2026年1月17日から2026年1月23日の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。
※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。
フランス医療大麻、また延長へ
フランスで医療用大麻の提供が、また“延長”されることになった。保健省は、長年続く医療大麻のパイロット制度について、2026年3月31日の期限を超えて継続すると明らかにした。対象となるのは、すでに制度に登録している患者で、突然治療が打ち切られる事態を避けるための措置だという。
今回の発表は、フランス医薬品・保健製品安全庁(ANSM)の臨時科学委員会の会合で示された。ただ、延長期間が「どれくらいになるのか」は現時点で明確にされておらず、患者や関連企業の間では不透明感が残っている。
一方で、より大きな問題として浮上しているのが、医療大麻を全国で恒久的に利用できる「一般化制度(恒久制度)」の停滞だ。フランスでは5年にわたり制度設計が進められ、恒久制度はすでに“準備完了”に近い段階にあるとされてきた。それでも最終的な施行が進まず、患者アクセスの拡大は足踏み状態が続いている。
報道によれば、恒久制度は2025年3月に欧州委員会へ提出され、6月に承認、さらに8月にはフランスの行政最高裁にあたるコンセイユ・デタ(国務院)でも検証が済んだという。それでも残る手続きは閣僚の署名と官報(Journal Officiel)での公布のみで、制度が動き出す“最後の一手”が止まったままになっている。
業界側からは「患者の治療継続のため延長は必要だが、本当に求めているのは新規患者が恒久的にアクセスできる仕組みだ」との声も出ている。患者団体側も延長を歓迎しつつ、「延長だけでは限界がある。政府は実験を終え、恒久制度に移行すべきだ」と訴えている。
背景には政治の混乱もあるとされる。国民議会の解散や政権交代によって医療大麻が政治優先順位の下位に押し下げられ、行政手続きが停滞してきたという指摘もある。
さらに制度が動かないことで、費用負担の設計も決まらない。恒久制度が公布された後は、高等保健当局(HAS)が償還(保険適用や価格設定)評価を進める必要があるが、HASは「評価手続きの根拠となる政令が正式に公布されない限り、作業を完了できない」との立場を示しているという。患者が最終的にいくら支払うのかも、依然として見通せない状況だ。
患者の治療は途切れない一方、制度の“本番”は見えないまま――。フランス医療大麻は、延長でつなぎながらも、恒久制度の停滞という根本課題を抱え続けている。
米NY州、ヘンプ建材の製造ラボに約1億5,000万円投資
米ニューヨーク州が、産業用ヘンプ(麻)を建材などに加工する製造拠点の整備に乗り出した。米レンセラー工科大学(RPI)は、ヘンプを建設資材・繊維・包装材へ転換する製造ラボ設立に向けて100万ドル(約1億5,000万円)を確保したと発表。州として持続可能なバイオ製造の先進地域を目指す動きが鮮明になっている。
資金は、RPIの「Seed to City」イニシアチブに対して提供されるもの。ニューヨーク州農業・市場局(New York State Department of Agriculture and Markets)が行う総額500万ドルの投資枠の一部として交付された。背景には、政府や産業界が“炭素集約型素材”に代わる選択肢を求めている現状がある。
注目されるのが、ヘンプが「成長が早く、効率よく炭素を吸収する作物」として位置づけられている点だ。RPI側は、建築分野が大きなCO2排出源となっていることを踏まえ、低炭素・健康志向の建材需要が高まっていると説明。だが一方で、再生可能素材の供給網が十分に整っていない現実があり、今回の取り組みはその“空白”を埋める狙いがあるという。
新設される「Seed to City Manufacturing Lab」には、ヘンプ繊維を高性能素材へ加工するための専用設備が導入される予定。構造ブロック、天然繊維の鉄筋(リバー)、断熱リフォームパネル、次世代サイディングなど、従来は炭素負荷の高いプロセスで作られてきた建材に対抗しうる製品開発を進めるという。
また、米国では2018年の農業法(Farm Bill)以降、ヘンプ栽培自体は広がったものの、加工インフラ不足や市場の不確実性から、産業としての拡大には課題が残ってきた。RPIはこのギャップを埋めるため、製造プロセスの開発や試作品づくり、ニューヨーク州内のヘンプ関連企業との連携を通じて、需要創出を狙うとしている。
研究チームは、将来的にヘンプ由来素材が州内の建設プロジェクトへ流れ込むことで、植物由来の循環型経済(plant-based circular economy)につながる可能性を示唆。輸入材への依存を減らし、農村地域の雇用創出にもつなげたい考えだ。
大麻・ヘンプ産業は“嗜好品”の文脈で語られがちだが、建築・素材分野では脱炭素の切り札として存在感を強めている。ニューヨーク州がヘンプの「下流工程(製造)」に投資した今回の動きは、ヘンプ産業の新たな勝ち筋を示す材料になりそうだ。
米ワシントン州で「家庭栽培」解禁法案 大麻6株までOK、世帯上限は15株
米ワシントン州で、大麻の“自宅栽培”を合法化する新たな法案が提出された。州上院議員らが提出した SB6204 では、21歳以上の成人が自宅で最大6株まで大麻を栽培できるようにする内容が盛り込まれている。
ただし無制限に増やせるわけではなく、1つの住居(世帯)あたり最大15株までという上限も設定された。成人が複数人暮らす世帯でも、栽培できる株数は15株を超えない仕組みとなっている。
さらに法案では、自宅栽培で収穫した大麻について、州が定める所持上限(1オンス)を超えて保管することも可能とされている。現行制度では所持量に制限があるが、家庭栽培を認める以上、収穫物を合法的に保管できるよう整合性を取る狙いがある。
ワシントン州は大麻合法化が進む州として知られる一方で、成人向け大麻が合法でも「家庭栽培」は長年、制度上の壁となってきた。今回の法案が成立すれば、購入だけでなく「自分で育てる」選択肢が広がり、合法化の枠組みが一段進む可能性がある。
今後は委員会審議などを経て、州議会での議論が本格化する見通しだ。合法大麻市場が成熟する中で、家庭栽培の解禁が消費者と事業者のバランスをどう変えるのかも注目点となりそうだ。
参考記事:New Washington Bill Would Legalize Home Cultivation Of Marijuana(Marijuana Moment)
米モンタナ州の大麻売上が過去最高 年490億円規模に
米モンタナ州の合法大麻市場が、また“過去最高”を更新した。州歳入局のデータによると、2025年の成人向け(嗜好用)大麻の販売額は約490億円(3億2700万ドル)に到達。2022年1月に成人向け販売が始まって以降、売上は堅調に伸び続けており、合法市場の定着が鮮明になっている。
モンタナ州ではこの4年間で、大麻の累計販売額が約1,500億円超(10億ドル超)に達した。一方、市場の構成は大きく変化している。成人向け販売がスタートした2022年当初は、医療用大麻も一定の存在感を持ち、売上全体の約3分の1を占めていた。しかし現在は、成人向けが購入の大半を占める状況になり、医療用の比率は縮小している。
背景にあるのは、医療用市場の“急速な縮小”だ。合法販売が始まってから2025年末までの間に、月間の医療用大麻売上は70%以上減少したとされる。成人向け市場が広がる中で、医療カードを取得して購入するメリットが薄れたことが影響している可能性がある。
実際、税制の差は大きい。モンタナ州では成人向け大麻に20%の税率が課されるのに対し、医療用は**4%**に抑えられている。それでも医療用カードの取得には一定の費用がかかり、少量しか購入しない層にとっては、税率の低さが“回収できない”ケースも出ているという。
成人向け市場の拡大は、州の税収にも直結した。2025年に州が大麻販売から得た税収は約90億円(約6000万ドル)。成人向けが市場の中心になったことで、税収は合法化初期から大きく伸びている。
さらに市場を支えているのが、価格の下落だ。州のデータでは、大麻製品の平均価格が全体的に下がっており、2024年7月から2025年6月までの間、1グラムあたりの平均価格は約800円(5.34ドル)。販売開始当初の「約1,000円超(7ドル超)」から大きく下がった。値下がりが購入量を押し上げ、売上増加につながった構図が見えてくる。
“値下がりでも売上最高”という結果は、合法大麻市場が成熟期に入ったサインとも言える。医療用が縮小し、成人向けが市場をほぼ支配する形になったモンタナ州。今後もこの成長が続くのか、価格競争の行方も含めて注目される。
参考記事:Montana adult-use cannabis sales hit record $327 million(MJBizDaily)



