カナダで、2018年の大麻合法化以降、連邦政府と州・準州政府が大麻(カンナビス)に課した税収が累計で**54億ドル(約8,000億円強)**に達したとの報告が明らかになった。連邦政府分はそのうち約12億ドルにとどまり、大部分の約42億ドルが各州・準州に分配されている。
この数字は、2025年8月31日時点で集計された最新データに基づくもので、2018年10月の合法化開始以降、約7年での累積収益を示す。合法化によって新たな財源が生まれたことが改めて浮き彫りとなった。
合法化後、カナダ国内のライセンス取得済み大麻販売店や生産者は、合法市場を通じて継続して流通・販売を行ってきた。こうした流通体制のもとで得られた税収は、医療・福祉、公共サービス、地方行政などの財源に充当されており、大麻産業の合法ビジネス化が国と自治体の公共経済に与えた影響は無視できない。
特に多額の税収を得た州のひとつ、オンタリオ州は累計で約15億ドル、また人口規模ではやや小さいにもかかわらず高い収益を上げたアルバータ州も1億ドルを超える税収を報告している。
ただし、一方で課題もある。合法化後もなお、違法市場の存在や、州ごとに異なる規制・物品税制度によるコストや流通の複雑さ、さらに課税負担が高まることで価格競争力が損なわれる懸念が指摘されてきた。ある分析では、カナダ政府が2025年に予定する物品税制度の見直しは、こうした問題に対処する意図があると報じられている。
カナダにおけるこの大麻税収の実績は、日本やその他の国でヘンプ/カンナビノイド関連ビジネスを検討する際の重要な指標となる。合法化が進み、流通・消費が制度的に担保されることで、税収と経済インパクトを生み出す可能性があることを示す好例だ。
今後、税制の安定、違法市場の縮小、品質管理や流通の透明化、そして規制順守を前提にしたビジネスモデルが、国際市場での競争力を左右するだろう。カナダでの実績は、グローバルな大麻/ヘンプ事業を展開するプレーヤーにとって、いわば“ベンチマーク”となる可能性を持つ。
参考記事:Canada Has Generated Billions In Cannabis Taxes Since 2018(ICBC)



