2025年12月13日から2025年12月19日の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。
※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。
トランプ政権、大麻の再分類を検討 連邦規制緩和へ大きな一歩になるか
アメリカのドナルド・トランプ大統領が、大麻(マリファナ)を連邦法上の「危険性の高い薬物」から、より規制の緩いカテゴリーへと再分類する方針を検討していることが分かった。再分類は連邦政府の大麻政策としては1970年代以来最大の変化となる可能性があるとみられており、業界関係者や投資家の間で大きな注目を集めている。
現在、大麻は連邦法の規制物質法(Controlled Substances Act)に基づき、Schedule I(最も危険で医療用途が認められていない物質)のカテゴリーに位置付けられている。この分類はヘロインやLSDと同じ扱いで、連邦の大麻に関する研究や銀行取引、税控除などに大きな制約を課してきた。今回の再分類構想では、これをSchedule IIIに移すことで、コデイン入り鎮痛剤などと同等レベルの規制とする方向が検討されている。
トランプ氏は12月11日、下院議長マイク・ジョンソン氏と電話で政策を協議。その後、保健福祉省長官ロバート・F・ケネディJr.氏やCMS(メディケア・メディケイドサービスセンター)のトップ、そして大麻業界の重役らとも意見交換を行ったと伝えられている。ジョンソン氏は慎重な姿勢を示したものの、トランプ氏は再分類に前向きな姿勢を崩していないという。
ただし、再分類が即座に実現するわけではない。ホワイトハウス当局者は「最終決定に至っていない」と述べており、実施には連邦法に基づく規則制定プロセスを経る必要があるとされる。大統領の**行政命令(Executive Order)**を通じて司法省に再分類の方向性を示す計画があるものの、法的手続きの詳細は未確定だ。
再分類が実現すれば、大麻関連ビジネスには追い風となる可能性がある。Schedule III として扱われれば、現在の厳しい税制規制(Section 280E)や銀行サービスへのアクセスの困難といった障壁が緩和される可能性が指摘されている。また、医療用途の研究や製品開発の裾野が広がるとの見方もある。実際、大麻株式市場では報道を受けて関連株が急騰する動きもみられ、投資家の関心は高まっている。
一方で、この政策方向には批判もある。完全な合法化ではないため、州ごとの法制度との整合性、青少年への影響、依存性や安全性に対する懸念が依然として残る。専門家の間では、「医療用途を正式に認識することで規制のあり方が変わる一方、乱用対策も強化されるべきだ」との意見も出ている。
アメリカではすでに40州以上で医療用大麻が合法化され、24州で成人用の使用も認められているが、連邦法上では依然として全面的な合法化には至っていない。今回の再分類検討は、そうした法制度の大きな転換点となる可能性をはらんでいる。
大麻産業は数十億ドル規模の成長市場であり、法制度の変化は国内の事業者のみならず、ヘンプ・カンナビノイド関連の国際ビジネスにも大きな影響を及ぼすと見られている。
参考記事:Trump seeks to cut restrictions on marijuana through planned order(Washington Post)
プライム市場上場の平田機工、CBD製品の残留THC検査サービス開始へ
産業機械メーカーの平田機工が、大麻草由来成分を含む製品、いわゆるCBD製品を対象とした残留麻薬成分検査サービスを2026年2月から開始すると発表した。対象となるのは、Δ9-THCおよびΔ9-THCA-Aで、日本の法令で定められた残留限度値への適合を確認する目的で実施される。
同社はこれまで、植物をはじめとする生物遺伝資源の分析・解析・評価に関する技術を蓄積してきた。2025年4月からは受託分析サービスを展開しており、今回のCBD製品向け検査はその延長線上に位置づけられる。市場拡大が進むCBD関連製品において、品質管理と法令遵守の重要性が高まっていることを背景に、本格的なサービス提供に踏み切った形だ。
国内では、大麻取締法および麻薬及び向精神薬取締法の改正により、2024年12月以降、CBD製品など大麻草由来成分を含有する製品について、残留麻薬成分の規制が明確化された。これにより、製造・販売事業者は、製品が基準値を超えていないことを示す検査体制の整備を求められている。一方で、高精度な分析を実施できる検査機関は限られており、業界内では検査体制の確保が課題となっていた。
平田機工が提供する検査サービスでは、油脂、水溶液など製品形態を問わず対応可能とし、分析手法には厚生労働省の通知に準拠したLC-MS/MS法を採用する。これにより、微量成分の定量を含め、信頼性の高い分析結果の提供を目指すとしている。
CBD市場をめぐっては、法改正を受けて「安全性」と「コンプライアンス」が事業継続の前提条件となりつつある。今回の検査サービス開始は、CBD製品を取り扱う企業にとって、製品開発や流通におけるリスク低減につながる動きと言えそうだ。
分析・検査インフラの整備が進むことで、国内CBD市場の健全化が進むのか。平田機工の新たな取り組みは、法改正後の業界動向を占う一つの指標として注目される。
参考記事:大麻草由来の成分を含有する製品(CBD含有製品)検査サービス 2026年2月よりスタート(平田機工株式会社)
ウルグアイ、観光客向け大麻販売を検討か
南米ウルグアイで、観光客や非居住者でも合法的に大麻を購入できるようにする政策変更が検討されていることが分かった。長年にわたり大麻の販売は同国の居住者に限定されていたが、規制拡大の可能性が現実味を帯びてきた。
ウルグアイは2013年に世界で初めて国家レベルで大麻の成人使用を合法化し、その後2017年から登録済みの薬局で合法的な大麻販売を開始。現在は成人の居住者のみが販売対象となっている。過去には非居住者への販売拡大案が議論されたものの実現には至っていなかったが、最近の政策検討により状況が変わりつつある。
現地報道によると、ウルグアイの大麻統制機関「Cannabis Regulation and Control Institute(IRCCA)」の幹部は、**「18歳以上の観光客や非居住者でも大麻を合法的に購入できる可能性を分析している」**と述べているという。これは、現在合法市場にアクセスできない訪問者が、裏市場に流れている現状を是正し、正式な流通チャネルに誘導する狙いがあるためだとされる。
ウルグアイでは2025年時点で、約7万5,000人の成人利用者が法的に大麻を購入できる登録を済ませているほか、460のカンナビスクラブや自家栽培の登録者も存在するという。合法的な市場が確立している一方、観光客に限定した政策変更は、規制モデルとしても世界的に注目される可能性がある。
観光客向け販売が実現すれば、旅行者が合法的に大麻を購入・消費できる初の国となる可能性がある。これは合法市場の売上拡大と黒市場の縮小につながるとの期待から、政策担当者の間でも議論が進んでいる。
一方で、観光客向け販売をめぐる制度設計や安全管理、地域社会への影響などは今後の課題として残る。ウルグアイは既に大麻の規制モデルとして先駆的な存在であり、この新たな動きが国際的なカンナビス政策にも波紋を広げる可能性があるだろう。
参考記事:Uruguay Is Considering Legal Cannabis Sales To Non-Residents(International CBC)
トランプ大統領、連邦レベルで大麻の再分類に関する大統領令に署名
アメリカのドナルド・トランプ大統領が12月18日、大麻(マリファナ)を連邦法上の危険性の高い薬物カテゴリー「Schedule I」から、より規制の緩い「Schedule III」へ再分類する大統領令に署名した。規制緩和の一環で医療研究やビジネス環境の改善を目指すも、連邦での全面的な合法化には至らなかった。
大麻はこれまで連邦法の下でヘロインやLSDと同等の最も厳しい薬物カテゴリーに位置付けられ、研究や銀行サービスの制約、税制上の不利など多くの規制を受けてきた。今回の再分類により、大麻はケタミンや一部の処方薬と同じカテゴリーとされ、医療用途の研究やCBD関連製品のアクセス改善などが見込まれる。
トランプ氏は署名式で、大麻が「医療的価値を持つ可能性」と「痛み緩和など患者のニーズ」を理由に規制見直しを進める意義を強調。一方で、再分類は娯楽利用の合法化ではないと明言し、依然として大麻は連邦法では規制物質のままであると説明した。
再分類は、CBD製品の税制優遇や合法州のビジネスへの貸付・銀行アクセスなどにも影響を及ぼす可能性がある。特に医療研究の面では、規制の緩和が新たな臨床試験や治療法開発を促すとの期待もあるが、即座に規制が消えるわけではない。
ただし市場の反応は一様ではない。投資家の間では、再分類が全面合法化に及ばないとの見方から、カンナビス関連株が急落する場面も見られたという報道がある。
また、制限緩和に対する批判も根強い。規制緩和が青少年の使用増加や公衆衛生への影響を招くとの懸念を示す専門家や議員も存在し、今回の措置が評価と反発の両面から捉えられていることが分かる。
この大統領令は、米国における連邦レベルの大麻政策としては過去数十年で最大級の変更とみなされる。医療利用の正当性を連邦法が部分的に認めた今回の動きは、各州で進む合法化の動きと絡み合いながら、今後の制度設計や業界動向に影響を与える可能性がある。



