フランスと大麻・CBDの合法化/法律/歴史/ビジネス|完全まとめ

こんにちは、CANNABIS INSIGHT(カンナビスインサイト)です。

今回は、フランスにおける大麻の規制や法律、そして近年の医療用大麻の合法化の進展についてまとめてみました。

フランスでは依然として大麻の使用が違法とされていますが、医療用大麻に対する国民の支持が高まり、CBD製品に関する規制が緩和されつつあります。この記事では、フランスの大麻市場の現状と今後の動向を詳しく解説していきます。

目次

フランスにおける大麻事情|法律と合法化

フランスの画像

医療用大麻の仕組みが整いつつある

フランスでは嗜好用大麻の使用は違法ですが、大麻製品(特に医療用)の使用に対する国民の支持は高まっています。

2021年7月、フランス政府はEUに法令案を提出し、THC含有量が0.2%未満の大麻植物から抽出された CBD を含む製品の販売を許可する計画を発表しました。また2023年12月26日に新たな法律が施行され、医療用カンナビノイド医薬品の製造、輸入、流通が公式に認められるようになりました。

ただし、喫煙に使用できる花や葉の販売は禁止されています。業界団体はこの禁止措置に反対しており葉や花の販売を禁止すると、生産者にとって CBD市場における発展の妨げになると主張しています。大麻の所持や使用は違法のままであり、個人的な使用のための栽培も禁止されています。

大麻に関する政策・法律の背景

医療用大麻の規制は、近年大きな変化を遂げています。これまでフランスでは医療目的であってもその使用は厳しく制限されており、THC含有量が0.3%未満の一部の品種のみが工業および商業用に認められていました。

しかし医療現場からの需要や国民の意識の変化に伴い、2023年12月26日に新たな法律が施行され、医療用カンナビノイド医薬品の製造・輸入・流通が公式に認められるようになりました。

新法に基づきフランス保健庁(ANSM)は医療用カンナビノイド医薬品の使用を推進するため、一定の条件を満たす企業に対して栽培や製造の許可を与えています。許可は5年間の一時的なものであり、てんかんや多発性硬化症、緩和ケアといった治療分野でカンナビノイド医薬品の有効性を評価するためのプログラムが進行中です。このプログラムは2023年3月まで実施予定でしたが、大麻医薬品の承認が完了するまで2024年12月まで延長されています。

大麻を取り締まる規制について

公衆衛生法典(PHC)における大麻規制と例外措置

フランスでは大麻に対する厳しい規制が公衆衛生法典(PHC)に基づいて定められています。原則として大麻の栽培、製造、輸送、輸入、輸出、所持、提供、譲渡、取得、および使用はすべて禁止。これは植物そのものや樹脂、また天然および合成、派生物を含むテトラヒドロカンナビノール(THC)にも適用されます。

しかしながら、医療目的や研究目的、製品管理のためにフランス保健庁(ANSM)の承認を得た場合は例外的に使用が認められることがあります。限定的な条件下で大麻を合法的に所持、使用することが可能にしているのがこの例外的な措置で、2023年12月26日に施行された新しい法律になります。

医療用カンナビノイド製品を製造、輸入、流通させるためには、ANSMからの承認が必要です。承認の種類には、市販承認、早期アクセス承認、人道的アクセス承認、輸入承認などがあり、これらは厳格な条件を満たした場合にのみ発行されます。

日本人が渡航する際には注意が必要

フランスでは、THC含有量が0.2%未満の産業用ヘンプの栽培と商業利用が許可されています。

CBD製品の購入や使用を検討する旅行者は、渡航前に最新の規制情報を収集し、合法的に販売されている製品かどうかを確認する必要があります。また嗜好用大麻の使用や所持は違法とされていますので、フランス国内で利用することは控えた方が安全です。

渡航される際などは、ご自身で必ず最新の情報をお確かめください。

参考情報:海外での薬物犯罪・違法薬物の利用・所持・運搬(外務省)

フランスにおける大麻ビジネスについて

注目企業

mmjdailyによるとOverseedはフランスで初めて医療目的で医療用大麻を栽培することが許可された企業です。フランスのオルレアンに拠点を置くバイオテクノロジー企業で、医療用カンナビノイド医薬品の製造を専門としています。医薬品安全庁(ANSM)の承認を得てからわずか6か月後に、医療用大麻の栽培に関する研究開発プログラムを開始しました。

フランスで約230万人の患者に影響を与えている病状(CSST-2018)には、神経障害性疼痛、癌に関連する難治性症状、てんかん、多発性硬化症、および中枢神経系が含まれます。喘息、精神障害、アルツハイマー病、または食欲不振の将来の治療法についても研究が続けられており、これらを合わせると、フランスでは何百万人もの潜在的な患者がいます(国際医療大麻協会-2018)。

このような潜在的なニーズからフランスはヨーロッパ最大の市場になる可能性があります。この新たな市場に参入するため、Overseedは2022年に250万ユーロ、2024年7月には670万ユーロ(日本円でおよそ11億円)の資金調達を実施しました。

CEOであるHugues Péribère氏は、フランス国内での製造と高品質な製品の提供により、患者と医療業界の期待に応えたいと述べています。同社はフランスにおける医療用大麻医薬品市場の開拓者として、その動向が注目されています。

産業用大麻

フランスは世界第3位、ヨーロッパ最大の産業用大麻生産国です。麻産業は、新製品の開発とCBDに関する最近の法的決定により、大幅な成長を遂げています。

歴史的に、フランスでは1700年代から繊維を得るために大麻が栽培されており、帆布やロープの重要な供給源となっていました。20世紀に入ると、石油化学工業の発展、天然繊維に代わる合成繊維の登場、綿花輸入の増加により、ヨーロッパでは麻の生産はほぼ消滅しました。 しかし、フランスでは限定的な生産が続けられました。

1970年代の製紙産業によって、フランスの麻部門は復活したとされています。2021年現在、食品、プラスチック複合材、建築材料などの用途で産業が形成されています。フランスで栽培されている麻は、EUの公式品種リストに掲載され、フランス政府によって承認された品種であり、もっぱら産業目的で栽培されています。 繊維と種子のみを使用することができ、花や蕾は産業廃棄物として処分されます。

最大の成長部門の一つは建築部門であり、麻断熱材や麻コンクリートなどの用途があります。

CBD市場

2020年のフランスにおけるCBD市場規模は、推定1億3,100万ユーロ(約206億円)に達しました。この市場は、主にオイル、カプセル、ベイプ製品が占めています。

フランス政府は、2021年7月にCBD製品の販売を正式に許可する一方で、喫煙に使用できるヘンプの花や葉の販売を禁止する法令案を提出しました。これは、喫煙による健康への悪影響と、大麻取締法との整合性を考慮した措置です。

業界団体からは、花や葉の販売禁止は市場の60~70%を占める製品の販売を阻害するものであると反発の声が上がっています。

フランスの大麻ショップについて

フランスにおいて「大麻ショップ」とは、CBDショップのことです。フランスでは嗜好用大麻が合法ではないため、そのショップが大麻を販売している場合、それは違法ということになりますが、THC濃度が0.2%以下の場合、それは合法です。

以下にCBDショップについてまとめている記事があるので、ご興味ある方はご覧ください。

▶︎ CBDショップのリスト

フランス人の大麻使用率

欧州薬物監視センター(EMCDDA)によると、フランスの15-34歳の約19.2%(2021年)、15-64歳の10.6%が過去1年間に大麻を使用しました。特に若年層での使用率が高まっているとされます。

COVID-19パンデミック中は一時的に減少しましたが、近年は再び増加傾向です。

ニュース・レポート

CANNABIS INSIGHTではフランスの大麻に関するニュースや情報を発信していきました。ヨーロッパのなかでは若干、大麻に対して厳しめのイメージがあるフランスですが、医療用大麻はすでに解禁されており、今後嗜好用大麻に関しても動きがあるかもしれません。これからもフランスの動きには注目していきます。

▼ 過去に取り上げたニュース

フランスの医療大麻企業Overseedが670万ユーロ(日本円で約11億円)を調達しました。この資金は、100%医療用大麻製品の製造を目的としており、フランス国内およびヨーロッパ市場での展開を見据えています。Overseedは、CNRSやオルレアン大学病院と協力し、前臨床および臨床研究を進めています。大麻業界で資金調達が実施されることは、規模を問わず喜ばしいことです。

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参考記事・情報

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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