原料からCBD市場をリードする。Green Trade Japanが考えるCBD業界の「今」について。

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2025年1月に会社設立。日本国内のカンナビノイド業界でリーディングカンパニーを目指す「Green Trade Japan株式会社」。「ブランドづくり」ではなくカンナビノイド原料の卸にフォーカスして参入したワケ、日本国内のCBD市場の課題や現状などを経営企画室室長入部翔吾氏にインタビューしました。

入部 翔吾(いるべ・しょうご)Green Trade Japan株式会社 経営企画室室長

株式会社リクルートホールディングスに入社し、リクルート住まいカンパニーに出向。SUUMO付随サービスのプロダクトオーナーや新規業務支援PJに従事。その後、建機スタートアップのSORABITOにジョインし、PdMを軸としながらもCS/営業/事業開発と幅広く推進。2023年7月よりSaaS企業にてCPOの就任しプロダクト全体の管掌を担う。2025年1月よりCBD事業を推進。

赤木 孝臣(あかぎ・たかおみ)CANNABIS INSIGHT 編集長

CANNABIS INSIGHT代表/編集長。2022年より国内外のCBD市場、ニュース、規制動向、政治、経済・ビジネスに関する情報発信メディア「CANNABIS INSIGHT」を運営。日本国内のCBD市場調査レポート「CBD白書」発行、麻・CBDのニュースを振り返る「大麻・CBDニュース総選挙」運営、CBDジャーニー・カナコン登壇などを行う

目次

はじめに

赤木 孝臣(以下、赤木):

本日はありがとうございます!新進気鋭で国内カンナビノイド業界をざわつかせているGreen Trade Japan株式会社様について色々お話しをお伺いさせてください。

Green Trade Japan株式会社様について、まずはどのような事業内容か教えていただけますでしょうか。

入部 翔吾(以下、入部):

いえいえ、こちらこそよろしくお願いいたします!

 私たちGreen Trade Japan株式会社は、日本国内において、カンナビノイドの原材料を事業者向けに販売する、いわゆる原材料の卸売業を行っております。
この事業自体の検討は昨年の夏頃から始めました。会社としてGreen Trade Japan株式会社を設立したのは今年1月で、実際に営業活動を開始したのは今年の3月末から4月頃です。したがって、現時点ではまだ半年ほどの事業運営という状況です。
現在は原材料の販売に特化しており、それ以外の事業やブランド展開は行っていません。

その理由としては、CBD原材料として粗悪品が国内で流通しているという点に強い課題意識を持っていたことです。原材料に問題があれば、製造をいくら丁寧に行っても良い製品は作れません。そこで私たちは原材料の段階からアプローチすることを決めました。

 当時も良質な原材料を扱う事業者は存在しましたが、価格が高いと感じていました。そのため、私たちであれば海外から厳選した良質な原材料を仕入れ、無理のない範囲でより安価に事業者へ提供できると考えました。これが原材料卸売事業から始めた最大の理由です。業界の課題に根本から取り組むには、原材料が最も重要であると考えました。

なぜCBD市場に注目したのか

赤木:
なぜCBD市場に注目し、調査や参入を検討されたのでしょうか。

入部:
実は、ここ5〜6年ほど、関係者の間でCBD事業の可能性を探る動きは断続的にありました。ただ当時は「怪しすぎる」「収益性が見えにくい」といった理由から、見送りが続いていました。

赤木:
入部さんがCBDに出会ったきっかけは何だったのですか?

入部:
当時働いていたチームメンバーにCBDを使っている人がいまして、たまたま「面白いものがある」とCBDを紹介してくれたことがきっかけになりました。

実は、私はもともとCBDのユーザーではなく、CBDに対する知識もほとんどありませんでした…

しかし、CBDの紹介を受けてから調査してみる中で、半信半疑ではありましたが、成分としての面白さや事業としての可能性に興味を持ち、そこから本格的にCBD事業を開始することを検討するようになりました。

どのようにCBD事業を立ち上げていったのか

赤木:
入部さんがCBDに興味を持った背景を知ることができましたが、そこから実際に事業として進めていくのはかなりのハードルがあるのかなと勝手に思ってしまうのですが、実際のところどうだったのですか?

入部:
実際に進めていく中で痛感したのは、コンプライアンスの観点で「どう対応していくか」が厳しい!ということです。という点です。世間的にはCBD市場に参入できるという点で身軽なベンチャーらしさを感じられるかもしれませんが、実際には細かい部分まで厳格に精査する必要があります。例えば「このケースではどんなリスクが発生するのか」といった点は徹底的に詰めて議論しました。

赤木:
私も、規模感の大きい会社から「CBD事業に参入したい」という相談をカジュアルに受けることもあります。しかし、実際には「上司が厳しくて通らない」「コンプラが壁になって進めない」という理由で足踏みしている企業も多い印象です。業界が大きくなるためには、そうした大企業の参入が非常に重要だと考えています。その意味で「どうやって社内でCBDの話を進めていくのか?」という問いは、私自身もよく考えるテーマです。

入部:
我々の場合は、本当にタイミングが良かったと思います。その好機を活かせたのは、スピード感をもって意思決定できる環境があったからです。

現在も国内の大手飲料メーカー、製薬会社、化粧品メーカーなど複数の企業とCBDに関してお話ししています。皆さん非常に興味を持っていらっしゃいますが、「コンプラ的にまだ厳しい」「しばらく様子を見たい」といったスタンスが多いのが現状です。
したがって、大手企業がより参入しやすくなるためには、まず「CBD市場には確かな市場規模と可能性がある」という事実を示すこと。そして、正しい情報や知識を世の中に届け、啓発していくことが不可欠だと思っています。そうすることで、より多くの事業者が参入するきっかけになると考えています。


品質・安定供給・販促…Green Trade Japanの強みについて

赤木:
それを踏まえてCBD事業を立ち上げられた中で、Green Trade Japan株式会社は現在、原料販売を手掛けていらっしゃいると思いますが、他の会社との違いや強み、特徴について教えていただきたいです!

入部:
弊社のサービスの特徴は3つあります。
1つ目は圧倒的な品質、2つ目が安定的な供給、そして3つ目が販促・販売の支援です。

まず品質についてです。現在、原材料を比較する際の指標は「COA(分析証明書)と価格」くらいしかないのが実情です。ただしCBDは非常にセンシティブな商材であり、万が一のトラブルがあってはならないものです。そのため弊社はトレーサビリティを重視しています。何か問題が起きた際に「どこに原因があったのか」を必ず遡れる体制を整えている会社としか組まない、という方針で取り組んでいます。

弊社は1月に設立し、営業開始は3月下旬から4月頃となりました。その間は各国を飛び回り、「どこから仕入れるのか」を徹底的に検討しました。そして最終的にリトアニアのバイオシード社から仕入れることに決めました。
バイオシード社は、栽培から抽出までを一貫して行っており、さらに細かい部分まで徹底した管理体制を整えています。私たちの知る限り、ここまでの体制を持っている企業は他になく、「品質・トレーサビリティの観点からバイオシード社一択」という結論に至りました。

営業活動を続ける中で、海外原料については、複数地域の原料を集約し、抽出だけを特定国で行うケースも散見されます。価格優位が出やすい一方で、原料栽培地やバッチまでの追跡が難しくなる可能性があるため、弊社は一貫してトレーサビリティを担保できるパートナー選定を重視しています。

さらに、国内市場特有の要件としてTHC規制があります。弊社が扱っているCBDおよびCBNは、THCを0.01ppm未満(ND:検出限界以下)で実現しています。
この数値を最も信頼しているのは、リトアニアの国立検査機関による検査結果だからです。ここはISOも取得しており、国家機関として権威性が非常に高いと考えています。
検査方法やプロトコルも確立されており、その公的な結果自体が、弊社の強みになると考えています。

赤木:
品質管理について、国内での原料の管理体制はどのようになっているのでしょうか。

入部:
二つ目の強みである安定的な供給・管理体制ですが、弊社はおそらく日本国内で最も多くの在庫を抱えていると思います。業務用の巨大な冷蔵庫を4台設置しており、その中にCBDの原材料を1キロ単位で温度管理しながら常に保管しているため、安定的な供給が可能です。
従来は在庫が少ない場合に「すぐ欲しい」と言っても対応できず、海外から取り寄せる必要があったり、1キロ以下の小口注文に応じられないケースもありました。しかし弊社は日本最大級の量を在庫として確保しているため、沖縄や北海道への配送でも2〜3日程度で届けられる体制を整えており、在庫切れは基本的に発生しません。
さらに、日本国内に入荷した原料についても、特に夏場の暑い倉庫で放置すれば変質する可能性がありますが、弊社では温度管理された冷蔵庫で保管しており、品質の劣化を防いでいます。

赤木:
確かに、原料会社に在庫がないケースはありますね。

入部:
次に三つ目の強みは販売支援です。CBD事業者の多くは「出口」、つまり販売先で困っている場合が多いです。「良い製品は作ったけど売れない」といった課題ですね。
そこで、弊社のネットワークを活用して、販売促進のサポートを行います。これが三つ目の強みです。


CBD、CBN…取り扱いカンナビノイド原料は?

赤木:
現在取り扱っている原料の種類について教えていただけますか。

入部:
現在販売しているのはCBDアイソレートとCBNアイソレートの二種類です。年内を目処にCBGアイソレート、水溶性CBD、CBDディストレートも仕入れる予定です。

赤木:
それらの原料は、リトアニアのバイオシード社のものですか。

入部:
いいえ、バイオシード以外の原料の取り扱いも検討しています。もちろん、バイオシード社(リトアニアの会社)も信頼していますが、一社に絞ってしまうのはリスクがあります。国によってはカントリーリスク(政治・地理)もあります。どれだけ信頼している会社であっても、万が一その国の事情で供給が止まってしまった場合、弊社の事業が影響を受けてしまいます。そのため、仕入れ先は常に2〜3社で取引したいと考えています。CBGや水溶性CBD、ディストレートなど新しいラインナップも、仕入れ先を一社に絞らない方針で事業の安定性を確保しています。

徹底的な検査体制

赤木
Green Trade Japan株式会社では、品質管理・安定供給以外にも気をつけている点があるとお聞きしました。他にはどのような取り組みがありますか。

入部:
はい。原材料の品質が高いことに加えて、国内で違法な商品が出回らないよう「検査」に力を入れています。海外でも当然検査は行われていますが、国内に入れた後もきちんと検査を実施しています。他社も行っていると思いますが、弊社は特にTHCの残留濃度だけでなく、細菌・微生物・重金属・農薬といった項目の検査も行っています。
弊社のお客様の中には、いわゆるエディブル(食品)用途で原材料をお使いになる方もいます。こうした用途では、食品衛生法に基づき、「食品等輸入届出書」を届出する必要があります。

そのうえで弊社は、法令上の必須要件にとどまらず、輸入する全バッチを日本食品分析センターによる第三者検査にかけ、安全性を確認しています。この全バッチ検査を原則としている点こそ、品質保証をより徹底できる弊社の大きな強みです。

CBDではTHC濃度が注目されがちですが、それ以外の部分もきちんと検査し、第三者機関の結果という証拠に基づいて、確実に安全といえるものだけを販売しています。安全でないものは扱いません。

CBD業界が拡大するためには

赤木:
ここまでGreen Trade Japan株式会社についていろいろお話を伺いました。ここからは私が個人的にお聞きしたい「CBD市場の現状と市場拡大」についてディスカッションできればと考えています!

単刀直入に、今のCBD市場の課題は何でしょうか。

入部:
いろいろな意見がありますが、やはり一番大きな課題は、正しい情報が正しく伝わっていないことだと思っています。CBDに触れたことがある人や、事業として扱っているコアユーザーであれば、「良いものだ」という認識は持っていると思います。
用途はさまざまで、リラックスや睡眠に使う人もいれば、自分の生活の質を保つために使う人もいます。どの用途であれ、使用者は「良い」と感じているはずです。しかし、この状態では市場は大きくならず、現状維持に留まってしまいます。
市場を拡大するには、潜在的なユーザー層に「あなたにぴったりなものだ」と正しく伝えていく必要があります。ただし、CBDは大麻由来の成分であるため、きちんと説明しないと誤解を招き、「危険だ」と思われてしまうこともあります。こうした誤った知識が広がってしまうのが、現状市場が想定より伸びていない理由の一つだと考えています。


事業者の努力でCBD市場拡大を加速させる

入部:
事業を始めたのはここ半年〜1年ほどですが、CBDの市場調査自体は以前から行っていました。現状の市場トレンドについて、私たちの認識では、この半年で約100社ほどが事業をクローズ、もしくはピボットしていると把握しています。ほとんどは零細中小企業です。
一見すると「事業者が撤退して市場が縮小している」とも見えますが、私たちはこれをポジティブに捉えています。これまでのCBD業界には、きちんとやっている人もいれば、怪しい事業者も存在していました。しかし、日本の法律によって守るべきルールが明確になり、これを遵守する真面目な企業だけが残り始めていると感じています。
つまり、法改正によってCBD市場はルールが明確になり、守れない事業者は淘汰され、倫理観と規制に沿って運営する企業のみが生き残る構造になりました。ここ数年でこの流れが顕著になったと考えています。これは当初の想定どおりでもあります。

ただ、市場の伸びについては、想定より拡大スピードが遅いという感覚があります。さまざまな有識者の方とも意見交換しましたが、やはり大きな原因としては「CBDが正しく伝わっていない」ことが一番大きいと思います。
また、規制を無視した企業が淘汰されている一方で、定期的にカンナビノイドに関する事件も起こっています。そういった部分が市場の足を引っ張っているのは確かです。ただ、CBDを使っているコアユーザーの熱量は非常に高いというのも事実です。

私自身もCBDに触れてきた経験があります。ブランドによって合うものと合わないものがあります。CBD事業をしているからこそ人より多くCBD商品を試す機会が多くありますが、多くの方は興味を持っても「これ違う」と感じた方はそこで利用を終えてしまうケースが多いと思います。
CBDに限らず、商品は人によって合う・合わないがあります。サプリメントや食品も同じです。消費者が自分に合うものを見つけられる世の中になれば、市場はさらに広がるはずです。
例えば食品や化粧品など他の業界でも、いろいろ試して自分に合うものを見つけます。CBD市場も同じように、多くの人が試して、自分に合うものを見つけ、リピートして使うようになれば、確実に市場は広がっていくと感じています。

最近では、スポーツ業界でもCBDを買う人が増えてきたり、ペット関連でもCBDが少しずつ普及してきたりと、「CBD」という言葉が世の中に少しずつ浸透してきている印象です。
徐々にではありますが、市場は当初見立てたスケジュールほど大きくはなっていません。しかし、必ず大きくなるだろうと考えています。ただ、ビジネスとして取り組んでいる以上、5年も10年も待つつもりは全くありません。
このリードタイムを短くするには、事業者側がどれだけ努力できるかが重要です。また、メディアの方々にももっと頑張っていただく必要があります。CBDに関わる全ての人が真摯に取り組むことが、市場を加速させる鍵だと思います。
誰も努力しなければ10年かかる市場も、皆がそれぞれ努力すれば2〜3年で拡大することもあります。私たちは原材料の卸という立場ですが、業界をリードできるように、活動できればと思っています。

 少し大きな話になりますが、CBD業界は将来的に医療分野とも密接に関わってくるのではないかと考えています。CBDが大きくなれば、皆が正しい知識を持ち、いずれ医薬品としてのCBDの可能性も十分あると思います。海外ではすでにそうした使われ方をしている例も多いので、そうした領域まで広げていきたいと考えています。


読者のみなさんへ一言!

入部:
事業者の皆さんには、ぜひ一度私たちの原材料を見ていただきたいです。取り扱うかどうかは自由ですが、品質の高さには自信があります。良いものを使っていただくことが、業界全体の安全性にもつながると思っています。サンプルもお配りしていますので、試してみていただけると嬉しいです。
CBD製品を使うユーザーの方には、合う・合わないがあります。一度試して合わなかったからといってやめるよりも、いくつか試してみることをおすすめします。個人差があることは前提として理解していただきたいです。中には生活の質が大きく改善する方もいると思います。現在市場に出ているCBD商品は比較的安全なものが多いので、気軽に手に取ってみてください。

赤木:
一緒にCBD市場を伸ばしていきましょう!本日はありがとうございました!

入部:
ありがとうございました!

公式サイト:Green Trade Japan 株式会社

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

Takaomi Akagiのアバター Takaomi Akagi CANNABI INSIGHT代表/編集長

CANNABIS INSIGHT 編集長。2022年にメディアを立ち上げ、国内外のCBD・大麻産業を政治、経済、ビジネスという観点から取材・分析。日本国内のCBD市場調査レポート『CBD白書』の編集発行をはじめ、年間ニュースを俯瞰する企画『大麻・CBDニュース総選挙』を主宰・運営。CBDジャーニー、カナコン等の業界カンファレンスやコミュニティでの登壇・モデレーション、事業者向けの寄稿・解説を通じ、大麻・CBDについての社会的意義や経済可能性を調査しています。

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