2026年1月24日から2026年1月30日の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。
※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。
米で“幻覚剤を少量摂取”が広がる 推計1000万人、研究が示す
米国で“サイケデリック(幻覚作用を持つ薬物)”の使用が急増している可能性が浮上した。米シンクタンクのRAND研究所が公表した最新調査によると、2025年に米国の成人が過去1年で使用したサイケデリックのうち、最も多かったのはシロシビン(マジックマッシュルーム)で、推計約1100万人に上った。
調査は2025年9月、米国の18歳以上の成人を対象に実施された全国代表サンプル(約1万人規模)をもとに集計されたもの。対象はシロシビン、MDMA、LSD、ケタミンなど11種類の物質で、サイケデリックの利用実態を定量的に整理している。
使用経験が多かった物質としては、シロシビンに続き、MDMA(約470万人)、アマニタ・ムスカリア(約350万人)、ケタミン(約330万人)、**LSD(約300万人)**などが上位に並んだ。サイケデリックの“定番”とされる物質だけでなく、別系統のキノコが上位に入っている点も特徴だ。
さらに注目されるのが「マイクロドージング」の広がりだ。RANDは、通常量よりも少ない量を定期的に摂取するマイクロドージングについても調査を実施。シロシビン、LSD、MDMAのいずれかをマイクロドージングした成人は、過去1年で約1000万人にのぼる推計となった。
とりわけシロシビン利用者に限ると、過去1年で使用した人のうち69%が少なくとも1回はマイクロドージングを行ったと報告。シロシビンは米国で最も利用されているサイケデリックであるだけでなく、“少量摂取”の広がりが際立つ結果となった。
一方で、RANDはこのデータが自己申告に基づくものである点を強調している。マイクロドージングの定義は人によって解釈が分かれやすく、厳密な基準が存在しないことも、実態把握を難しくする要因となる。
米国では近年、州や自治体レベルでサイケデリック政策の見直し議論が進んでおり、研究機関や政策担当者の間でも最新データの必要性が高まっている。RANDは今回の調査結果が、政策設計や公衆衛生の議論に影響を与える可能性があるとしている。
参考記事:U.S. Psychedelic Use and Microdosing in 2025(RAND)
医療用大麻298kgをドイツへ カナダ企業が輸出開始
カナダの大麻関連企業 Herbal Dispatch(ハーバル・ディスパッチ) が、ドイツ向けの医療用大麻輸出を実施した。発表によると、同社は医療用大麻298kgの輸出を完了し、ドイツの医療用市場に向けて出荷したという。
今回の輸出は、同社にとって新たなルートを使った初の事例となった。製品はまずポルトガルのEU-GMP(欧州医薬品製造基準)認証を持つ加工施設へ送られ、同地で基準に沿った加工を行ったうえでドイツ市場へ供給される流れとなる。Herbal Dispatchは、このパートナーを通じた輸出を今後も継続し、複数回の追加出荷を見込んでいるとしている。
同社CEOのフィリップ・キャンベル氏は「最初の輸出を達成できたことは国際展開の重要な一歩だ」とし、ドイツについて「欧州で最大かつ最もダイナミックな医療用大麻市場」と位置付けた。ポルトガルでEU-GMP対応の加工を挟むことで、需要の大きいドイツ市場への供給を安定させ、継続的な収益機会につなげる考えを示している。
ドイツの医療用大麻市場は輸入量が急拡大している。ドイツ連邦医薬品医療機器研究所(BfArM)の統計では、2025年第3四半期に輸入された乾燥大麻花(および同等量)は5万6915kgに達し、前四半期比で増加、前年同期比でも大幅に伸びたとされる。需要拡大を背景に、欧州域内の供給網をどう確保するかが企業側の課題となっている。
Herbal Dispatchは今回の動きについて、ドイツ市場への継続供給に向けた“足がかり”と位置付ける。販売先の拡大だけでなく、EU圏内の加工拠点を活用した供給スキームは、今後の医療用大麻輸出ビジネスにおける一つのモデルとなる可能性がある。
参考記事:Herbal Dispatch announces 298 kg export destined for German market(StratCann)
大麻業界が“料理コラボ”に活路 大麻入りマスタードで話題づくり
米国で“大麻×料理”のコラボが広がりつつある。大麻業界が供給過多や規制の壁で苦戦する中、シェフや飲食店と組んだ「体験型プロモーション」に乗り出し、食を通じた差別化を狙う動きが注目されている。
舞台となったのはシカゴ。1月14日の「全米ホットパストラミの日」に合わせ、老舗ユダヤ系デリ「Steingold’s」と地元ディスペンサリー「Ivy Hall」がタッグを組み、無料のパストラミサンドを提供した。話題を呼んだのはトッピングで、伝統的なブラウンマスタードに“大麻成分入り”を加えたもの。イベント名は「High on Rye(ハイ・オン・ライ)」とされ、会場には行列もできたという。
ただし、狙いは単なる“ウケ狙い”ではない。Ivy Hall側は、消費者に新しい大麻の楽しみ方を提案し、店舗への関心やブランド体験を高める狙いがあると説明する。大麻市場は価格競争が激しく、エディブル(食用大麻)も定番化が進む一方で、他社との差別化が難しい局面にある。だからこそ「食」と組み合わせた企画が、次の打ち手になり得るという見方だ。
一方、大麻と料理の関係は“混ぜる”だけではない。かつてシェフとしても活動していた大麻ブリーダーのジェームズ・ラウド氏は、料理に大麻を直接入れるよりも、食事と大麻の品種を組み合わせて「香りや体感の違い」を楽しむスタイルを重視する。大麻を料理に混ぜると効き始めが遅く、体感のコントロールが難しい点もあるためだという。
“料理に大麻を入れる”にせよ、“料理と大麻を合わせる”にせよ、ビジネスとしてのハードルは低くない。大麻規制が州ごとに異なるほか、飲食業界は原価や人件費の負担が大きく、利益率を確保しにくい構造もある。それでも関係者の間では、球場など大型会場で大麻マスタードが提供される未来を想像する声も出ており、食と大麻の融合は新たな市場づくりの実験として広がり始めている。
参考記事:High on … mustard? Cannabis industry teams up with chefs in push to stand out(The Guardian)
英国で初の医療用大麻「法的相談窓口」始動 警察対応に悩む患者を支援
英国で、医療用大麻を処方された患者が法的な問題を専門家に相談できる窓口が初めて立ち上がった。医療用大麻は合法であるにもかかわらず、警察対応や職場での扱いを巡って混乱が続く中、患者の不安を軽減する狙いがある。
相談サービスを開始したのは、英国の医療用大麻関連企業 Releaf。法律事務所と連携し、患者が直面しやすい警察による職務質問、所持品確認、製品の一時没収、雇用上のトラブルなどについて、法的観点から助言を行う体制を整えた。
背景には、英国警察が新たに示した医療用大麻に関するガイダンスがある。ガイダンスでは、正規に処方された医療用大麻の所持・使用が合法であることが明記されたが、現場の警察官レベルでは十分に浸透していないとの指摘が出ている。患者からは「合法なのに説明を求められる」「処方証明を示しても疑われる」といった声が相次いでいた。
Releafによると、相談窓口にはすでに多くの問い合わせが寄せられており、特に多いのが警察対応への不安だという。外出先での職務質問や、公共の場での使用を巡るトラブルなど、日常生活に直結する相談が目立つとされる。
同社は、医療用大麻患者が「常に違法性を疑われる前提で生活しなければならない状況」は問題だと指摘する。相談サービスを通じて、患者が自らの権利を正しく理解し、必要な場面で冷静に対応できる環境を整えることが目的だとしている。
英国では2018年に医療用大麻が合法化されたが、制度と社会的理解の間には依然としてギャップがある。今回の相談窓口の開始は、単なる制度上の合法化にとどまらず、患者の実生活を支える仕組みづくりとして位置付けられている。
警察ガイダンスの更新と民間による法的支援がどこまで現場の混乱を解消できるのか。英国の取り組みは、医療用大麻制度を導入・運用する他国にとっても一つの参考事例となりそうだ。
幻覚剤治療、事前カウンセリングが重要か 抗うつ効果が高まる可能性
うつ症状の治療として注目されるサイケデリック(幻覚剤)支援療法について、治療前の「準備段階」に十分な時間をかけることで、抗うつ効果がより高まる可能性があることが分かった。米医学誌 JAMA に掲載された新たな分析結果として報告された。
研究は、サイケデリック支援療法に関する複数の臨床試験データを分析し、治療プロセスと症状改善の関係を検証したもの。焦点となったのは、薬物投与そのものではなく、**投与前に行われる心理的サポートやセラピー(準備セラピー)**の時間だった。
その結果、サイケデリックを使用する前に、患者が十分な準備セラピーを受けていたグループほど、抑うつ症状の改善幅が大きい傾向が確認されたという。準備段階では、治療への理解を深めたり、不安を軽減したりするための対話が行われ、体験そのものを安全かつ意味のあるものとして受け止める土台づくりが重視される。
研究者らは、サイケデリック支援療法の効果は「薬の作用だけで決まるものではない」と指摘する。幻覚体験中に生じる感情や思考をどう理解し、どう統合するかが重要であり、そのためには事前の心理的準備が欠かせないとする見方だ。
これまでの臨床試験では、投与後のフォローアップや統合セラピーの重要性が指摘されてきたが、今回の分析は治療前の準備プロセスそのものが治療効果に影響を与える可能性を示した点で注目される。
一方で、研究は「準備セラピーの最適な内容や時間」について、明確な基準を示すものではない。どのような支援が、どの患者にとって最も効果的なのかについては、今後さらなる検証が必要とされる。
サイケデリック支援療法は、従来の抗うつ薬が効きにくい患者への新たな選択肢として期待されているが、安全性や実施体制を巡る議論も続いている。今回の研究結果は、単に薬物の効果を評価するだけでなく、治療全体の設計が成果を左右することを示唆するものとなった。
今後、サイケデリック支援療法が医療現場で本格的に導入される場合、準備セラピーを含めた包括的な治療モデルの構築が重要な課題となりそうだ。
米カリフォルニア州で違法大麻の大量摘発 2025年だけで約90億円相当押収
アメリカ・カリフォルニア州で、2025年に違法大麻の押収額が過去最大級の記録に達したことが分かった。州当局が統括する合同捜査チームの発表によると、違法な大麻製品およそ37万7,000ポンド(約17トン)、評価額約6億900万ドル(約90億円超)が押収・破棄されたという。これは2022年の合同対策本部設置以来の成果で、取締強化が違法市場への大きな打撃となった。
この合同対策チームは Unified Cannabis Enforcement Task Force(UCETF) と呼ばれ、州政府、地方警察、連邦機関ら60以上の部門が連携し、違法な大麻栽培・販売の摘発に当たっている。2025年には23郡で48件以上の摘発作戦が展開され、250件超の令状執行につながったとされる。
押収・破棄された違法大麻の内訳を見ると、乾燥大麻製品の総量は188トン超に達し、主な摘発地域はロサンゼルス、アラメダ、モントレー、カーン、チュレア各郡となっている。地元当局は、違法栽培や販売がおよぼす環境破壊や公衆衛生へのリスクにも懸念を示し、法令遵守の重要性を強調している。
カリフォルニア州は米国内でも合法大麻市場が最大規模だが、**規制済みの合法市場と連動しない“裏市場”**の存在が長年の課題となってきた。違法栽培は通常の税金・安全基準を無視して価格を下げ、合法ディスペンサリー(販売店)との価格差を生む要因にもなっていた。今回の大規模摘発は、違法サプライチェーンの根絶に向けた強いメッセージとされている。
UCETFの取り組みは単なる大麻製品の押収だけにとどまらない。違法大麻の栽培に関連するハザードな農薬使用、労働搾取、税金逃れなどの違法行為も併せて摘発対象としており、法執行の視点から環境・労働・消費者保護の強化を目指しているという。
合同チームは複数の機関を横断する連携で、2025年の摘発累計額を1億2,000万ドル(約180億円)以上に押し上げたとしており、これは設立以来の総額を大きく上回るペースだと報告されている。違法市場の縮小は、カリフォルニア州の合法的な大麻産業の健全な発展にも寄与するとの見方が強まっている。
大麻市場の合法化と規制強化を両立させる取り組みは、同州のみならず他の合法州にも影響を与える可能性があり、2026年に向けた動向として警察・政府・業界の動きが注目される。
参考記事:California tops $1.2 billion in illegal cannabis seizures, up 18x since 2022(California.gov)


