2025年11月29日から2025年12月5日の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。
※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。
マイク・タイソン、月620万円分の“大麻消費”を告白
元ヘビー級王者マイク・タイソンが、かねて噂されていた“大麻との距離感”についてあらためて語った。出演した YouTube 番組「Confidence of Champions」の最新エピソードで、タイソンは自身が月に最大4万ドル(約620万円相当)もの大麻を消費していたと明かし、使用をやめた際には「自分でも信じられないほど別人格になった」と述べたという。
番組の中でタイソンは、「大麻を吸っていないと、自分じゃないみたいになる」と語り、大麻が日々の生活を安定させる存在であると説明した。驚かされたのは、その“大麻断ち”に対する周囲の反応だ。使用をやめた期間のタイソンについて、家族は「普段のタイソンではなかった」と戸惑い、むしろ「前のあなたに戻ってほしい」として、大麻使用を再開するよう促したという。
タイソンは以前から大麻使用についてオープンで、過去にも「自分は1日に大量に吸うタイプだ」と語っていたが、今回の月4万ドルという具体的な金額は、大麻消費の規模を象徴するものとなった。米国では大麻合法化が広がり、セレブやアスリートが大麻の効用を肯定的に語る流れが続いているが、タイソンの告白はその潮流を体現する事例ともいえる。
一方で、タイソンの“大麻依存的な生活パターン”には賛否も生まれている。大麻を消費の選択肢として受け入れる動きが社会的に広がる一方、健康影響や生活リズム、家族関係への影響に対して慎重な意見も少なくない。特に今回、家族が「吸い戻してほしい」と願うほどタイソンの性格が変化したというエピソードは、大麻が生活に与える影響の大きさを改めて印象づけた。
それでもタイソンは、大麻が自分の精神状態に「良いバランス」をもたらしていると主張し、現在も日常の一部として使用を継続している。元ボクシング界のスーパースターが明かした“大麻との付き合い方”は、米国の大麻観が大きく変わりつつある現在、その象徴的な語りとして広い注目を集めている。
WHOが“大麻による嘔吐症”を正式認定 長期使用者で増加するCHSとは
世界保健機関(WHO)は、長期の大麻使用と激しい嘔吐・吐き気を繰り返す症状の関連性を認め、該当疾患を正式に国際疾病分類(ICD)に追加した。これにより、これまで誤診されがちだった「大麻使用者に起きる原因不明の嘔吐症」が、医療現場で明確に診断・追跡されるようになる。
この症状はCannabinoid hyperemesis syndrome(CHS)として知られ、慢性的に大麻を使用してきた人々の間で報告されてきた。典型的には吐き気、激しい嘔吐、腹痛、食欲低下などを繰り返し、しばしば脱水や体重減少を伴う。さらに、場合によっては電解質異常、腎機能障害など重篤な健康被害につながる可能性も指摘されている。
CHSの厄介な点のひとつは、その診断の難しさにある。これまでは食中毒や胃腸炎と類似した症状とされ、大麻使用との因果関係が見逃されるケースが少なくなかった。だが今回のICD認定によって、医師は「大麻使用歴 + 繰り返す激しい嘔吐」の組み合わせでCHSを正式に疑い、診断できるようになる。これを受け、米国などでは救急外来へのCHS関連の受診が増加傾向にあるとの報告もある。
CHSの対処法としては、最も効果的なのは「大麻の使用を止めること」だ。症状の発作を抑える一般的な制吐薬はほとんど効かず、温かいシャワーや熱い風呂に入ることで一時的な緩和を得る患者も多いという。だが根本的な治療は“断絶”しかなく、継続使用は再発のリスクを伴うとされる。
一方で、近年のTHC含有量の高い製品の普及、頻繁・長期の使用傾向が、CHSの増加に拍車をかけているとの指摘もある。米国では合法化の広がりとともに使用人口が拡大しており、その裏でCHSのような「大麻の負の側面」が見過ごされてきた可能性が浮上している。医療専門家は、今回のWHOの認定を機に、利用者と医療現場の両者で「大麻は万能ではない」「依存・過剰使用にはリスクがある」という認識を改めるべきだと警鐘を鳴らしている。
国内外で大麻・カンナビノイド関連事業に関わるプレーヤーにとっても、この認定は重要な転換点となる。特に、原料供給、流通、消費者教育、規制対応を想定している企業や団体は、CHSのような健康リスクを無視できない。法改正や市場拡大の議論と並行して、安全性・副作用への配慮をビジネス設計に組み込む必要がある。
今回のWHOによる正式認定は、合法化だけでは語れない「大麻使用の現実とリスク」を改めて社会に示す重大なシグナルだ。CHSの認知が広がることで、利用者・事業者ともに「向き合うべき課題」が浮き彫りとなったと言えるだろう。
参考記事:World Health Organization officially recognizes weed-linked vomiting disorder(HighTimes)
カナダ、合法化以降で大麻税収総額540億円超えか 州・準州にも大きな財源
カナダで、2018年の大麻合法化以降、連邦政府と州・準州政府が大麻(カンナビス)に課した税収が累計で**54億ドル(約8,000億円強)**に達したとの報告が明らかになった。連邦政府分はそのうち約12億ドルにとどまり、大部分の約42億ドルが各州・準州に分配されている。
この数字は、2025年8月31日時点で集計された最新データに基づくもので、2018年10月の合法化開始以降、約7年での累積収益を示す。合法化によって新たな財源が生まれたことが改めて浮き彫りとなった。
合法化後、カナダ国内のライセンス取得済み大麻販売店や生産者は、合法市場を通じて継続して流通・販売を行ってきた。こうした流通体制のもとで得られた税収は、医療・福祉、公共サービス、地方行政などの財源に充当されており、大麻産業の合法ビジネス化が国と自治体の公共経済に与えた影響は無視できない。
特に多額の税収を得た州のひとつ、オンタリオ州は累計で約15億ドル、また人口規模ではやや小さいにもかかわらず高い収益を上げたアルバータ州も1億ドルを超える税収を報告している。
ただし、一方で課題もある。合法化後もなお、違法市場の存在や、州ごとに異なる規制・物品税制度によるコストや流通の複雑さ、さらに課税負担が高まることで価格競争力が損なわれる懸念が指摘されてきた。ある分析では、カナダ政府が2025年に予定する物品税制度の見直しは、こうした問題に対処する意図があると報じられている。
カナダにおけるこの大麻税収の実績は、日本やその他の国でヘンプ/カンナビノイド関連ビジネスを検討する際の重要な指標となる。合法化が進み、流通・消費が制度的に担保されることで、税収と経済インパクトを生み出す可能性があることを示す好例だ。
今後、税制の安定、違法市場の縮小、品質管理や流通の透明化、そして規制順守を前提にしたビジネスモデルが、国際市場での競争力を左右するだろう。カナダでの実績は、グローバルな大麻/ヘンプ事業を展開するプレーヤーにとって、いわば“ベンチマーク”となる可能性を持つ。
参考記事:Canada Has Generated Billions In Cannabis Taxes Since 2018(ICBC)
ブラジルで大麻研究が本格始動へ 国営農業機関が種子バンク設立し産業化へ
南米ブラジルで、大麻(カンナビス)研究が新たなフェーズに入る――。国営農業研究機関 Embrapa が、正式に大麻の研究許可を取得し、“大麻種子バンク”の設立および産業用/医療用大麻の品種改良プロジェクトに乗り出すことが明らかになった。政府と連携し、少なくとも今後12年をかけた長期研究が予定されており、ブラジル国内の大麻産業への期待が高まっている。
これまでブラジルでは、大麻の医療・産業用利用には慎重な姿勢が取られてきた。しかし今回、同国の保健当局が Embrapa に対して栽培および研究の許可を与えたことで、産業用大麻(ヘンプ)や医療用大麻の可能性が初めて制度的に大きくひらかれた。研究には約 2.41 百万ドルの公的資金が投入される見込みで、研究成果次第では国内での大麻栽培許可、さらには輸出基盤の整備へとつながる可能性がある。
Embrapa の研究には、大麻の品種改良、土壌や気候への適応性の検証、そして繊維用ヘンプや医療大麻の成分分析などが含まれるという。過去、同機関が大豆や綿花で行った大規模品種改良の実績を考えれば、ブラジルが熱帯環境で大麻を商業栽培可能な“生産拠点”として浮上する可能性も否定できない。
また、この動きは単なる農業研究の枠を超え、医療用カンナビノイド市場やヘンプ由来商品のグローバルサプライチェーン構築にも影響を及ぼすとみられている。国際市場での競争力を持つブラジル産大麻原料という選択肢の現実味が増す中、日本やアジアのヘンプ・CBD関連事業者にとっても、新たな原料ソースとして関心を集めそうだ。
ただし現状では、娯楽用途の大麻(嗜好用マリファナ)の解禁ではなく、あくまで「研究目的および産業/医療用途」に限定される点に注意が必要だ。制度上の整備や規制の明確化が今後の鍵となる。
ブラジルの農業大国ぶりと研究開発力を背景に、大麻の「合法化前夜」とも言えるこのタイミング。今後の政策動向と研究結果が、南米発の新たな大麻産業のモデルを示すか、注目を集めている。
参考記事:Cannabis Research Gets A Boost In Brazil(International CBC)



