みなさん、こんにちは。
CANNABIS INISIGHT(カンナビスインサイト)のたかおみです。
今回は「大麻上場企業のLeafly」について解説していきたいと思います。
前回、大麻×VC(ベンチャーキャピタル)をテーマに、世間一般的には悪いと言われる産業へ積極的に投資をしている「VICE VENTURES」について解説をしました。大麻だけではなく、サイケデリックやニコチン領域にも出資をしている興味深いVCであり、市場成長には欠かせない存在であるということについて述べたわけですが、そもそも前回の記事を読んでくださった方の中にはVC(ベンチャーキャピタル)という言葉を初めて聞いた方も多いかもしれませんので本題に入る前に、改めてVCについてご説明させていただきます。VC(ベンチャーキャピタル)とは未上場企業に資金を出資して株式を取得し、企業がexit(M&AやIPOなど)した際に株式を売却することで大幅な利益を得る投資会社・投資ファンドのことを言います。そのことから「出資企業の上場」はVCにとって重要なマネタイズポイントであり、イベントになります。もちろん、上場企業が増えることは社会に対して大きな影響力、社会からのニーズを解決できる企業が生まれるということですから社会的意義も強いです。VCは成長産業に必要不可欠な存在であり、企業の上場と大きく関係してきます。
今回は、VCの記事を書いた流れで大麻上場企業で日本人からも認知度が高い「Leafly」についての記事を書くことを決めました。


大麻上場企業Leaflyの会社概要
Lealfyは2010年に米国カリフォルニア州アーバインにてCy Scott氏、Scott Vickers氏、Brian Wansolich氏の3名によって設立されました。彼ら三人はエンジニアでLeaflyの初期プロダクトは会社のサイドプロジェクトとしてWebシステムの開発を開始しました。その後、2012年に大麻専門の投資会社であるPrivateer Holdings社に買収されましたが、2019年より会社・組織体制の大幅な改革・現CEOのYoko Miyashita氏のCEO着任がきっかけで新しい運営体制でLealfyが再始動しました。
Yoko Miyashita氏がCEOになって約3年後の2022年2月にLeafly Holdings Inc.はNASDAQ上場を果たし、「LFLY」で株式取引を開始しました。また、同年の4月20日には上場のシンボルでもあるNASDAQ証券取引所の鐘を鳴らすことができ、大麻業界でも大きな注目を浴びたニュースとなりました。
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Leaflyの主なサービスは大麻ブランドの掲載・レビュー及びメディア運営になります。Webメディアであることから年間1億2000万人以上のアクセスがあるとされており、Webサービスを基盤とした事業展開をしています。ちなみに日本のトップメディアであるYahoo!は年間100億のPV数があるとされているので、上場している企業であるLeaflyのレベルかつ英語圏のサービスにも関わらずPV数が1億ほどの数値であることから、大麻はまだまだニッチな領域だということがわかります。
事業内容は後ほど詳しく見ていきますが、Leaflyの数値は現状でこのくらいなんだなとイメージを持っていただけるといいのかもしれません。ここまでLeaflyの概要についてまとめてきましたが、要するにLeaflyはCEOの交代、組織体制の大幅修正などを経て、会社設立から約10年で上場した大麻企業となります。
事業内容
ここからは事業内容についてまとめていきます。みなさんはLeaflyと聞いてどのようなイメージをお持ちでしょうか?私が初めてLeaflyを知った時は、大麻製品の広告サイトがメインで大麻について詳しく知れる教育メディアも強い印象がありました。
それでは実際にはどうなのでしょうか。Leaflyの公開情報をもとに事業内容を見ていきたいと思います。ご興味ある方は下記に添付している決算資料を読んでみるとさらに理解が深まるかもしれません。
【Leafly Q2 決算資料】
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大麻製品のマーケットプレイス
Leaflyのメイン事業は「大麻製品のマーケットプレイス」です。

出典:Leafly 公式サイト
具体的にご説明すると、大麻製品を販売したい事業者がLeaflyに商品登録・掲載を行い、Leaflyに訪れたユーザーに購入してもらうサービスです。イメージとしてはAmazonの大麻製品特化版みたいなもので、Leaflyの場合は掲載事業者のサイトに直接飛んで購入してもらうことが特徴です。特段、変わったビジネスモデルというわけではありませんが、集客力がなければ成り立たないビジネスモデルとなっています。大麻・CBD事業者は大手プラットフォーム(GoogleやFacebookなど)に広告掲載ができないという問題を抱えているのでLeaflyのようなビジネスは事業者側から強いニーズがあると考えます。
また、Leaflyは大麻・CBD事業者・大麻ユーザーのデータベースを抱えることができるので、大麻製品のマーケットプレイスを軸にして様々な事業展開をしています。
BtoB事業 - POSシステム、広告、ラボ、医療大麻 –
Leaflyは大麻ユーザー・事業者から集まるデータを活用して、事業者のプラットフォーム利用を促すだけではなく、POSシステムとの連携やLeafly内の広告掲載、医療大麻の診断マッチングサービス、大麻の研究ラボなどを運営しています。事業者向けのサービスが多いことから表には出てきにくい情報ではありますが、LeaflyはBtoB事業で稼いでいる会社になります。
POSシステムの連携
そもそもPOS(ポス)とは、Point of salesの略で「販売時点情報管理」のことを指します。商品が販売された時点で「いつ・どの商品が・どんな価格で・いくつ売れたか」記録し、集計するシステムになります。Leaflyは大麻事業者が運営する自社ECサイトの購入ボタンなどとPOSシステムを連携することで、商品管理や購買傾向がわかるサービスを提供しています。
Leaflyの広告事業
Leaflyはマーケットプレイスへの商品掲載だけではなく、サービス内のあらゆるところに広告掲載を行っています。例えば、Leaflyのディスペンサーリーマップで特定のユーザーが近くを通りかかったら通知やマップ上へ優先的に表示されるなどです。Leaflyが所有しているデータに基づいた広告掲載をすることができます。またそれに加えて年間1億PVというメディアとしてのポテンシャルも十分なので広告効果としては期待できるものがありそうです。
医療大麻の診断マッチングサービス
大麻使用者の中には医療・健康目的で使用されている方も多くいます。医療目的で利用される方の大麻に対する不明瞭な点を少なくするために、Leaflyは専門家の方々から直接アドバイスをもらえるような医療大麻の診断マッチングサービスを展開しています。患者の要望に合わせた専門家のリコメンド(おすすめ機能)、オンライン予約、レビューを機能として実装しています。
大麻の研究ラボ
Leaflyはユーザーにより安心して大麻やサービスを利用してもらえるようにカナダ、米国で7つのラボとパートナー契約を結び、「Leafly Certified Labs Program」という大麻研究プロジェクトを運営しています。研究という観点からも大麻業界をよりクリーンなものにしようと信頼性のあるラボと協力してプロジェクトを進めています。
Leaflyは大麻製品のマーケットプレイスだけではなく、消費者データを基盤にBtoB事業へ多角的に攻めていることがわかります。大麻特化のマーケットプレイスなので、大麻事業者が普通のサービス(マーケットプレイス)で商品を販売する際に課題になるポイントを解決したユーザー体験を提供しているのでここまで会社・サービスが伸びているのかもしれません。
決算書を読んでみる
最後にLeaflyの決算書を読んでいきます。せっかくの大麻上場企業なので公開情報はしっかり見ていきます!会計士ではないので、事実ベースでまとめてみます。また、今回の情報は2022年第二四半期(執筆時:2022/10/31)のデータを参照しています。
2022年第二四半期のサマリー
・事業者からの広告費が増加
・ニュージャージー州のディスペンサリー全ての薬局がLeaflyのプラットフォームに登録
・Leaflyのダッシュボードの改善と機能強化
・広告主数が134.4%増加
・大麻研究者がLeafly上のデータを研究に活用できる「Leafly PLUS University」を開設。
主要業績評価指標に指定している「平均月間アクティブユーザー数(MAU)」「有料アカウントの解約数」「1ユーザーあたりの平均売上金額を示す指標(ARPA)」はこのような推移になっています。

出典:Leafly公式サイト
また、損益計算書はこのようになっています。

出典:Leafly公式サイト
Leaflyは「今期の目標は達成できた。しかし、未熟な市場では事業者が広告掲載に躊躇している傾向がある」とコメントしており、長期的成長を目指しユーザー体験の改善を入念に行なっている印象を受けました。要するに数値は伸びているがまだまだいけるということかなと。
まとめ
ここまでLeaflyの会社概要、事業内容、決算書についてまとめてみました。ニッチな領域で政治的要因も大きい大麻市場ですが、トップクラスの企業は今回ご紹介したぐらいの数値や事業展開をしていることがわかりました。もちろん、日本で同じようなことはできませんが、課題やマーケティングに関しては参考になるものも多いと思います。
気になる方は是非、Leaflyについて詳しく調べてみてください。
