CBDビジネス成功の鍵は信頼と知識 – カンナビノイド検査機関 KCA Labs Japanへのインタビュー

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こんにちは、CANNABIS INSIGHTです。

近年、ウェルネス市場で注目を集めるCBD。その可能性に惹かれ、CBDビジネスへの参入を考える方も多いのではないでしょうか。しかし、製品の品質や安全性への対応は事業を始める上での大きな課題であり、必ず事業者がクリアしなければならない問題です。

今回は、CBDおよびカンナビノイド専門の第三者検査機関「KCA Labs Japan」の天野開翔様にお話を伺いました。検査機関の重要性、KCA Labs Japanの特徴、そして業界が抱える課題や今後の展望について、独自インタビューを実施しました。

天野開翔(あまの・かいと):
国立大学法人電気通信大学情報理工学域卒業。 同学化学生命プログラムにてホタルルシフェリン類縁体の発光基質に関する研究を行う。 KCAラボジャパンの設立に携わり、運営システムの構築、検査のサポート、行政への情報共有など、日本法人のオペレーションを管掌。

プロフィール
目次

KCA Labs Japan とは?

インタビュアー:
本日はお忙しい中ありがとうございます。まず、KCA Labs Japanがどのような経緯で設立され、どのような業務を行っているのか教えていただけますか?

天野開翔氏(以下、天野)
KCA Labs Japan(ケーシーエー)は、ヘンプ・カンナビノイドを専門とする検査機関です。米国ケンタッキー州に本社を置くKCA Laboratoriesの日本支社として2024年4月に法人化し、先日ちょうど1周年を迎えました。

代表の中澤が中心となり、日本の事業者のCBD製品等の検査ハードルを下げ、よりスムーズに利用できるよう設立されました。主な業務は、日本のお客様から検体をお預かりし米国のラボへ国際配送する代理業務、そして検査に関するお問い合わせ対応などです。

私、天野は主にオペレーション全般と技術的なサポートを担当しています。さらに、カンナビノイド研究の分野で著名な野崎先生にもアドバイザーとしてチームに加わっていただき、専門的な知見から私たちの活動を支えていただいています。

野崎先生には法規制の解釈に関する相談や、臨床カンナビノイド学会発表のレビューなどで科学的なアドバイスをいただいています。最近では、野崎先生と一緒に島津製作所のイノベーションプラザへ見学に行き、最新の検査機器について本部と情報交換する機会もいただきました。要所で専門的な知見をお借りしています。

「検査」で安全な市場を作るために

インタビュアー:
CBDビジネスを始めるにあたって、「検査」の重要性はよく耳にしますが、具体的にどのような意義があるのでしょうか?

天野:
KCA Labs Japanが設立された2024年は日本市場には成分表示が不明確だったり、規制に対応していない製品が少なくありませんでした。COA(成分分析証明書)を掲載せずに販売しているケースも多く、消費者は何が入っているか分からないまま製品を選ばざるを得ない状況だったのです。CBDですら、本当に表示の通り含まれているのか、あるいは違法成分が混入していないか、確認できない状態は非常に問題です。

私たちはそうした状況を危惧し、規制をクリアした安全な製品が市場に流通するよう、分析という側面から業界の健全な発展をサポートしたいという思いで事業を始めました。検査機関は、製品中のカンナビノイド含有量や不純物、汚染物質などを分析し「体に有害なものが含まれていない」ことを証明する役割を担います。

この1年で大手企業を中心に、COAを掲載する意識は高まってきたと感じます。特に昨年からの規制強化の動き(パブリックコメント)も影響し、製品検査への関心は業界全体で向上したのではないでしょうか。

Amazonや楽天といった大手ECサイトではCOAの提出が必須になるなど、変化が見られます。しかし個人の小規模なオンラインショップなどではCOAの掲載が徹底されていない場合もあり、これは依然として課題だと認識しています。国レベルでの絶対的な掲載義務はまだありません。

インタビュアー:
消費者としては、COAがあっても、その検査結果自体が信頼できるのか判断が難しいですね。

天野:
おっしゃる通りです。「安全」と謳うだけでは不十分で、その根拠が必要です。

その証明に重要になるのが、ISO/IEC 17025という国際規格です。これは検査機関が正確な結果を出す能力があることを第三者の認定機関が認めるもので、いわば「お墨付き」ですね。米国本社をはじめ、海外の主要なカンナビノイド検査機関の多くはこの認定を取得しています。

残念ながら、日本の検査機関ではまだ取得が進んでいないところも見受けられます。消費者が安心して製品を選べるよう、このISO/IEC 17025認定を持つ検査機関に依頼することが非常に重要だと考えています。

KCA Labs Japanを選ぶメリットとは?

インタビュアー:
日本にもいくつか検査機関がある中で、KCA Labs Japanならではの強みや特徴を教えてください。

天野:
まず、検査可能なカンナビノイドの種類が業界最多クラスである点です。

70種類以上のカンナビノイドを検査でき、市場に次々と登場する合成カンナビノイドなどにも迅速に対応できる体制があります。また、米国本社の技術力と実績も大きな強みです。

KCAラボの創業チームは、まさに競走馬業界のドーピング検査、飲料業界でのアルコール分析といった多様な分野で長年の経験を持つ専門家集団です。薬物動態や分析化学のエキスパートが、その知見をカンナビノイド分析に応用し、高いクオリティで分析を実行しています。

インタビュアー:
資格や、日本国内の実績という面ではいかがでしょうか?

天野:
最近、ケンタッキー州で医療用大麻が合法化されました。これに伴い、州が発行する医療グレード製品の検査ライセンスをKCA Laboratoriesがケンタッキー州で最初に取得しました。

これは、私たちの検査能力が高く評価された証の一つです。HHCの商業的検査を世界で初めて行ったのもKCAですし、デルタ8THC関連物質の精密な測定も先駆けて行った実績があります。

またアメリカ国内の47州以上、そして世界30カ国以上で提供実績があり、約2,000社以上のクライアントにご利用いただいています。 日本においても、厚生労働省から「指定外国検査機関」として登録されており、日本企業が輸入手続きの際に私たちの検査結果をスムーズに活用できるようになっています。

国内での認知度も、徐々に上がりつつあるのかなと思っています。展示会などでも、以前の講演を聞いていただいた方からお声がけをいただくことがあります、本当にありがたいことです。

インタビュアー:
逆にKCA Labs Japanの課題や、今後強化していきたい領域はありますか?

天野:
現状の課題としては、やはりスピードでしょうか。検体をアメリカに送って検査するため、国内の検査機関に比べて輸送時間がかかってしまいます。

これを短縮するため、将来的には日本国内での検査ラボの設立や、日本でのISO/IEC 17025取得もできたらいいなと思っています。また、カンナビノイド以外のウェルネス領域、例えばアミノ酸やキノコ由来成分などの検査ニーズも高まっているので、そうした分野への対応も個人的には関心があります。

一方でカンナビノイド関連に関して言えば、ほとんどの物質をカバーしており、「KCAに頼めば間違いない」と思っていただいてもらえる状態になっていると考えています。

CBDビジネスを始める方へ:KCAからのメッセージ

インタビュアー:
これからCBDビジネスを始めたいと考えている方々から、どのような相談が多いですか?また、KCA Labs Japanとしてどのようなサポートが可能でしょうか?

天野:
検査に関することなら何でもご相談いただいています。カンナビノイドはもちろん、「このキノコ系サプリは検査できますか?」といったものまで様々です。検査結果の解釈に関する科学的な質問も多いですね。

これから製品を販売したいという方には、私たちがサポートできる範囲で、例えばAmazonや楽天へのCOA提出手順など、実務的なアドバイスも可能です。なんでも気軽に相談してください。

インタビュアー:
それは心強いですね。最後に、CBDビジネスを目指す読者や、業界全体に向けて伝えたいことはありますか?

天野:
COAの読み方についてですが、初心者の方には非常に難解だと思います。

一方、数値一つでビジネスの行方が左右されるほど、証明書の扱いはセンシティブです。事業者のリテラシー向上については尽力していきたいと思っております。

また、業界を見渡して思うのは、CBDをはじめとする物質に関する現在の日本の規制は「非常に厳しい」と率直に感じています。ビジネスが広がっていきにくいのはもちろんですが、必要としている人に必要なモノが届かないという状況を生み出してしまっていると考えています。

このような状態を変えていくためにも事業者のリテラシー向上はもちろん、それを消費者のリテラシー向上に繋げていくことが必要です。

事業者の方々がリテラシーを高めることは、業界全体の健全性を高め将来的な法改正にも繋がる可能性があると信じています。カンナビノイドの正しい知識と使い方を広め、安全で健全な市場を共に作っていきたいですね。いい傾向のひとつとしてCBNに関しても、業界内で自主的なガイドライン策定の動きが進んでいます。

皆が安心してカンナビノイドの恩恵を受けられるよう、私たちKCA Labs Japanは、正確な検査結果の提供と、その正しい読み方を周知していくことが第一の責務だと考えています。

KCA Labs Japanからのお知らせ

KCA Labs Japanでは、CBD製品の検査依頼はもちろん、検査に関するご相談やCOAの読み方に関するお問い合わせも随時受け付けています。

CBDビジネスを検討されている方は下記のイベントにも是非ご参加ください。

カンナビノイド分析セミナー in 大阪

Peatix
最先端のカンナビノイド検査機関 "KCAラボ" によるカンナビノイド分析セミナー in 大阪 「カンナビノイドって何?」という基礎から、専門的な分析証明書(COA)の読み解き方までを丁寧に解説。事業者はもちろん、製品選びに悩む消費者にとっても必見の内容です...

CBD/ヘンプ懇親会 in 大阪 ~第15回CBD部オフ会~

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CBD/ヘンプ懇親会 in 大阪 ~第15回CBD部オフ会~ この度、CBD部恒例企画のCBDオフ会を新大阪で開催します。CBD/ヘンプ産業の更なる発展のため、CBD/ヘンプ愛のある有志が集い、ざっくばらんに語り合い情報交換・交流・議論...

検査・分析のご依頼について

上記の依頼フォームにご記入のうえご送信ください。

  1. メール: japan@kcalabs.com 
  2. 電話: 050-1808-3492
  3. 公式LINE: https://lin.ee/ZWQiA68   
KCAラボジャパン
KCAラボジャパン コーポレートサイト KCAラボは、ヘンプ・カンナビノイド領域に特化した米国発の独立した第三者検査機関です。 CBD/THCをはじめとした70種以上のカンナビノイドについて、網羅的に検査/分析が可...

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

Takaomi Akagiのアバター Takaomi Akagi CANNABI INSIGHT代表/編集長

CANNABIS INSIGHT 編集長。2022年にメディアを立ち上げ、国内外のCBD・大麻産業を政治、経済、ビジネスという観点から取材・分析。日本国内のCBD市場調査レポート『CBD白書』の編集発行をはじめ、年間ニュースを俯瞰する企画『大麻・CBDニュース総選挙』を主宰・運営。CBDジャーニー、カナコン等の業界カンファレンスやコミュニティでの登壇・モデレーション、事業者向けの寄稿・解説を通じ、大麻・CBDについての社会的意義や経済可能性を調査しています。

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