PMA)は反対の姿勢を強調しました。PMAは大麻合法化による健康リスクと若者への影響を懸念しており、研究促進、研究施設の整備、および規制の制定を求めています。どの国でも賛否両論がある中、ヨーロッパやアメリカに比べアジアの国々は大麻政策に対してより慎重な姿勢を見せています。

【他の国のことを知る】

参考記事・情報

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

赤木 孝臣のアバター 赤木 孝臣 CANNABI INSIGHT代表/編集長

2022年4月20日にCANNABIS INSIGHTを創刊。国内外の大麻・CBDニュースの発信や、国内有識者へのインタビュー、産業動向の解説などを行っている。CBD業界の情報発信として「CBD白書」「ASAラジオ」「大麻・CBDニュース総選挙」などの企画を運営。業界イベントへの登壇や取材活動も行い、日本のCBD・ヘンプ産業に関する情報発信とコミュニティ形成に取り組んでいる。さらに、CBD原料比較プラットフォーム「アサバンク」を開発し、原料サプライヤーと事業者をつなぐ業界インフラの構築を進めている。

目次