【大麻上場企業】Aurora Cannabisの株価、会社概要、決算、事業内容を解説

みなさん、こんにちは。
CANNABIS INISIGHT(カンナビスインサイト)のたかおみです。

今回は大麻上場企業の「Aurora Cannabis」について解説していきたいと思います。

Aurora Cannabisは、カナダを拠点に世界中で医療用および嗜好用大麻の生産・販売を行うリーディングカンパニーです。医療用大麻市場でのリーダーシップや遺伝子研究に基づく独自の製品開発、強力な財務基盤が強みです。本記事では、Aurora Cannabisの事業内容や最新の決算データをもとに、同社の強みと今後の課題について詳しく解説します。

目次

Aurora Cannabis の会社概要

Aurora Cannabisは、2006年にミルク・キャピタル社として設立され、2014年に現社名に変更しました。 カナダおよび世界各国で医療用および嗜好用大麻の生産、流通、販売を行う大麻関連製品企業です。 NASDAQ、トロント証券取引所、フランクフルト証券取引所に上場しています。 オーロラ社の目標は科学を用いて、患者と消費者のために「世界に大麻を開放すること(Opening the World to Cannabis.)」です。

Aurora Cannabisの強みは「高収益な医療大麻市場への注力」「カナダ医療市場でのリーダーシップ」「遺伝子研究」。

  • 高収益な医療大麻市場への注力:
    世界の合法的な医療大麻市場で最大の企業です。 ドイツ、ポーランド、イギリス、オーストラリアなどの主要市場で存在感を見せており、高収益な医療大麻市場で事業を展開していることから安定した収益源となっています。
  • カナダ医療市場でのリーダーシップ:
    カナダでは、医療用大麻の売上高で第1位のシェアを獲得しています。 また、患者に直接販売するビジネスモデルを採用しており、安定した利益率を確保しています。
  • 遺伝子研究:
    高THC含有量で、テルペンが豊富な独自の大麻品種を開発しています。 これにより、既存の施設内で生産量を大幅に増やすことができます。

現在のCEOはミゲル・マーティン氏。 食料、化粧品、日用品などの分野で約30年のキャリアを持っています。 特に営業、マーケティング、オペレーションの分野で優秀なチームを構築し、たばこ・アルコール・大麻などの規制市場を熟知しています。

Aurora Cannabisは、植物の生産事業も展開しており、北米最大の会社の一つであるBevoの株式の50.1%を保有しています。 Bevoは年間を通じて黒字でキャッシュフローを生み出しており、2024年度第1四半期には過去最高の約2,310万ドルの収益を上げたことは注目すべき事項でしょう。

▶︎ Bevo Farm のHP

事業内容

ここからはAurora Cannabisの公開情報をもとに事業内容を見ていきたいと思います。ご興味がある方は下記に添付している決算資料を読んでみるとさらに理解が深まるかもしれません。

Aurora Cannabisは3つの主要な事業セクターで運営し、医療用と嗜好用という2つの異なる市場において、それぞれのニーズに合わせた製品とサービスを提供することにより、大麻事業セクターを牽引しています。以下に、各セクターの詳細を説明します。

医療用大麻事業

最も注目すべきなのが医療用大麻事業。医療用大麻の分野でリーディングカンパニーを目指しており、特にカナダ市場ではその成功が顕著です。医療用大麻の売上シェアでカナダ第1位を誇り、患者に高品質で安定した医療用大麻を提供することに強みを持っています。

患者への直接販売(D2C)を採用することで高い利益率を実現しています。さらにオンライン販売にも力を入れており、eコマースサイトを強化することで、患者の利便性と体験の向上を図っています。

また、カナダ以外でも積極的に展開しており、特にドイツ市場においても成功を収めています。ドイツでは、医療用乾燥大麻セグメントで第2位、急成長中の自己負担患者セグメントでは第1位。医師の処方が必要な国々で、Auroraは特に医療用大麻の販売に注力しています。

嗜好用大麻事業

嗜好用大麻市場においても、製品をさまざまな形で提供しています。

嗜好用大麻ブランドの認知度向上と購入意欲を高めるために、全国キャンペーンを実施し、小売店での教育セッションやサンプリング、デジタルメディアへの投資を行っています。

ブランドの一部

Aurora – Our Products 

種苗セクター

このセクターは、子会社であるBevo Agtech Inc.を通じて運営されており、Aurora Cannabisは50.1%の支配権を保有しています。

Bevo Farmsは、卸売りの野菜栽培者と園芸小売業者に、革新的な選択肢を提供するサプライヤーです。 Bevo Farmsは自動化と衛生管理の最新手法を駆使しており、健康的で丈夫な植物の生育環境を提供しています。

Aurora Cannabisは、これらの事業セクターを通じて、高品質の製品とサービスを提供し、急成長する世界の大麻市場におけるリーディングカンパニーとしての地位を確立することを目指しています。

決算書を読んでみる

【Aurora Cannabis 2023 決算資料】
出典:Aurora Cannabis Files Full Year Results and Announces Fiscal 2024 Fourth Quarter

最後にAurora Cannabisの2023 決算資料をわかりやすくまとめてみます。会計士ではないので、事実ベースでまとめてみました。また今回の情報は2023通期決算、2024年度第4四半期(執筆時:2024/8/20)のデータを参照しています。

直近の動きとして、Nova Cannabis Inc.の全株式を取得することに合意したことが挙げられます。

2023年通期(+2024年 Q4)決算資料

会計項目2024年3月31日2023年3月31日増減率2023年12月31日増減率
総収益67,411千CAD63,951千CAD5%64,419千CAD5%
医療用大麻事業収益45,648千CAD37,910千CAD20%45,082千CAD1%
消費者用大麻事業収益10,233千CAD14,491千CAD-29%11,623千CAD-12%
種苗事業収益10,416千CAD10,755千CAD-3%7,285千CAD43%
調整後売上総利益率 (ネット収益ベース)49%49%0%53%-4%
調整後売上総利益率 (医療用大麻ベース)66%60%6%62%4%
調整後営業費用 (SG&A)31,598千CAD27,470千CAD15%27,759千CAD14%
調整後EBITDA1,891千CAD1,983千CAD-5%5,169千CAD-63%

バランスシート

項目2024年3月31日2023年3月31日増減率2023年12月31日増減率
運転資本301,985千CAD242,190千CAD25%308,743千CAD-2%
大麻在庫及び生物資産148,112千CAD93,081千CAD59%112,645千CAD31%
総資産838,673千CAD926,322千CAD-9%824,272千CAD2%

業績指標

項目2024年3月31日2023年3月31日増減率2023年12月31日増減率
乾燥大麻の平均純販売価格(卸売を除く)5.37CAD/g4.74CAD/g13%4.77CAD/g13%
販売量 (kg)15,17916,578-8%14,4405%

売上と収益の動向

  • 総収益は2024年3月31日時点で67,411千CADと前年同期比で5%増加しています。これは安定した成長を示しており、特に医療用大麻収益が20%増加していることが主な要因です。医療用大麻の需要が拡大していることが伺えます。
  • 一方で、消費者用大麻収益は29%減少しており、この市場における競争激化や価格競争が影響している可能性があります。

利益率の分析

  • 調整後売上総利益率 (ネット収益ベース)は49%と前年と変わらないものの、医療用大麻ベースでは6%増加し66%となっています。医療用大麻の高い利益率が全体の利益を支えていることがわかります。
  • 調整後EBITDAは前年同期比で5%減少しており、増収にも関わらず利益率が低下している可能性が考えられます。これには、調整後営業費用 (SG&A)が15%増加していることが影響していると考えられます。

バランスシートの状況

  • 運転資本は前年同期比で25%増加しており、これは資金繰りが強化されていることを示唆しますが、年末にかけては-2%の減少が見られるため、季節変動や運転資本の利用効率が課題となっている可能性があります。
  • 大麻在庫及び生物資産は59%増加し、特に生産能力の拡大が示されていますが、これが過剰在庫となり利益に悪影響を及ぼすリスクもあります。

その他の考察

  • 販売量が8%減少しているにも関わらず、平均販売価格が13%増加していることから、単価を上げることで売上を確保していることがわかります。しかし、これが市場のニーズにどう影響するかは引き続き観察が必要です。

株価

まとめ

Aurora Cannabisは、医療用大麻市場での圧倒的なシェアと高い利益率が収益の安定を支えています。しかし、消費者用市場の縮小や利益率の低下といった課題も抱えており、今後の戦略が注目されます。同社の強みを活かしつつ、運転資本の効率化や在庫管理の改善が求められるでしょう。

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※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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