2025年10月11日から2025年10月17日の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。
※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。
スペイン、医療用大麻を正式導入 専門医が処方・病院で受け取り
スペイン政府は10月7日、医療用大麻の利用を定める王令を承認した。対象は「標準化された大麻製剤」をもとに病院薬局で調製する院内製剤(フォーミュラ)で、処方は専門医に限定。製剤は臨床フォローの下で病院薬局が調製・対面で交付する仕組みとし、品質や用量、追跡可能性を担保するため、医薬品庁(AEMPS)への登録を義務付ける。政府は、既存薬で十分な効果が得られない患者に対し、科学的根拠に基づく治療の選択肢を提供するとしている。
適応は固定リストではなく、発作性の重い難治性てんかん、がん化学療法に伴う吐き気・嘔吐、多発性硬化症の痙縮、難治性の慢性疼痛など、国際的に一定の有効性が示された症状を念頭に、AEMPSが今後3カ月以内に公表するフォーミュラリー(国家製剤集)の各モノグラフで個別に規定する。これにより新たなエビデンスに応じた見直しを可能にする。
標準化製剤はTHCやCBDの含量を明示し、厳格な製造・品質要件と流通のトレーサビリティを満たす必要がある。THCが0.2%を超える場合は追加の監督対象となる。処方は病院領域の専門医のみが可能で、薬剤交付は病院薬局に限定される一方、高齢・障害などの事情がある患者には、自治州判断で非対面交付の仕組みを整えられるとした。
今回の制度化により、医療用大麻は同国の公的医療の枠内で、個別の臨床評価と薬学管理の下に提供される道筋が整う。政府は「証拠に基づく安全な利用」を掲げ、医師と薬剤師の共同モニタリング(薬物有害事象の監視を含む)を通じて有効性と安全性を継続評価する方針だ。
参考記事:Ministerio de Sanidad – Prensa y comunicación(Noticias)
ティルレイ、四半期売上約318億円 カナダと海外伸長で黒字転換
ティルレイ、四半期で黒字転換 売上2.10億ドルに拡大、カナダ成長と海外販売が寄与
カナダのティルレイ・ブランズ(Tilray Brands)が8月31日までの四半期(2026会計年度第1四半期)決算を発表し、売上高は2億950万ドル、純利益は150万ドルの黒字となった。前年同期は3,470万ドルの赤字で、直前四半期も12.7億ドルの純損失を計上しており、大幅な改善となる。粗利は5,750万ドル。セグメント別では飲料が5,570万ドル(構成比27%)、カンナビスが6,450万ドル(31%)、流通が7,400万ドル(35%)、ウェルネスが1,520万ドル(7%)。カンナビスの内訳はカナダ嗜好用6,410万ドル、医療用610万ドル、卸売420万ドル、国際販売1,340万ドルで、カナダ分の物品税2,320万ドルが響いた(実効税率は約33%)。カナダ嗜好用は前年同期比+11.9%、国際カンナビスは+9.6%と伸びる一方、医療用は-1.8%、卸売は-24.6%だった。
同社はドイツで医療用大麻の国内生産ライセンスを持つ3社の一つ(子会社Aphria RX)で、英国、ポーランド、アイルランド、イタリア、オーストラリアなどにも供給している。アーウィン・サイモンCEOは「米国の再分類議論や欧州の制度進展を追い風に、カンナビス・飲料・ウェルネスのグローバル基盤を拡大する」とコメントした。
参考記事:Tilray reports positive net income with increased Canadian and international revenue(StratCann)
サム・アルトマン支援のArcadia、より安全なMDMAで治験へ FDAがIND承認
サンフランシスコのバイオ企業Arcadia Medicineが、MDMAの“安全性を高めた”改良版について、米食品医薬品局(FDA)から治験開始に必要なIND(治験届)承認を得た。国際ビジネスタイムズなどが報じたもので、同社はリード候補「AM-1002」の臨床試験(第1相)を開始する。投資家にはOpenAIのサム・アルトマン氏が名を連ねる。
Arcadiaによれば、AM-1002は特許取得済みの非ラセミ体MDMAで、セロトニンとオキシトシンの放出を選択的に促し、従来MDMAで問題となる**過度の刺激作用(依存リスクや高体温の要因)を抑える設計。非神経毒性を目指し、心血管系の副作用も軽減するプロファイルだという。まずは全般性不安症(GAD)**での評価を計画している。
今回のIND承認は、MDMA系薬を用いた精神医療の安全性を巡る議論が続く中での動き。Arcadiaは「安全で効果的なエンパソジェン(共感促進薬)を病院外でも広く使える形にする」ことを掲げ、初期資金として約925万ドルを調達したと明らかにしている。i
一方、MDMA支援療法の試験設計を巡っては、最近の独立分析がデータの質やバイアスに疑問を呈するなど、エビデンスの確立に課題も残る。Arcadiaの“分子レベルの改良”が、こうした論点にどう応えるかが注目される。


