2025年5月31日から2025年6月7日の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。
※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。
福島県にて第一種大麻草栽培者免許を取得|ヘンプイノベーション株式会社
ヘンプイノベーション株式会社(本社:三重県多気郡明和町、代表取締役:菟田中子)は、2025年5月19日、福島県において「第一種大麻草栽培者免許」を取得し、今年度より同県内にて産業用ヘンプの試験栽培を開始いたします 。また、同社によれば、播種は6月7日に行われる見込みです。 ヘンプイノベーション株式会社は、ヘンプの力を信じ、福島という地から新しい麻の産業史を切り拓く第一歩を踏み出します。 本試験栽培に使用するヘンプ種子は、厚生労働省が定める基準(Δ9-THC 0.3%以下)を満たした種子であり、麻薬成分を含まない産業用大麻として、法令に基づいた厳正な管理のもとで実施されます。
チェコ下院、大麻自家栽培と少量所持を承認
チェコ共和国の議員は、成人の大麻自家栽培を合法化する法案を承認した。この法案はその後上院に送られ、承認されれば大統領に送られることになる。 この措置には、個人が使用する量の乾燥大麻の所持を合法化し、それ以上の量を所持した場合の罰則を軽減することも含まれている。この画期的な決定は、長年チェコで大麻の権利を主張してきた活動家ルーカス・ハート氏によってLinkedIn上で公表された。 チェコで承認された今回の合法化モデルは、個人が所持できる大麻の量において、既に大麻を合法化している他のヨーロッパ諸国と比較して著しく寛大である点が特徴的である。参考として、2021年にヨーロッパで初めて成人使用の大麻を合法化したマルタでは、成人の世帯で最大4株の自家栽培と50グラムまでの大麻所持が許可されている。一方、2023年に同様の改革を行ったルクセンブルクでは、自家栽培は4株まで可能だが、所持はわずか3グラムに制限されている。
【参考リンク】
Czechia Takes Historic Step Toward Cannabis Policy Modernization (ICBC)
バーモント州議会、イベント会場での“大麻直売”解禁案を否決
バーモント州における大麻規制の動向として、州議会がイベントでの大麻製品販売を許可する計画を否決したことが報じられた。 この計画はH.321法案として提案され、消費者がイベント会場で認可された栽培業者や製造業者と直接対話し製品情報を得た後、同会場内の指定された小売業者から購入できる仕組みを目指すものであった。 背景には、州内に402存在する栽培業者に対し小売店が110店舗と、棚スペースが限られているため、多くの栽培業者が製品販売に苦慮しているという現状がある。生産者協会の責任者は、仲介業者が強い立場にある現状では、生産者の存続は困難であると指摘している。このため、生産者たちはイベントでの販売機会を求めていた。
【参考リンク】
Vermont rejects plan for sales at cannabis-specific special events (MJBizDaily)
イタリア、カンナビスライト禁止法を可決
イタリアで「カンナビスライト」と呼ばれる低THC(テトラヒドロカンナビノール)ヘンプ製品を禁止する法案が可決された。2025年6月4日、イタリア上院はこの法案を賛成109、反対69で最終承認した。 この措置は、ジョルジャ・メローニ首相率いる右派連合政府が推進する「治安令」の一環であり、精神作用のない「栽培されたヘンプの花穂」の加工、流通、取引、輸送が禁止対象となる。 メローニ政権は2022年9月の選挙で治安強化を公約に掲げて勝利しており、今回の禁止もその方針に沿ったものである。
【参考リンク】
Lawmakers Approve Ban On ‘Cannabis Light’ In Italy (ICBC)
イギリス政府、医療大麻「自家栽培」請願を却下
英国政府は、医療用大麻製品(CBPMs)の処方箋を持つ患者が自宅で最大6株の大麻草を栽培することを認めるよう求める、約1万3千人が署名した請願を却下した。 自家栽培大麻は規制された医療用大麻製品の安全で適切な代替品ではなく、法改正の予定はないとの見解を表明した。 英国では2018年に医療大麻が合法化されたが、国民保健サービス(NHS)を通じて処方を受けられる患者はごく少数に留まり、多くの患者は月平均350ポンドにのぼる高額な私費負担を強いられている。この経済的負担が請願の主な動機であり、マルタ、ドイツ、カナダなど多くの国では既に同様の自家栽培が許可されている状況も背景にある。 政府が却下の根拠としたのは、自家栽培や路上で流通する大麻は有効成分の濃度や比率が不明確で危険性を伴い、規制された医療用大麻製品の代替にはなり得ないとする専門家の2018年の報告だ。これに対し、大麻科学者のキャリー・シーマン博士は、患者自身が栽培過程を管理できる自家栽培と、汚染物質や有害な合成カンナビノイドが混入するリスクのある「路上大麻」を同一視するのは不正確だと指摘する。自家栽培にも微生物汚染などのリスクは存在するものの、高額な私費医療が持続不可能な場合、患者が違法な闇市場に頼らざるを得なくなる可能性を懸念。 シーマン博士は、カナダなどで導入されている登録制度や年齢・株数制限といった規制、教育プログラムや検査サービスの提供といったハームリダクション戦略を通じて、英国でも安全な自家栽培の導入は可能であり、経済効果も期待できると提案している。
【参考リンク】
UK Government Rejects Medical Cannabis ‘Grow Your Own’ Petition, But At What Cost? (CannabisHealth)
最新論文|アメリカ、高齢者の大麻使用率が増加傾向に
2021年から2023年の米国における65歳以上の高齢者の過去1ヶ月間の大麻使用動向と、関連する社会人口学的・臨床的特徴 についての論文が公開された。 主要な点として、高齢者の過去1ヶ月間の大麻使用率は、2021年の4.8%から2023年には7.0%へと有意に増加した。 この増加は「その他」の人種に該当する高齢者(2021年の1.6%から2023年の7.4%)で最も顕著であり、女性、白人、大学または大学院の学位を持つ者、年間所得が75,000ドル以上の者、既婚者、医療用大麻合法州の居住者にも見られた。慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性疾患や、複数(2つ以上)の慢性疾患を持つ高齢者でも使用率が増加した。最高所得層は当初最低使用率だったが、2023年には最高となった。
【参考リンク】
Trends in Past-Month Cannabis Use Among Older Adults (JAMA Network)
カリフォルニア州、大麻税率引き上げを5年延期へ
カリフォルニア州下院は、大麻物品税率の引き上げ(7月1日から15%→19%)を5年間延期する法案AB 564を全会一致で可決した。ヘイニー下院議員が提出した同法案は上院で審議されるが、支持者は予算関連法案への組み込みによる即時施行を期待している。 当初増税撤廃を目指した法案は、増税実施を2030-31年度まで延期する内容に修正。関係者は現行15%維持は縮小する合法大麻産業の存続に不可欠で、違法市場の拡大を防ぐと歓迎した。 法案は、州税務手数料管理局(CDTFA)に対し、過去の栽培税で徴収されたであろう歳入と同等の歳入を生むよう、小売業者の売上総利益に対する物品税率を調整する義務を課す。CDTFAは、この調整による歳入変動を2026年末までに、以降毎年議会に報告する。目標は大麻産業への即時的な税負担軽減であり、その有効性は議会が測定する。 カリフォルニア州では高税負担等で合法市場が違法市場との競争に苦慮しており、今回の延期は合法事業者支援と市場安定化が目的。連邦政府による大麻禁止が違法市場を助長しているとの州報告書も最近公表されている。
【参考リンク】
First Pharmacy Guidelines to Support Safe Dispensing of Medical Cannabis (Cannabishealth)
週刊大麻ニュース 5月31日から6月7日 は以上になります。
大麻・CBDのビジネス、経済メディア「CANNABIS INSIGHT」編集長:たかおみ