大麻上場企業『Weedmaps』の会社概要、IT事業、決算書をご紹介

s-1920x1080_v-frms_webp_bede68f4-005a-4fb9-8b19-29cca624fa4c_regular.webp

今回は、大麻業界で有名な上場企業「Weedmaps」のサービス概要や決算書をご紹介します。

CANNABIS INSIGHTでは海外の大麻上場(有名)企業に関する解説記事をお届けする『世界の大麻企業』という企画をやっていきたいと思います。ユニコーン企業に負けない企業規模や最新テクノロジーを駆使したスタートアップ、ラッパーが立ち上げた企業まで特徴的な企業が多く、興味深い情報をお届けできればと思います。

CANNABIS INSIGHT(カンナビスインサイト)はビジネスや経済という観点から大麻業界を紐解いていく大麻情報系メディアです。CBDビジネスをリサーチしている方、世界の大麻情報を知りたい方、スタートアップ・VCの方に向けた記事を取り扱っていますので、他の記事も覗いていってください!

目次

上場時の評価額は15億ドル!Weedmaps technologyの概要

それではここからは「Weedmaps」についてまとめていきます。

Weedmaps technologyはカリフォルニア州に本社を置き、2008年にJustin Hartfield氏とKeith Hoerling氏が創業した大麻テック企業になります。2021年にはSPACという法人形態を用いて、通常の上場とは違う特殊なスキームで大麻上場企業の仲間入りを果たしました。

上場時には15億ドル(約1900億円:2023/01/31)の評価額がつき、現在は400名もの従業員が在籍しており、カリフォルニア州以外にもデンバー、ツーソン、ニューヨーク、バルセロナ、トロントにオフィスを構えています。

SPACとは

SPAC(Special Purpose Acquisition Company,特別買収目的会社,以下,SPAC)を利用した上場の急増によるところが大きい。SPACは,それ自体は特定の事業を持たず,未公開会社等を買収することのみを目的として上場する会社である。

引用:SPAC(特別買収目的会社)とは何か | 公益財団法人 日本証券経済研究所

SPACとはペーパーカンパニーのような会社を立ち上げ、その会社を一旦上場させたのちに、資金調達と買収(合弁など)を実施し、実質上で特定の企業を上場させるスキームです。

SPACで上場を果たしている大麻関連企業はいくつかあり、近年注目されている方法になります。今回は特別目的買収会社である「Silver Spike Acquisition Corp.」が「Weedmaps technology」を合弁する形で上場が実施されました。

そして、「評価額が10億ドルを超える、設立10年以内の未上場のベンチャー企業」をユニコーン企業と言ったりもするわけですが、日本ではニュースアプリを運営する「スマートニュース株式会社」が2,004億円、Saas型クラウド人事労務ソフトを提供する「株式会社SmartHR」が1,732億円が15億ドルに近い規模感でしょうか。

アメリカでは巨大テック企業は多くありますが、大麻業界でこの規模感のサービスを提供している会社は数少ないです。

会社名にもあるように「テクノロジー」がこの成長率・規模感を実現するための土台になっていることには間違いないですが、実際にWeedmaps technologyはどのようなサービスを提供しているのでしょう。

Weedmaps technologyの事業内容

Weedmaps technologyはWebサービスとアプリケーション上で『weedmaps』というディスペンサリー検索、デリバリー、専門医検索サービスをメインに事業展開しています。Googleマップを使うような感覚で、近くのディスペンサリーとそのお店に販売してある商品ラインナップを確認することができます。創業者のHartfield氏が医療用大麻のユーザーで、当時はショップ検索ができず困っていたことが当サービスを立ち上げるきっかけになったとのことです。

以前、紹介したLeaflyもWeedmapsと似たような店舗検索サービスを展開しています。

一見、競合に見える両サービスですが、サービス設計コンセプトが大きく異なります。先ほど述べたように創業者が「ディスペンサリーを探せない」という課題を解決するために開発されたWeedmapsは店舗検索に特化されたユーザー体験を提供してくれます。一方でLeaflyは検索ではなく、レビューや教育(メディア)をメインに価値提供をしているサービスになるので、同じ機能だとしてもメディアの質や検索などのユーザー体験が異なります。

Weedmapsの店舗検索機能は多機能的で充実した内容となっています。

例えば、位置情報を駆使して、近所のディスペンサリーが表示されることやその店舗ごとの大麻製品のカタログや在庫状況を閲覧できるなど、今いる場所から一番近いディスペンサリーを発見するのに一番役に立つサービスだと思います。また、検索条件も複数あり、商品の絞り込み、在庫状況、ブランドごとでの検索、お気に入りなどユーザーに合わせた検索機能を提供してくれます。もちろん、配達設定も可能です。

引用:https://techcrunch.com/2021/08/11/weedmaps-adds-in-app-cannabis-purchasing-for-iphone-users/

また、Weedmapsはディスペンサリー(店舗)向けにマーケティング支援機能を提供しています。店舗へのアクセス数を増やすためのプロモーション機能、POSシステム会社との提携、配達支援など、言わばBtoBのSaaSプロダクトを提供していることになります。

四半期の決算書をみると50Mドルのうち12Mドルが法人からのサブスクリプションの売上になっていたのでおおよそWeedmaps全体の売り上げの5分の1ほどがこれらのサービスを提供している企業からの収益になります。

筆者の個人的な感想としては、「サブスクからの収益は思ったより低いな」ということです。もちろん、他にも企業からのマネタイズポイントはありますが、思ったよりサブスクからの収益が少なく、事業ポートフォリオとしていい感じに分散されているように思います。

Weedmaps technologyの決算書を見てみよう!

ここまで、ディスペンサリー(店舗)の検索をメインの価値とてサービス展開をしつつ、法人向け事業にも力を入れていることがわかりました。

次はWeedmaps technologyの決算書を見ていきたいと思います。

(単位:千ドル)

サマリーにはこのように書かれていました。

売上高は、2021年第3四半期の5090万ドルに対し、5050万ドルでした。平均月間支払顧客数(1)は、前年同期の4,444人に対し、5,576人でした。有料顧客1人当たりの平均月間売上(2)は、前年同期の3,817ドルに対し、3,019ドルでした。

(1)月間平均支払顧客数は、特定の期間において1ヵ月間に請求された(及びサービスが提供された)支払顧客数の平均値として定義されています。

(2)顧客一人当たりの月間平均売上は、特定期間の月間平均売上を同期間の月間平均支払顧客数で除したものと定義されます。

(3)EBITDA、調整後EBITDA、貸倒引当金繰入前調整後EBITDAの算出方法、使用上の制限、EBITDA、調整後EBITDA、貸倒引当金繰入前調整後EBITDAの純利益(損失)に対する調整については、以下の「純利益(損失)とEBITDA、調整後EBITDA、貸倒引当金繰入前調整後EBITDAの調整」を参照してください。

大体、5000の濃いユーザー(店舗・企業)が約40万円/月ほどの支払いをしていることになります。すごいですね…マーケティング費用の費用対効果がかなりあるということですよね。ただ、経営陣の交代やレイオフを発表しているWeedmaps technologyは現在の経済市況をどのように立ち回っていくのかにとても注目です。

また、大麻関連企業全般に言えることですが、Weedmaps technologyをはじめそれなりに規模感のあるIT企業はマンパワーで活動範囲(エリア)を拡大するか、マーケティングを強化してユーザー数を増やすことが基本戦略になるはずなので、今後はM&A案件や政治動向に左右されるケースが増えてくるかもしれません。「Weedmaps technologyの戦略やカルチャーにあった企業を買収し、合法州に進出して拡大していく」ことがWeedmaps technologyの動きになるかもしれません。意外と小さい企業は売りやすい市場になりつつあるのか?なんて思ったりします。

大麻市場でここまで大きな企業は少ないので、ニュースになることも多いWeedmaps technologyの情報は今後も追っていきたいと思います!

まとめ

ここまでWeedmaps technologyの会社概要、事業内容、決算書を見ていきました。

いかがだったでしょうか?

数百億以上の売り上げを叩き出している大麻企業は数少ないので、調べていてとても興味深く、調べがいがありました。IT企業はどうしてもマーケティング戦略をどのように設計していくのかが重要なファクターになるので、Leaflyにどのように競り勝っていくのかや新しいサービス提供など今後の動きにも注目していきたいと思います。

参考記事(タイトル日本語訳)

Weedmapsのビジネスモデル。葉っぱ配達アプリのすべて
Weedmaps、iPhoneユーザー向けにアプリ内大麻購入機能を追加
WM Technology, Inc. 2022Q3決算資料
WM Technology, Inc.第3四半期業績と経営陣の交代について
Weedmapsはどのように機能するのか?大麻薬局のためのガイド
大麻テックプラットフォーム「Weedmaps」が5億7900万ドルの資金調達でナスダックに参加

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

赤木 孝臣のアバター 赤木 孝臣 CANNABI INSIGHT代表/編集長

2022年4月20日にCANNABIS INSIGHTを創刊。国内外の大麻・CBDニュースの発信や、国内有識者へのインタビュー、産業動向の解説などを行っている。CBD業界の情報発信として「CBD白書」「ASAラジオ」「大麻・CBDニュース総選挙」などの企画を運営。業界イベントへの登壇や取材活動も行い、日本のCBD・ヘンプ産業に関する情報発信とコミュニティ形成に取り組んでいる。さらに、CBD原料比較プラットフォーム「アサバンク」を開発し、原料サプライヤーと事業者をつなぐ業界インフラの構築を進めている。

目次