【大麻上場企業】Canopy Growth の株価、会社概要、決算、事業内容を解説

こんにちは、大麻・CBDのビジネス、経済メディア「CANNABIS INSIGHT」のたかおみです。

今回は、世界的に注目されている大麻上場企業「Canopy Growth(キャノピーグロウス)」について詳しく解説していきます。Canopy Growthは、健康やウェルネスの分野で大麻を活用するだけでなく、社会貢献をすることで業界をリードしています。カナダを拠点としながら、アメリカ市場進出にも積極的に取り組んでおり、2024年の事業収益改善のプランにも注目が集まります。

目次

Canopy Growth の会社概要

TOP canopy

▶︎ 会社HP

Canopy Growthは、大麻の可能性を解き放ち、人々の生活の質を向上させることを目指しているグローバル企業です。健康とウェルネスの向上を支援するだけでなく、経済的な機会を創出しています。大麻がより良い変化をもたらす力であることを信じて事業展開を行なっています。

3つの柱となる事業があります。まず、高品質な大麻製品の提供です。TweedやDoja、7ACRESなどの人気ブランドを通じて、花やエディブル、ベイプ、飲料など、消費者のニーズに合わせた幅広い大麻製品を提供しています。

次に、医療用大麻の研究開発です。Spectrum Therapeuticsブランドを通じ、医療分野での大麻の活用を推進し、患者のケアを向上させるための研究を進めています。

最後に、北米市場における事業展開です。カナダや米国に注力し、小売事業の売却や製品ラインナップの整理を通じて、2024年までにカナダ事業の黒字化を目指しています。また、Canopy USAを通じて、米国市場への参入を視野に入れ、連邦レベルでの規制緩和に備えています。

経営者

キャノピー・グロースのCEOであるDavid Klein(デイビット・クレイン)氏は、2020年から同社のリーダーとして活躍しています。彼は以前、Constellation Brandsで15年以上勤務し、最高財務責任者などを歴任しました。2017年にConstellationがキャノピー・グロースへ投資して以来、業界の成長と改革に貢献してきました。

ニューヨーク州立大学ジェネセオ校で経済学の学士号、バッファロー校でMBAを取得しています。2018年からはキャノピー・グロースの取締役も務めています。2024年度も、同社を収益性のある企業に導くことを目標としており、北米の大麻業界で再びリーダーの地位を確立するという強いビジョンを持っています。

彼自身、業界が変革期にあることを認識しており、その乗り越えが簡単ではないとしながらも、キャノピー・グロースがこれまで培ってきた能力が、この新たなセクターでの成功を支えるものと信じています。

▼ David Kleinのアカウント
会社HP内掲載のプロフィール

Canopy Growth の強み

  • 消費者理解とブランド力:
    Canopy Growthは、消費者のニーズを的確に把握し、これを元に強力なブランドを展開しています。TweedやDoja、7ACRESなど、業界をリードするブランドを持ち、特にTweedは世界で最も認知度の高いcannabisブランドの一つです。
  • イノベーション:
    顧客のフィードバックに基づき、不要なSKUを50%削減し、製品開発と市場投入のスピードを向上させています。飲料やベープ、食品の生産を外部に委託し、経費削減を図ると同時に、医療用cannabisブランドSpectrum Therapeuticsを通じて医療分野でも革新を続けています。

SKUとは:
Stock Keeping Unit(ストックキーピングユニット)の略で、在庫管理における最小の管理単位を指します。

事業内容

Canopy Growthの事業内容は、以下の3つの主要な柱に基づいています。

大麻ブランド

Canopy Growthは、Tweed、Doja、7ACRESといった受賞歴のあるブランドを通じ、花やエディブル、ベイプ、飲料など、多彩な大麻製品を展開しています。消費者のニーズに応えながら、業界をリードする洞察力とイノベーションを駆使し、高品質で効果的な製品を開発しています。

Canopy Growthのブランド
International Brands

ブランド画像出典元 – BRANDS

医療用大麻の研究開発

Canopy Growthは、医療用大麻の研究開発にも力を入れています。満たされていない医療ニーズに応え、患者のケアを向上させることを目的とし、医療従事者や患者と協力して大麻の治療効果を最大限に引き出す取り組みを行っています。

北米市場への注力と米国市場参入準備

Canopy Growthは、カナダと米国を中心に、ビジネスモデルを変化させて事業展開を進めています。カナダでは、小売事業の売却や栽培施設の閉鎖、製品ラインナップの合理化を進め、2024年度末までに事業を黒字化する計画です。さらに、Canopy USAを通じて米国市場への迅速な参入を計画しており、連邦レベルでの規制緩和を見据えています。

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【Canopy Growth  2023 決算報告】

最後にCanopy Growthの決算情報をわかりやすくまとめてみます。会計士ではないので、事実ベースでまとめてみました。また今回の情報は2024年(執筆時:2024/8/21)のデータを参照しています。

2023年度の決算情報は、以下の通りです。

出典:2023 – Annual Report

重要な財務情報

項目2023年度2022年度対前年比
純収益$402.9 million$510.3 million(21%)
売上総利益率(26%)(40%)
調整後売上総利益率(3%)(13%)
純損失$(3,309.5) million$(330.6) million901%
調整後EBITDA$(349.7) million$(425.5) million18%
フリーキャッシュフロー$(566.8) million$(582.5) million3%

(単位:百万カナダドル)

考察

  • 事業再編と収益減: Canopy Growth社は2023年度、カナダにおける大麻事業の再編を進め、コスト削減に取り組みました。その結果、人員削減、生産拠点の閉鎖、リテール事業の売却などが行われました。これらの取り組みは、2023年度の売上総利益率と調整後EBITDAの改善に貢献した一方、純収益は前年比21%減となりました。
  • カナダ大麻事業の安定化: カナダにおける成人向け大麻市場は競争が激化しており、Canopy Growth社もその影響を受けています。しかし、2023年度は医療用大麻の収益増加や、Tweedブランドの復活などにより、カナダの大麻事業は安定化しつつあります。
  • 米国市場への進出: Canopy Growth社は、Canopy USA, LLC (CUSA) を通じて、米国の大麻市場への進出を加速させています。CUSAは、Acreage Holdings, Inc. やWana Brandsなど、米国の大麻事業者への出資を行っており、連邦レベルでの大麻規制緩和後には、迅速に米国市場に進出できる体制を整えています。
  • 財務状況の改善: Canopy Growth社は、2023年度中に約5億カナダドルの負債を削減しました。また、施設売却などにより、2024年度第2四半期末までに最大1.5億カナダドルの資金調達を見込んでいます。

2024年度の展望

  • 2024年度末までに、BioSteel(スポーツドリンクブランド)を除くすべての事業で、調整後EBITDAの黒字化を目指します。
  • 引き続き、財務体質の強化と流動性の向上に取り組みます。
  • CUSAへの投資を引き続き行い、企業価値の向上を図ります。

株価

まとめ

Canopy Growthは、大麻市場における先駆者として、消費者のニーズに応えながらブランド力を強化しています。北米事業の強化と米国市場への進出を目指して事業のポートフォリを変化させてより収益性の高い事業へコミットしていくとして今後の成長が期待されます。
米国市場への進出が大きな鍵になるCanopy Growthの今後の動きに注目が集まります。

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※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
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編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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