【大麻上場企業】 TerrAscend の株価、会社概要、決算、事業内容を解説

こんにちは、CANNABIS INSIGHTのたかおみです。

今回は、Cookies、Gage、The Apothecariumなど有名ブランドの親会社で北米を中心に事業を展開する大麻上場企業「TerrAscend(テラセンド)」について解説します。

TerrAscend(テラセンド)は、複数の州やカナダで小売事業を展開し、高品質な製品を提供する大手企業です。本記事では、テラセンドの会社概要、経営陣、事業内容、そして強みについて詳しく見ていきます。

目次

TerrAscend の会社概要

公式HP

TerrAscendは、北米における大手大麻会社のひとつであり、ペンシルベニア州、ニュージャージー州、メリーランド州、ミシガン州、カリフォルニア州、さらにカナダでも小売事業を展開しています。Gage、The Apothecarium、Cookiesなどのブランドを展開し、医療および嗜好用大麻市場において業界をリードする製品を提供しています。

同社は2017年にカナダで設立され、翌年には米国市場に進出。ニュージャージー州でのライセンスの取得を皮切りに、複数の州で栽培・製造施設や薬局を展開し、その事業規模を急速に拡大してきました。TerrAscendは高品質の大麻製品を安定して供給するために、最新技術を導入した栽培施設に大規模な投資を行っています。

約1,200名の従業員を擁し、品質、イノベーション、そして戦略的な事業拡大に注力している同社の2023年度の純売上高は、前年同期比28.0%増の3億1,730万ドルを達成しました。

経営者

ジアード・ガネム(Ziad Ghanem)氏は、大規模な医療サービス、大麻、薬局、小売事業における20年近くの経験 を持ち、テラセンドの全事業を管理・監督しています。2022年1月にテラセンドに入社する前は、米国の大麻事業者であるParallelの社長を務めていました。

大麻業界に入る前は、ガネム氏はウォルグリーン・ブーツ・アライアンスで15年以上にわたり、重要なポジションを歴任してきました。

薬剤師としてキャリアをスタートさせたガネム氏は、市場薬局運営担当ディレクター、地域医療担当ディレクター、医療クリニック運営および医療システムパートナーシップ統合担当シニアディレクターなど、複数のディレクター職を歴任しました。 ガネム氏は、ヒューストン大学で薬学博士号を取得しています。

ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(Walgreens Boots Alliance, Inc.、略称WBA):
アメリカ合衆国のイリノイ州ディアフィールドに本社を置く多国籍持株会社です。この企業は、米国のウォルグリーンと英国のブーツという2つの大手薬局チェーンを所有しており、いくつかの製薬製造および流通会社も傘下に持っています。

TerrAscend の強み

  • 垂直統合型事業: 
    大麻の栽培から販売までを一貫して行っているため、高品質な製品を安定供給することができます。
  • 経験豊富な経営陣: 
    CEOのジアード・ガネム氏をはじめとする、大麻業界やその他の業界で豊富な経験を持つ経営陣によって率いられています。 それがテラセンドの成長と成功に大きく貢献しています。
  • 戦略的な事業拡大:
    テラセンドは、買収を通じて事業を積極的に拡大してきました。 2023年には、メリーランド州で4つの高収益小売薬局を買収し、成人向け大麻販売を開始しました。 また、カリフォルニア州の栽培業者であるState Flower社の残りの株式50.1%と、カリフォルニア州にある3つのApothecarium薬局を買収しました。 これらの戦略的な事業拡大は、テラセンドの市場でのプレゼンスを高め、さらなる成長を促進すると期待されています。

事業内容

栽培と製造

TerrAscendは、ペンシルベニア州、ニュージャージー州、メリーランド州、ミシガン州、カリフォルニア州で、医療用および成人向け大麻の栽培、加工、製造施設を運営しています。

高収量栽培技術、革新的な栽培品種、戦略的な技術投資を組み合わせて、高品質な大麻を生産しています。

製品には、乾燥花、オイル、ベイプ、食用製品などがあります。

小売

TerrAscendは、米国で複数の薬局ブランドを運営しています。

  • The Apothecarium:
    カリフォルニア州北部、メリーランド州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州にあり、教育と顧客サービスを重視した現代的な薬局です。
  • GAGE:
    ミシガン州全域で営業しており、GAGEとCookiesの製品を州全体に供給しています。
  • Pinnacle Emporium:
    ミシガン州南部にあり、幅広い製品ラインアップを提供しています。
  • Cookies: 
    提携ブランド。ミシガン州の中核部に6つの薬局を展開し、厳選された製品を提供しています。
  • Lemonnade: 
    提携ブランド。ミシガン州センターラインにあり、気分を高揚させるような体験を求める人のために、サティバ優勢の大麻製品を取り揃えています。

これらの薬局では、店頭での買い物、オンライン注文によるピックアップ、配達(適用される市場において)を提供しています。

ブランド

複数のブランドを所有またはライセンス供与しています。

例えば「Cookies」は、世界中で最も認知されている大麻企業の一つであり、2010年に設立されました。CookiesとTerrAscendはパートナーブランドの関係にあります。

2018年にロサンゼルスに最初の小売店をオープン。以来、事業は急速に拡大し、現在では6カ国、20以上の市場で70以上の小売店を展開するまでに成長しました。 2021年には、AdAge誌によって「アメリカで最もホットなブランド」の一つに選ばれました。これは、大麻ブランドとしては初めての快挙です。

▼ ブランドの一部

  • Kind Tree
  • Legend
  • Valhalla Confections
  • GAGE
  • State Flower
  • Aeriz
  • Wana
  • Cookies

卸売

ニュージャージー州で卸売事業を展開しており、2023年第4四半期には前年同期比で2倍以上の規模に成長しました。また、メリーランド州でも卸売事業を拡大しており、自社薬局への垂直統合を強化しています。

これらの事業に加えて、TerrAscendは、投資家向け広報活動、採用活動なども行っています。 また、大麻業界の法的および規制上の課題に取り組むために、擁護活動にも積極的に取り組んでいます。

決算書を読んでみる

【TerrAscend   2023 決算報告】

最後にTerrAscend の決算情報をわかりやすくまとめてみます。会計士ではないので、事実ベースでまとめてみました。また今回の情報は2024年(執筆時:2024/8/21)のデータを参照しています。

2023年度の決算情報は、以下の通りです。

項目2023年度2022年度
純収益3億1,730万ドル2億4,780万ドル
売上総利益1億5,970万ドル1億150万ドル
売上総利益率50.3%41.0%
営業費用1億8,270万ドル4億3,740万ドル
営業費用(売上高比率)57.6%176.5%
持続的な事業からの税引前損益4,450万ドル
持続的な事業からの税金費用(便益)2,890万ドル
持続的な事業からの純損益1,570万ドル
会計基準による持続的な事業からの純損益率4.9%
EBITDA(330万ドル)(2億4,850万ドル)
調整後EBITDA6,880万ドル3,880万ドル
調整後EBITDAマージン21.7%15.7%
営業活動によるキャッシュフロー3,110万ドル(2,180万ドル)
フリーキャッシュフロー2,340万ドル(6,150万ドル)

出典: TerrAscend Reports Fourth Quarter and Full Year 2023 Financial Results

1. 純収益と売上総利益の成長

2023年度の純収益は3億1,730万ドルで、前年の2億4,780万ドルから大きく成長しています。売上総利益も1億5,970万ドルと、前年の1億150万ドルから大幅に増加しており、売上総利益率は50.3%に達しました。この利益率の上昇は、同社の効率的なコスト管理と製品ポートフォリオの最適化によるものと考えられます。

2. 営業費用の大幅な減少

特筆すべきは、営業費用が前年度の4億3,740万ドルから、2023年度には1億8,270万ドルへと大幅に減少した点です。この劇的な減少は、TerrAscendがコスト削減や効率化に成功したことを意味しています。特に、営業費用の売上高比率が176.5%から57.6%へと大幅に改善されたことは、財務健全性の向上を示す重要な指標です。

3. 持続的な事業からの純損益の改善

持続的な事業からの税引前損益が4,450万ドルに対して、税金費用が2,890万ドルであったため、最終的な純損益は1,570万ドルとなりました。この純損益がプラスであることは、TerrAscendが健全な収益を上げていることを示しています。しかし、純損益率が4.9%と比較的低い水準であることから、同社が利益率の向上にさらなる努力を要することが示唆されています。

4. EBITDAと調整後EBITDAの対比

2023年度のEBITDAはマイナスの330万ドルとなっていますが、調整後EBITDAは6,880万ドルに達しており、調整後EBITDAマージンは21.7%と、前年の15.7%から改善しています。EBITDAがマイナスである一方、調整後EBITDAが大幅にプラスであることは、特定の一時的な費用や非現金支出が収益に影響を与えた可能性を示唆しています。

5. キャッシュフローの改善

営業活動によるキャッシュフローが3,110万ドルであり、前年のマイナス2,180万ドルから大幅に改善されています。さらに、フリーキャッシュフローも前年のマイナス6,150万ドルからプラス2,340万ドルへと転換しており、これは同社が資金効率の改善とキャッシュフロー管理の成功を示しています。このキャッシュフローの改善は、今後の事業拡大や投資においても強力な支えとなるでしょう。

株価

まとめ

TerrAscendの2023年度決算報告から、同社が成長と財務健全性の両面で重要な進展を遂げていることが明らかになりました。日本でも知名度の高い「Cookies」をはじめ、様々なブランドを保有していることが強みで、北米を中心に事業展開しています。「Cookies」のように全米の大麻ファンの誰しもが知るtoCブランドを保有するとそれだけで大きな強みになると感じさせられます。

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※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

赤木 孝臣のアバター 赤木 孝臣 CANNABI INSIGHT代表/編集長

CANNABIS INSIGHT 編集長。2022年にメディアを立ち上げ、国内外のCBD・大麻産業を政治、経済、ビジネスという観点から取材・分析。日本国内のCBD市場調査レポート『CBD白書』の編集発行をはじめ、年間ニュースを俯瞰する企画『大麻・CBDニュース総選挙』を主宰・運営。CBDジャーニー、カナコン等の業界カンファレンスやコミュニティでの登壇・モデレーション、事業者向けの寄稿・解説を通じ、大麻・CBDについての社会的意義や経済可能性を調査しています。

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