週刊大麻ニュース|10月4日 – 10月10日

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2025年10月4日から2025年10月10日の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。

※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。

目次

タイ新政権、4カ月で大麻政策は動くか アヌティン氏が舵取り

タイの新首相に就任したアヌティン・チャーンウィーラク氏が、大麻政策の再起動に向けて注目を集めている。アヌティン氏は保健相時代の2022年に脱犯罪化を主導した“カンナビス推進派”として知られ、9月5日の議会投票で首相に選出。人民党の条件付き支援を受けた移行内閣として、4カ月以内に議会を解散し総選挙に進む見通しだ。短期政権ながら、停滞していた制度設計をどこまで進められるかが焦点となる。

国内では昨年以降、公共衛生を理由に「麻薬再指定」を求める声が強まり、規制強化に振れた。一方、業界や投資家は、アヌティン政権下で“全面禁止でも無規制でもない”医療中心の枠組みへと収れんするとの見立てを強める。専門家は、医師の関与や処方を前提にしたアクセス、品質基準の引き上げ、研究と追跡調査の拡充が現実的な落とし所になると指摘する。

首相就任直後の報道でも、アヌティン氏は物価・家計債務・観光のテコ入れを優先課題に挙げつつ、短い任期の中で優先度の高い案件を前に進める姿勢を示した。大麻産業は観光や農業の裾野が広く、適正管理と医療・ウェルネス需要の取り込みが実現すれば、地域経済の下支えとなる可能性がある。市場筋は「年内に制度の方向性が示されれば、来年の選挙後に具体化が加速する」と見る。

一方で、人民党の支援条件により年明けまでに議会解散が予定され、政権の安定性は限定的だ。制度改正は省令・告示レベルの手直しから着手し、医療アクセスを軸にした“段階的な合法化の再設計”を打ち出せるかが勝負どころ。政治の先行きが不透明な中、投資や観光の回復と歩調を合わせられるかが試される。

海外メディアも「大麻の脱犯罪化を主導した政治家の返り咲き」が業界再生の追い風になると報じており、短期政権の“4カ月”をどう使うかに視線が集まっている。

参考記事:Hope for Thailand: ‘Cannabis Champion’ Anutin Charnvirakul Becomes Prime Minister(Business of Cannabis)

ポルトガル、医療用大麻の品質基準を強化 医療市場を“次段階”へ

ポルトガルの医療用大麻カンファレンス「PTMC Lisbon 2025」が先週リスボンで開かれ、同国の医療用大麻政策と産業の「次の一手」を巡る議論が交わされた。医薬規制当局InfarmedのVasco Bettencourt氏は、違法組織摘発「Erva Daninha」後もセクターは「レジリエント(強靱)」だと強調。輸出入の登録・追跡に国連のNational Drug Control Systemを導入し、遅延が指摘されるライセンス審査の改善や新たなモニタリング体制の構築を進めると表明した。産業パネルでは、信頼性・再現性の高い製造(EU-GMP準拠)と、カプセルや外用薬、吸入デバイスなど“医薬品らしい”剤形の拡充が普及の鍵になるとの見方で一致。臨床試験とリアルワールドエビデンスを組み合わせたハイブリッド検証が有効だとも指摘された。

一方、生産現場からは「理想的気候」とされるポルトガルでも夏季の高温・高湿が温室栽培のボトルネックになり、HVACや乾燥工程の不備はコンタミや照射対応のコスト増につながる“痛点”だと報告。グローバル供給網では、ドイツの規制強化観測や表示・含有量ルールの不一致が取引の遅延要因になっているとの声が上がった。会期末には非犯罪化25年を節目に政党代表と研究者が討論し、「科学的根拠に基づく透明な政策形成」を求める提言で締めくくられた。ポルトガルは欧州でも有数の生産・輸出国だが、制度と実務の歩調合わせを急がなければ「成長の踊り場」を招きかねないとの危機感が共有された。

参考記事:Portugal Debates Path Forward for Medical Cannabis: Key Takeaways From PTMC Lisbon 2025(Cannabis Health)

ドイツ、オンラインでの大麻販売を制限 対面診療必須・郵送禁止に

ドイツ政府は、オンラインでの大麻販売を制限する方針を固めた。内閣は8日、処方大麻の取得に関して医師との対面診療を必須とし、郵送販売を禁止して薬局での対面受け渡しに限定する法改正案を承認。昨年4月の嗜好用合法化以降に輸入量が急増している現状を受け、過度な輸入とオンライン診療の乱用を抑える狙いだという。保健相のニナ・ヴァルケン氏は「個別の医療接点のないオンライン処方や輸入の急増には政治的対応が必要だ」と述べた。

政府によれば、2025年上半期の大麻輸入は前年同期比で400%超の増加となった。一方、公的医療保険を通じた処方件数は一桁台の伸びにとどまり、重症患者の増加が輸入急増の主因ではないとの見方を示している。今回の規制で、患者へのカウンセリングを薬局で確実に実施し、副作用や相互作用への対応力を高める方針だ。

ドイツは欧州最大級の医療用大麻市場で、2024年の法改正で一定の自家栽培・所持が非犯罪化され、処方のハードルも下がった。だが、今年に入り輸入の膨張が続き、相次ぐ報道では当局が新規の乾燥花の輸入許可を当面停止しているとの指摘も出ている。市場の過熱を抑えつつ、患者のアクセスをどう確保するかが課題になる。

改正案は今後、議会手続きを経て施行時期が決まる見通し。各州の運用や遠隔医療の位置づけとの整合、輸入・流通の透明化など、実務面の詳細が焦点となる。

参考記事:Germany restricts online cannabis sales amid import boom(Reuters)

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

赤木 孝臣のアバター 赤木 孝臣 CANNABI INSIGHT代表/編集長

2022年4月20日にCANNABIS INSIGHTを創刊。国内外の大麻・CBDニュースの発信や、国内有識者へのインタビュー、産業動向の解説などを行っている。CBD業界の情報発信として「CBD白書」「ASAラジオ」「大麻・CBDニュース総選挙」などの企画を運営。業界イベントへの登壇や取材活動も行い、日本のCBD・ヘンプ産業に関する情報発信とコミュニティ形成に取り組んでいる。さらに、CBD原料比較プラットフォーム「アサバンク」を開発し、原料サプライヤーと事業者をつなぐ業界インフラの構築を進めている。

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