【大麻上場企業】Trulieve Cannabis の株価、会社概要、決算、事業内容を解説

みなさん、こんにちは。
CANNABIS INISIGHT(カンナビスインサイト)のたかおみです。

今回は大麻上場企業の「Trulieve Cannabis(トゥルリーヴ・カンナビス)」について解説していきたいと思います。

Trulieve Cannabis(トゥルリーヴ・カンナビス)は、米国を代表する垂直統合型大麻会社として、複数の州で積極的に事業を展開しています。特にフロリダ州全域での認知度が高く、フロリダ州を中心に事業拡大を行っています。180以上の医療用大麻薬局を新規オープンし、勢力を拡大しています。

【目次】

目次

Trulieve Cannabis の会社概要

Trulieve TOP

画像出典元:会社HP TOP

Trulieveは米国で業界をリードする大麻企業であり、複数州で事業を展開しています。主要な市場シェアをとっていると報告されているのはアリゾナ、フロリダ、ペンシルベニア。 新規および既存市場で小売および流通の規模を拡大することにより、加速的な成長と拡大を遂げる態勢を整えています。

会社の使命は、「本物で相互的な関係を通じて最高レベルの大麻製品と顧客体験を提供すること(Dedicate ourselves to providing value, delivering quality, and enhancing lives through cannabis.)」です。 この関係は、患者を超えて、事業を展開するコミュニティにも及びます。

2020年末の時点で、Trulieveはフロリダ州で105店舗、北東部で23店舗、南西部で21店舗の合計149店舗を運営。 2021年10月1日の時点で、Trulieveはアリゾナ、カリフォルニア、コロラド、コネチカット、フロリダ、ジョージア、マサチューセッツ、メリーランド、ネバダ、ペンシルベニア、ウェストバージニアの11州で事業を展開しています。

この企業の強み

Trulieveの強みは以下にあると言えるでしょう。

  • 垂直統合型ビジネスモデル:
    垂直統合により、サプライチェーンと製品流通を監視することができ、製品の品質とブランド体験を完全に管理することができます。

  • 成長のための明確な戦略: 
    持続可能な価値を提供するために、垂直統合型ビジネスモデル、財務規律、顧客中心主義のアプローチを、米国全土のあらゆる事業所で再現することを目指しています。

  • 持続可能性へのコミットメント:
    安全かつ責任ある運営に取り組む経験豊富な専門家の献身的なチームのおかげで、業績とESGパフォーマンスの両方で成功を収めています。

これらの強みにより、Trulieveは米国の大麻業界において、成長と拡大を続ける態勢が整っています。

ESGとは:
「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字を取った略語で、企業がこれらの要素を考慮した経営や投資活動を行うことを指します。

経営者

Kim Rivers氏は、2015年からTrulieve Cannabis Corp.のCEOを務めており、大麻業界のリーダーとして確固たる地位を築いています。法務博士号を保有しています。Rivers氏は、ジョージア州弁護士会の会員でもあり、弁護士として民間企業で数年間勤務し、特に数百万ドル規模の企業の合併・買収や証券取引を専門としていました。

また10年以上にわたり、不動産や金融業界で成功を収めた事業家としても知られています、2011年からは投資会社Inkbridge LLCの代表を務め、投資や事業経営の分野で活躍してきました。その経験が評価され、彼女は全米大麻円卓会議(National Cannabis Roundtable)の第2副議長やBenzinga Cannabis Advisory Boardのメンバーにも就任しています。

全米大麻円卓会議(National Cannabis Roundtable)
アメリカにおける大麻業界の利益を代表する団体です。大麻の合法化と規制に関する政策の推進を目的としています。

2022年にGreen Market Reportの女性リーダーシップ賞や、イノベーション賞トップ100 CEO、大麻業界で最も影響力のある女性賞を受賞するなど、業界のパイオニアとしても広く認められています。彼女のリーダーシップの下、Trulieveは米国の複数州にわたる最も収益性の高い上場大麻事業者としての地位を確立しつつあります。

▶︎ Kim RiversのXアカウント

事業内容

Curaleafの事業内容はシンプルで、自社で生産できる体制を整え、それを販売するというモデルになっています。全工程を自社で抑えることによって、最終コストを低くしつつ品質も管理できるという王者の戦略です。

生産から小売までの一貫した事業展開

まず、栽培施設は最新の環境技術を取り入れ、エネルギー効率を最大限に高める工夫がされています。110万平方フィートの温室では、選び抜かれた株が環境に配慮しつつ栽培されており、特に害虫抵抗性や収穫効率の高い株が育成されています。

加工の段階では、ペンシルベニア州のマッキーズポートにある施設が重要な役割を果たしています。ここでは、Trulieveが独自に開発した肥料と栄養ブレンドが使用され、栽培された植物の成長が最適化されています。これにより、最終的な製品は市場での競争力を持つ高品質なものとなります。

小売に関しては、2023年末時点で全米に193の小売薬局を運営し、Trulieveは顧客に対して信頼性の高い製品と優れたサービスを提供しています。

▼ ブランドの一部

出典:Trulieve – Brands

決算書を読んでみる

最後にTrulieve Cannabisの決算情報をわかりやすくまとめてみます。会計士ではないので、事実ベースでまとめてみました。また今回の情報はTrulieve Cannabis Corp.の2023年通期決算を参照します(執筆時:2024/8/20)

2023年のTrulieve Cannabis Corp.の決算情報を以下の表に示します。

項目

2023年12月31日終了年度

2022年12月31日終了年度

増減

売上高

$1,129.2 million

$1,218.2 million

(7)%

売上原価

$540.6 million

$529.1 million

売上総利益

$588.6 million

$689.1 million

(15)%

販売費およびマーケティング費

$240.2 million

$277.6 million

一般管理費

$146.0 million

$169.5 million

減価償却費

$109.8 million

$116.4 million

長期資産の減損および処分

$6.7 million

$75.5 million

のれんの減損

$307.6 million

$0 million

営業費用合計

$810.2 million

$639.0 million

27%

営業利益

($221.6) million

$50.2 million

営業利益率

-19.6%

4.1%

-23.7%

その他の損益

($62.9) million

($69.4) million

税引前当期純利益

($284.5) million

$19.2 million

法人税費用

$151.4 million

$163.4 million

継続事業からの純損失

($435.9) million

($182.6) million

139%

会計処理が異なる損益

($97.2) million

($70.1) million

純損失

($533.1) million

($252.7) million

111%

調整後EBITDA

$322.3 million

$398.2 million

(19)%

調整後EBITDAマージン

28.6%

32.7%

-4.1%

ハイライト

  • 2023年の売上高は、小売売上高が96%を占め、11億2,920万ドルでした。

  • GAAPベースの売上総利益率は52%、売上総利益は5億8,860万ドルでした。

  • 販売費および一般管理費は、前年から6,100万ドル減少し、3億8,600万ドルとなりました。

  • 営業活動によるキャッシュ・フローは2億180万ドル、フリー・キャッシュ・フローは1億6,150万ドルでした。

  • 調整後EBITDAは3億2,230万ドルで、売上高の29%に相当します。

出典:Trulieve Reports Fourth Quarter and Full Year 2023 Results Highlighting Year End Momentum and Cash Generation

2023年のTrulieve Cannabis Corp.の決算は、前年と比較して厳しい状況を示しています。売上高は7%減少し、1,129.2百万ドルとなり、これは主に売上総利益の15%減少に反映されています。売上総利益の減少は、売上原価の増加が一因となっており、これにより利益率の低下が顕著に表れています。

特筆すべきは、営業費用が前年よりも27%増加した点です。特に、のれんの減損が307.6百万ドルに達しており、これが営業損失の大きな要因となっています。結果として、営業利益は前年の50.2百万ドルの黒字から、221.6百万ドルの赤字へと転落しました。営業利益率も大きく悪化し、-19.6%という厳しい結果となりました。

また、調整後EBITDAは19%減少し、322.3百万ドルとなりました。調整後EBITDAマージンも前年の32.7%から28.6%へと縮小しています。これらの指標からは、収益性の低下が明確に見て取れます。継続事業からの純損失は前年の182.6百万ドルから435.9百万ドルへと増加し、純損失も111%増の533.1百万ドルとなりました。これにより、同社の財務状況はさらに厳しくなっています。

一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは過去最高の201.8百万ドルを記録し、フリー・キャッシュ・フローも161.5百万ドルに達しました。これらのデータは、同社が依然として強固なキャッシュフローを維持していることを示しており、長期的な資金運用においては一定の安定性を保っていることが伺えます。

総じて、2023年のTrulieve Cannabis Corp.は、収益性の低下と大きな減損費用により厳しい財務状況に直面していますが、キャッシュフローの健全さは依然として保持されています。今後の課題としては、収益性の回復と、費用管理の徹底が求められるでしょう。

株価

まとめ

Trulieveはアメリカの医療用大麻企業で、医療用および娯楽用の大麻とCBD製品の生産・販売を行っています。フロリダ州を中心に180以上の薬局を展開し、昨年の売上高は11億ドルを超えましたが、2022年の売上高12億ドルから減少しました。

Trulieveは、フロリダ州全域での新規薬局オープンや、新たなCFOとCOOの採用を進めています。最大の成長要因は、連邦政府による大麻の合法化や再規制の可能性です。特にフロリダ州でのプレゼンスが強く、娯楽用大麻市場への迅速な対応が期待されています。現在、麻薬取締局(DEA)によるスケジュール変更が議論されており、これが実現すれば長期的にTrulieveに有利に働く可能性があります。

さらに、フロリダ州での嗜好用大麻の合法化が有権者投票にかけられる可能性もあり、これが実現すれば市場の大幅な拡大が予想されます。

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※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
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編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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