米国の州ごと大麻売上・税収・税率|大麻市場

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みなさん、こんにちは。
CANNABIS INISIGHT(カンナビスインサイト)のたかおみです。

今回はアメリカの州ごとの売上・税収・税率の比較データ表を見て、アメリカの大麻市場について考察していきたいと思います。

本記事は市場の成熟度や税政策が売上と税収にどのように影響しているかなど様々な観点から考察します。特に、カリフォルニア州やニューヨーク州などの大規模市場から、ミズーリ州のような最近合法化された州の市場まで、各州ごとの成長戦略の違いが浮き彫りになっています。

目次

各州の売上・税収

以下は、2024年7月時点での14州の大麻関連商品の売上、および州ごとの税収のデータをまとめたものです。

売上

州名

売上 (2024年7月, $)

前年比成長率

一人当たりの売上(売上/人口, $)

アリゾナ州

$90.31M

-14.5 %

12.15

カリフォルニア州

$344.03M

-7.5 %

8.83

コロラド州

$99.93M

-17.6 %

17.00

イリノイ州

$166.19M

-0.4 %

13.24

メリーランド州

$97.38M

+10.7 %

15.76

マサチューセッツ州

$141.74M

+3.6 %

20.24

ミシガン州

$286.26M

+3.5 %

28.52

ミズーリ州

$123.29M

+0.1 %

19.90

ネバダ州

$57.76M

-14.1 %

18.08

ニューヨーク州

$60.37M

+279.7 %

3.08

オハイオ州

$38.06M

-14.3 %

3.23

オレゴン州

$81.93M

-0.1 %

19.35

ワシントン州

$103.11M

-3.4 %

13.20

出典:
Headset
State Population Totals and Components of Change: 2020-2023

税収

※ 売上情報のある州を太字にしています。またオハイオ、ミネソタ、デラウェア、ロードアイランドは近年(2023, 2022)合法化が行われたため、データが不足している部分があります。

州名

2023年の税収 (千ドル)

2022年の税収 (千ドル)

増減率 (%)

アラスカ州

28,252

29,949

-5.7%

アリゾナ州

176,244

151,427

+16.4%

カリフォルニア州

567,354

712,405

-20.4%

コロラド州

262,991

303,242

-13.3%

イリノイ州

278,165

284,731

-2.3%

ルイジアナ州

993

616

+61.2%

メイン州

33,770

27,350

+23.5%

マサチューセッツ州

168,110

157,796

+6.5%

ミシガン州

270,376

190,606

+41.8%

ミズーリ州

67,359

14,787

+355.6%

モンタナ州

49,352

35,781

+38.0%

ネバダ州

94,395

139,618

-32.4%

ニュージャージー州

18,861

23,853

-20.9%

ニューメキシコ州

32,482

21,814

+48.9%

ニューヨーク州

33,453

11,774

+184.1%

オクラホマ州

51,014

54,696

-6.8%

オレゴン州

169,434

174,011

-2.6%

ペンシルベニア州

33,699

33,897

-0.6%

ロードアイランド州

5,186

2

+259,200.0%

バーモント州

13,918

862

+1,514.0%

ワシントン州

460,279

484,009

-4.9%

出典:Cannabis Excise Sales Tax Collections

税率

州名

税率

アラスカ州

成熟した花:1オンスあたり$50;
未熟な花:1オンスあたり$25; トリム(葉や小枝):1オンスあたり$15;
クローン1つあたり$1

アリゾナ州

小売価格の16%の消費税

カリフォルニア州

卸売価格に基づく平均市場価格に対する15%の消費税;
栽培税: 花1オンスあたり$9.65、葉1オンスあたり$2.87;
新鮮な大麻植物1オンスあたり$1.35

コロラド州

卸売価格に基づく平均市場価格に対する15%の消費税;
小売価格の15%の消費税;
小売価格の3%の消費税

コネチカット州

植物材料中のTHC 1ミリグラムあたり$0.00625;
食品中のTHC 1ミリグラムあたり$0.0275;
非食品製品中のTHC 1ミリグラムあたり$0.09

イリノイ州

卸売価格の7%の消費税;
35%以下のTHCを含む製品に対する10%の税;
大麻入り製品に対する20%の税; THC濃度が35%以上の製品に対する25%の税

メイン州

小売価格の10%の消費税;
花1ポンドあたり$335;
トリム1ポンドあたり$94; 幼植物や苗1つあたり$1.5;
種子1つあたり$0.3

メリーランド州

決定中

マサチューセッツ州

小売価格の10.75%の消費税

ミシガン州

小売価格の10%の消費税

ミズーリ州

小売価格の6%の消費税

モンタナ州

小売価格の20%の消費税

ネバダ州

卸売価格に基づく公正市場価値に対する15%の消費税; 小売価格の10%の消費税

ニュージャージー州

小売価格が1オンスあたり$350以上の場合は最大$10;
小売価格が1オンスあたり$250以上$350未満の場合は最大$30;
小売価格が1オンスあたり$200以上$250未満の場合は最大$40;
小売価格が1オンスあたり$200未満の場合は最大$60

ニューメキシコ州

小売価格の12%の消費税

ニューヨーク州

花に含まれるTHC 1ミリグラムあたり$0.005;
濃縮物に含まれるTHC 1ミリグラムあたり$0.008;
食品中のTHC 1ミリグラムあたり$0.03;
小売価格の13%の消費税

オレゴン州

小売価格の17%の消費税

ロードアイランド州

小売価格の10%の消費税

バージニア州

小売価格の21%の消費税

バーモント州

小売価格の14%の消費税

ワシントン州

小売価格の37%の消費税

出典:Recreational Marijuana Taxes by State, 2023

考察

売上に関する考察

2024年7月の売上データを見ると、各州の市場の状況が大きく異なっていることが分かります。

まず、カリフォルニア州は最も大きな市場規模を維持していますが、前年比で-7.5%の減少を記録しています。この減少は、州内の市場がすでに成熟し、新規顧客の獲得が難しくなっていることや、価格競争の激化が要因として考えられます。また、合法市場の拡大に伴い、違法市場からの移行が進んでいるものの、既存の消費者数が飽和状態にある可能性もあります。カリフォルニア州のような大規模市場では、今後、新たな成長戦略を見つけることが重要となります。

一方、ニューヨーク州は前年比+279.7%という急成長を見せており、これは市場が合法化されて間もないため、需要が急激に拡大していることを示しています。このような急成長は、一時的なブームに終わらせないためのインフラ整備が求められます。さらに、ニューヨーク州の成長は他の州にも波及効果をもたらす可能性があり、これが周辺地域や全米の市場にどのように影響するか注目されます。

アリゾナ州ネバダ州など、前年比で売上が減少している州は、市場の飽和や他州との競争が激化している可能性があります。特に、ネバダ州は観光客による消費が大きな割合を占める市場であり、観光業の動向が売上に直接影響を与えていると考えられます。これらの州では、観光業との連携強化や、新たな消費者層の開拓が今後の課題となるでしょう。

さらに、ミシガン州マサチューセッツ州のような、売上が小幅ながらも増加している州は、市場の成熟度に応じた適切な成長戦略が効果を発揮していることを示しています。これらの州では、新製品の導入やマーケティングの強化が奏功している可能性があり、持続的な成長が期待されます。

税収に関する考察

各データを組み合わせることで、各州の税収動向についてより深い理解が得られます。この税収データは嗜好用大麻に限定したデータですが一定の情報が得られてると思います。

高税率と高税収の相関

ワシントン州は、小売価格に対して37%という非常に高い税率を適用しています。この高税率は、売上が比較的安定しているにもかかわらず、依然として高い税収を維持している理由の一つと考えられます。高い税率が消費者の負担を増大させるリスクはありますが、適切に運用されることで、州政府の収入を大幅に増加させる効果があります。ワシントン州のように高い税率を維持することで、他州にも効果的な税収確保のモデルを提供しています。

中程度の税率と安定した税収

カリフォルニア州は、卸売価格に基づく15%の消費税に加えて、栽培税や新鮮な大麻植物に対する追加税を課しています。これにより、州は大きな税収を確保していますが、市場が成熟しつつあるため、売上の減少が税収に影響を与えないような施策が求められます。具体的には、栽培税や卸売税の見直しにより、適正なバランスを保つことが重要です。

ミシガン州マサチューセッツ州のように、中程度の税率(10%程度)を採用している州では、税収が安定しています。これらの州は、市場の成長と税収のバランスを保つために、適度な税率を設定していると考えられます。

低税率と急増する税収

ニューヨーク州は、小売価格に対して13%の消費税を課していますが、THC含有量に基づく課税も行っています。この州では売上が急増しているものの、税収がまだ相対的に低いのは、課税体制が整備されている途上であるためと考えられます。また、消費者が合法市場に完全に移行していないことも影響している可能性があります。今後、税収をさらに向上させるためには、違法市場の抑制や合法市場の利便性向上が求められます。

税率と税収の不一致

ミズーリ州は、小売価格に対して6%という比較的低い税率を採用していますが、それにもかかわらず税収が大幅に増加しています。この現象は、税率の低さが消費者にとって魅力的であるため、消費を促進し、結果として税収が増加している可能性があります。これは、低税率でも税収を効果的に増加させるモデルとなり得ることを示唆しています。

まとめ

売上と税収のデータを比較して分析すると、各州ごとに異なる市場の成熟度や税政策が明らかになります。市場が成熟しつつある州では、新たな成長を促すためのアプローチが必要であり、急成長している州では、持続可能な成長を実現するためのインフラと規制の整備が不可欠です。また税収を最大化するためには、売上に依存するだけでなく、効果的な税政策の導入と非公式市場からの移行促進が求められます。税率が高いことは大麻事業者にとって大きな影響を与えますが、税収が高くなることで大麻のイメージ改善や自治体が合法化に積極になるなどマクロの観点から見ると良いことも多いかもしれません。

税率を下げることで事業者が持続的に事業を続けることも重要であるため、規制にはバランスを取る必要があります。

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※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

赤木 孝臣のアバター 赤木 孝臣 CANNABI INSIGHT代表/編集長

2022年4月20日にCANNABIS INSIGHTを創刊。国内外の大麻・CBDニュースの発信や、国内有識者へのインタビュー、産業動向の解説などを行っている。CBD業界の情報発信として「CBD白書」「ASAラジオ」「大麻・CBDニュース総選挙」などの企画を運営。業界イベントへの登壇や取材活動も行い、日本のCBD・ヘンプ産業に関する情報発信とコミュニティ形成に取り組んでいる。さらに、CBD原料比較プラットフォーム「アサバンク」を開発し、原料サプライヤーと事業者をつなぐ業界インフラの構築を進めている。

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