アナンダミドとは? 

今回はエンドカンナビノイドシステムの一部である「アナンダミド」について調査した結果を紹介いたします。

エンドカンナビノイドとは:
神経伝達物質の放出を調節する、体内で自然に生成される脂質メディエーターの一群です。これらの分子は、カンナビノイド受容体、特に脳に豊富に存在するCB1受容体に結合します。興味深いことに、これらの受容体は、大麻の精神活性成分であるTHCの主要な薬理学的標的でもあります。

目次

アナンダミドとは?

アナンダミドは、体内で自然に作られる「内因性カンナビノイド」と呼ばれる物質の一つで、脳に重要な役割を果たしています。カンナビノイド受容体(CB1)と呼ばれる脳の特定の部位にある受容体に結びつき、神経伝達の調整に関わっています。この受容体は、大麻の成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)と似た作用を引き起こすため、アナンダミドは「体内のマリファナ様物質」とも呼ばれています。

アナンダミドの役割

アナンダミドの名前は、サンスクリット語で「至福」という意味の「アナンダ」に由来しています。この名が示す通り、アナンダミドは幸福感やリラックス感を引き起こすことがあり、脳内で報酬や快感の感情に関与しています。また、過剰なストレスや不安感を和らげる働きもあるとされています。

アナンダミドは、神経細胞が活性化されると、細胞内のカルシウム濃度が上昇することで合成されます。つまり、必要に応じて一時的に作られる仕組みです。また、アナンダミドや他の内因性カンナビノイドは、性質上、シナプス小胞に蓄えられることが難しく、細胞膜からすぐに放出されます。

放出されたアナンダミドは、シナプス間の隙間を通り、相手側の神経細胞にあるカンナビノイド受容体に結びつきます。これにより、シナプス前膜のK+チャネルを活性化してCa2+チャネルの働きを抑制し、神経伝達物質の放出が抑えられます。

アナンダミドは神経細胞同士のコミュニケーションを調節することで、神経系の安定を保つ役割を果たしています。

体内でのアナンダミドの働き

アナンダミドは、体内でいくつかの重要な役割を果たします:

  • 報酬系の調整:脳の「報酬回路」に作用し、快感や幸福感を調整します。

  • 神経伝達の調整:シナプスと呼ばれる神経細胞間の信号のやり取りを調整し、脳内の情報伝達をスムーズにします。

  • ストレスと不安の緩和:特に不安を感じるときに、その緩和に寄与するとされています。

アナンダミドと薬物依存

アナンダミドは、ニコチンやアルコールなどの依存性薬物にも影響を与えることが研究で示されています。アナンダミドの分解を遅らせる薬(FAAH阻害薬)によって、依存症の改善に役立つ可能性があると考えられています。この阻害薬は、たとえばニコチンの離脱症状による不安を和らげたり、アルコール依存の抑制に役立つとされています。

まとめ

アナンダミドは、体内で自然に作られるカンナビノイドで、脳の報酬系や感情の調整に関わっています。将来的には、依存症の治療に活用される可能性もあり、注目されている物質です。

参考文献

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

目次