みなさん、こんにちは。
CANNABIS INISIGHT(カンナビスインサイト)のたかおみです。
今回は大麻上場企業の「Tilray Brands」について解説していきたいと思います。
Tilray Brandsは、北米大麻産業の先駆者として、医療大麻や成人向け大麻製品に加え、クラフトビールやスピリッツなどの幅広い事業を展開している企業です。2013年の創業以来、Tilrayは多様なブランドを通じて、世界中の市場で急速に成長を遂げています。今回の2024年度第3四半期決算は、事業展開とそれに伴う成功と課題を如実に反映しています。本記事では、Tilrayの事業内容と最新の決算結果をもとに、今後の成長ポテンシャルと課題を考察していきます。


大麻上場企業Tilray Brandsの会社概要

Tilray Brandsは、2013年にブレンダン・ケネディ、 マイケル・ブルー、 クリスチャン・グローが創業した会社です。大麻、ヘンプ、クラフトビール、スピリッツ、飲料などの多様なブランドポートフォリオを展開しています。
ハーバード・ビジネス・レビューで、創業者のブレンダンはブレンダン・ケネディ氏は医療大麻が世界的に普及する未来があると考え、綿密な市場調査の末にTilrayをスタートさせたと書かれた内容の記事がアップされています。その後医療大麻のパイオニアとして、5大陸の患者、医師、病院、研究者に製品を供給した初期の企業の一つになりました。事業の展開先は現在、米国、カナダ、ドイツを含む20カ国以上。
2018年にNASDAQ市場に上場し、主要な米国取引所に上場した初の純粋な大麻会社となりました。
NASDAQ(ナスダック)とは:
アメリカにある主要な株式市場の一つで、1971年に設立されました。正式名称は「National Association of Securities Dealers Automated Quotations」で、電子取引所として世界で初めて設立された市場です。世界で2番目に大きな時価総額を持つ株式市場で、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に次ぐ規模になります。。
事業内容
ここからはTilrayの公開情報をもとに事業内容を見ていきたいと思います。ご興味がある方は下記に添付している決算資料を読んでみるとさらに理解が深まるかもしれません。
Tilrayのかかげるミッションは、「喜び、ウェルネスを刺激し、思い出に残る体験を生み出すブランドと革新的な製品を擁する、プレミアムなライフスタイル企業のリーダーになること(To be a leading premium lifestyle company with a house of brands & innovative products that inspire joy, wellness and create memorable experiences.)」です。
同社は、透明性、完全性、説明責任を活動理念の中心に据えています。また、多様なブランドを生み出し続けることで様々な顧客層にリーチしていることが特徴。
Tilrayの事業は以下の4つのセクターに分類できます。
医療用大麻
Tilrayは医師、薬局、世界中の患者に研究に基づいた医療大麻製品を提供することに重点を置いています。 製品開発に科学的アプローチを採用し、その製品ラインは有効成分と標準化され、明確に定義された製剤プロセスに焦点を当てています。カナダでは最も大きな存在感を放つ医療用大麻の企業として、活躍を続けています。
そのブランドのひとつであるCC Pharmaは、EU加盟国からの医薬品の再輸入および並行輸入を専門としており、薬局および医薬品卸売業者にのみ供給しています。
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嗜好用大麻
Tilrayは、Good Supply、Redecan、RIFFなどのいくつかの成人向け大麻ブランドを所有しています。 Good Supplyは、「誰もが楽しめる心地よい高揚感」を提供することに重点を置いており、さまざまな大麻製品を提供しています。 Redecanは、栽培から販売までのすべての段階で品質を重視した大麻を生産しています。
またXMGは、Tilray傘下のカンナビス飲料ブランドで、革新的で爽やかな製品で知られています。最近、XMGは「XMG Zero」という新しいラインのカンナビス配合飲料を発売しました。これは、カロリーと糖分ゼロで「Better You」の体験を提供することを目指しており、健康志向の消費者に向けた罪悪感のない楽しめる飲料とアナウンスされました。
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クラフトビール、スピリッツ、飲料
Tilrayは、10 Barrel Brewing、Alpine Beer、SweetWater Breweryなどのいくつかのクラフトビールブランドを所有しています。
Alpine Beerは、その品質と独特のフレーバーで知られるクラフトビールブランドです。その中でも人気の「Windows IPA」が最近再登場し、特徴的なホップの風味が楽しめます。Alpine Beerは、クラフトビール愛好者が求める大胆で本格的なビール体験を提供し続けてきました。
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ウェルネス
Manitoba HarvestやHappy Flowerなどのウェルネスブランドも所有。
例えばHappy Flowerは、CBD配合のモクテルブランドで、ユニークで爽やかな飲料体験を提供します。明るくて楽しいデザインのパッケージで、CBDのリラックス効果と自然なフレーバーのブレンドを組み合わせた、ノンアルコールのウェルネスとリラクゼーションを求める人々のための飲料とされています。
ブランド

決算書を読んでみる
【Tilray Q3 決算資料】
Tilray Brands, Inc. Reports Q3 Fiscal 2024 Financial Results
最後にTilray Brands, Inc.の2024年度第3四半期の決算をわかりやすくまとめてみます。会計士ではないので、事実ベースでまとめてみました。また、今回の情報は2024年第3四半期(執筆時:2024/8/16)のデータを参照しています。Tilrayは、アメリカで5番目に大きなクラフトビール醸造会社になり、さらにカナダの大麻市場で売上や販売量、市場シェアでトップの地位を保っています。直近の動きとして、ドイツでは医療大麻法が成立したため、Tilrayはそのマーケットを狙っているようですね。
参考記事
ドイツと大麻・CBDの合法化/法律/歴史/ビジネス|完全まとめ
売上増
Tilrayの売上(収益)は、前年と比べて約30%増えて、1億8,834万ドルになりました。これはとても大きな成長で、会社が順調に拡大していることを示しています。カナダでの大麻の売上は前年より増え、海外での大麻の売上は、前年より44%増えたと報告されています。
利益に関する数字
売上から製品を作るための費用を引いた「売上総利益」は4,939万6,000ドルでした。さらに、特別な要因を調整した後の「調整後売上総利益」は、前年より17%増えて5,164万3,000ドル。しかし、会社全体の利益を表す指標である「調整後EBITDA」は1,015万4,000ドルで、前年の1,331万5,000ドルより少し減っています。これは、費用が増えたためです。
調整後EBITDAとは:
調整後EBITDA(Adjusted EBITDA)は、企業の収益力を評価するために使用される財務指標の一つ。利息、税金、減価償却費、償却費を控除する前の利益であるEBITDAに、さらに特定の調整を加えたものです。調整の目的は、非経常的または一時的な項目を除外し、企業の通常の収益力をより正確に反映させることにあります。
事業ごとの売上
Tilrayはいくつかの分野でビジネスを展開していますが、それぞれの成績は以下の通りです。
| 事業セグメント | 売上額 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 飲料アルコール事業 | 5,468万8,000ドル | 165%増加 |
| 大麻事業 | 6,343万2,000ドル | 33%増加 |
| 流通事業 | 5,679万4,000ドル | 13%減少 |
| ウェルネス事業 | 1,342万6,000ドル | 12%増加 |
Tilrayは他の会社(HEXOとTruss Beverage Co.)を買収しました。これにより、費用を抑えつつ、さらに売上を増やすことができたと報告しています。
Tilrayの第3四半期決算は、成長の兆しを浮き彫りにしています。特に飲料アルコール事業の急成長と大麻事業の堅実な成長は、今後の成長エンジンとなる可能性が高いです。
連結損益計算書
Tilray Brands, Inc.は、2024年2月29日締めの四半期および9ヶ月間のTilray Brands, Inc.の連結損益計算書の選択された項目を、前年同期の比較とともに提供しています。情報は次のとおりです。
| 2024年2月29日締めの3ヶ月間(千米ドル) | 2023年2月28日締めの3ヶ月間(千米ドル) | 2024年2月29日締めの9ヶ月間(千米ドル) | 2023年2月28日締めの9ヶ月間(千米ドル) | |
|---|---|---|---|---|
| 純収益(net revenue) | 188,340ドル | 145,589ドル | 559,060ドル | 442,936ドル |
| 売上原価 | 138,944ドル | 157,288ドル | 418,059ドル | 363,139ドル |
| 売上総利益(損失) | 49,396ドル | (11,699ドル) | 141,001ドル | 79,797ドル |
| 一般管理費 | 39,940ドル | 38,999ドル | 123,769ドル | 117,385ドル |
| 販売費 | 9,995ドル | 6,452ドル | 24,437ドル | 25,792ドル |
| 減価償却費 | 21,558ドル | 23,518ドル | 65,700ドル | 71,872ドル |
| 販売促進費 | 11,191ドル | 7,354ドル | 28,934ドル | 23,137ドル |
| 研究開発費 | 106ドル | 171ドル | 241ドル | 502ドル |
| 偶発対価の公正価値の変化 | (5,983ドル) | 352ドル | (16,790ドル) | 563ドル |
| 減損損失 | — | 934,000ドル | — | 934,000ドル |
| その他の営業外損益、ネット | (17,239ドル) | 1,213ドル | (20,820ドル) | (50,229ドル) |
| 税引前損失 | (107,854ドル) | (1,206,563ドル) | (206,016ドル) | (1,338,494ドル) |
| 法人税費用(戻り利益) | (2,871ドル) | (10,811ドル) | 1,013ドル | (15,313ドル) |
| 純損失 | (104,983ドル) | (1,195,752ドル) | (207,029ドル) | (1,323,181ドル) |
| 営業活動による現金の使用 | (15,361ドル) | (18,632ドル) | (61,612ドル) | (35,692ドル) |
| 有形資産および無形資産への投資、ネット | (8,727ドル) | (842ドル) | (18,373ドル) | (6,219ドル) |
| フリーキャッシュフロー | (24,088ドル) | (19,474ドル) | (79,985ドル) | (41,911ドル) |
出典:Tilray Brands, Inc. Reports Q3 Fiscal 2024 Financial Results
Tilrayの2024年第3四半期決算では、純収益が前年同期比で大幅に増加し、売上総利益も改善されました。
特に前年にはマイナスだった売上総利益がプラスに転じており、コスト管理の向上が伺えます。一般管理費と販売費は増加しているものの、売上の伸びにより割合的には改善しています。一方で営業外損益の悪化やフリーキャッシュフローの減少が見られ、キャッシュフローの管理が今後の課題です。特に前年には発生した大規模な減損損失が今回は見られず、純損失の縮小に寄与しています。
全体としてTilrayは成長を続けているものの、キャッシュフローの改善が必要です。
編集長の考察
2024年度第3四半期のTilray Brandsの決算は、同社が多様な事業分野で着実に成長していることを示しました。特に飲料アルコール事業の急成長は注目すべきポイントであり、今後の収益源として期待が高まります。
Tilray Brandsは直近数年間で複数件のM&Aを実施しており、大麻事業を複数保有することで成長を目指している企業の一つになります。特に飲料メーカーの買収が顕著に目立っており、2023年に10件ほど行ったM&Aの多くが飲料メーカーでした。カナビス事業と飲料事業は伸びていますが流通事業が伸び悩んでいるため対策が必要なのかもしれません。


