週刊大麻ニュース|6月21日-6月27日

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2025年6月21日から2025年6月27日に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。

日本国内の違法行為を推奨するものではありません。

目次

タイ、大麻購入に医師処方箋を義務化 嗜好利用は全面禁止へ

タイ公衆衛生省は火曜日、これまで事実上“自由化”されていた大麻の取り扱いを医療目的に限定する新たな省令に署名した。ソムサック・テープスチン大臣によれば、今後は大麻を購入・所持・使用する際に医師の処方箋と診断書の提示が必須となり、同省は近く大麻を再び麻薬リストに加える方針だ。施行日は示されていないが、伝統・代替医療局は「周知期間を設け、事業者が準備できる猶予を与える」と説明している。 省令は販売店にも厳格な条件を課す。新ライセンス制度の下で店舗は常駐の医療従事者を置き、毎月の検査結果を提出しなければならない。義務違反が二度確認されれば営業許可は取り消される。すでに営業中の数万店とされる大麻ショップも新許可の取得が求められ、業界全体が大幅な再編を迫られる見通しだ。 政府が大麻を医療用途へ回帰させる背景には、2022年の非犯罪化以降、規制の空白を突いた無秩序な店舗増加や若年層の乱用への懸念がある。ペートンターン・チナワット首相の諮問チームは5月中旬に「娯楽目的は禁止すべき」と結論づけ、5月下旬から6月上旬にかけて実施された公聴会でも大多数が医療限定を支持した。同省は今回の省令が「社会的合意を反映したもの」と強調する。 一方、解禁を主導してきたプームジャイタイ党(BJT)は、医療と娯楽双方を認める独自の大麻規制法案を再提出する構えを崩していない。ソムサック大臣は「現政権下でその法案が成立する見込みは薄い」と述べ、推進派との溝は依然として深い。 タイの大麻市場は観光と地域経済の起爆剤として期待されてきたが、今回の方針転換でビジネス環境は一変する。公衆衛生省が示す具体的な施行日と詳細基準が固まるまで、事業者は対応策を探りながら不透明な移行期に直面することになりそうだ。

【参考リンク】
Somsak signs order requiring doctor’s prescription for cannabis(Bangkok Post)

韓国最高裁、CBDの違法性を明確化

韓国の保健当局である食品医薬品安全処は、カンナビジオール(CBD)が、従来規制対象外とされてきた大麻の種子や成熟した茎から抽出された場合であっても、引き続き規制対象の麻薬であると再確認した。 大麻の茎由来のCBDを含有する化粧品の通関報告書発行を拒否された輸入業者が起こした訴訟に対して、CBDの法的地位を明確化する最高裁判所の判決が下された。結果として、最高裁判所は5月29日、CBD、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノールを含むカンナビノイドは、抽出された植物の部位に関わらず、韓国の麻薬取締法上、麻薬に該当すると判断した。 食品医薬品安全処は、麻薬取締法第2条第4号にある大麻の適用除外部位に関する例外規定について、幻覚誘発成分が乱用の危険性が極めて低いレベルで存在する繊維加工、種子収穫、食品原料といった限定的な産業利用を許容するものであり、樹脂やCBDのような主要成分を麻薬の分類から除外することを意図したものではないと説明した。 したがって、CBD含有製品は麻薬取締法上の大麻と見なされ、一部の例外を除き、その所持、消費、輸出入、製造、販売、仲介は原則として違法であり、違反した場合は同法に基づき懲役刑や罰金刑を含む厳しい処罰を受ける可能性がある。

【参考リンク】
Ministry tightens control on stem, seed-extracted CBD products (Korea JoongAng Daily)

アメリカ、ヘンプ由来THC禁止法案が前進

ヘンプ由来のTHCおよびTHCAフラワーを禁止する内容を盛り込んだ共和党主導の予算案が、下院小委員会を通過し、法案成立に向け前進した。しかし、この動きはマリファナ、ヘンプ、酒類という広範な業界からの強い反対に直面している。 この法案は、共和党のアンディ・ハリス下院議員が主導するもので、2018年の農業法によって生まれた「抜け穴」、すなわち精神作用を持つ可能性のあるヘンプ由来製品が広範に流通する状況を是正することを目的としている。 具体的には、連邦法における「ヘンプ」の定義を見直し、麻に含まれるTHCAを規制対象のTHCとして考慮に入れ、THCPやデルタ10-THCといった植物から直接抽出されるのではない合成カンナビノイドをヘンプの定義から除外する。法案は小委員会で党派的な採決により可決され、今後は歳出委員会全体、下院本会議、そして上院での審議が予定されている。 このような状況に対し、今回の法案は、マリファナ業界、ヘンプ業界、そして酒類業界の団体から「行き過ぎであり、問題解決にはならない」との批判を受けている。これらの業界は、従来利害が対立することもあったが、今回の法案に対しては一致して反対の立場を取っている。特に酒類卸売業者団体は、法案が「過度に広範」で「厄介」であり、州レベルで進められているTHC含有量の上限設定や年齢確認といった適切な規制努力を台無しにするものだと懸念を示している。法案が成立すれば、急成長を遂げたヘンプ由来THC製品市場に深刻な影響を与え、市場そのものを破壊しかねない強硬な規制と同様の結果を招く恐れがある。

【参考リンク】
Proposed federal hemp-derived THC ban advances despite broad opposition (MjBizDaily)

テキサス知事、THC系ヘンプ全面禁止に拒否権 年8,600億円市場を守り医療大麻は拡大

テキサス州のグレッグ・アボット知事は23日、州内約8,500店舗・年間55億ドル(約8,600億円)規模とされるヘンプ由来THCビジネスを存続させるべく、禁止法案「SB3」を拒否権で葬った。法案はCBDやCBGを除く“酩酊性カンナビノイド”を一切含む製品を禁じる内容で、可決していれば販売業者に壊滅的打撃を与えると懸念されていた。知事は「連邦農業法の0.3%THC基準と衝突し、訴訟で長期差し止めになる恐れが高い」と理由を説明し、来月にも産業ルールを議会に再提示すると表明した。 一方でアボット知事は州の医療用大麻制度を拡充する「HB46」へ署名。 1回10mg、製品1gまでTHC含有を認可 対象疾患に慢性痛・クローン病・外傷性脳損傷を追加 認可販売所を現行3カ所から最大15カ所へ増設 これによりテキサスは全米40番目の“正式な”医療大麻州となり、退役軍人を含む慢性痛患者へのアクセス改善が期待される。

【参考リンク】
Texas gov saves hemp THC industry, expands medical marijuana(MjBizDaily)

ニュージーランド、犬の関節痛でのCBD臨床試験 100匹を募集

ニュージーランドで、変形性関節症(OA)の犬に対してカンナビノイド製剤の効果を検証する臨床試験が始まる。試験を主導するのは、国内で動物用医薬品の開発を進めるベンチャー企業で、ワイカト、ベイ・オブ・プレンティ、クライストチャーチ各地域の動物病院と連携し、100匹程度の患者犬を募集する。対象となるのは、痛みや歩行障害が確認された中齢以上の犬で、治験期間は6週間。投与するのは植物由来のカンナビノイド抽出物で、既存の消炎鎮痛薬と比較しながら鎮痛効果や可動域の改善度、血液検査による安全性指標などを評価する。診察料や薬剤費はすべて無料で、飼い主は定期的な診察と経過観察に協力するだけで参加できる。 同社によれば、犬のOAは国内で数十万頭が罹患していると推定されるものの、長期的に投与できる鎮痛薬の選択肢が限られており、副作用の少ない治療法が求められている。海外では既にペット向けCBD市場が急伸しており、ブラジルや米国の大学でも類似の試験が実施され、痛みの軽減や生活の質の向上を示す報告が相次いでいる。ニュージーランドでの正式承認に向けては、今回の治験結果を査読付き学術誌に発表し、規制当局への申請資料とする方針だ。実用化されれば、国内の伴侶動物だけでなく家畜分野への応用やアジア太平洋地域への輸出も視野に入るとしている。 募集はすでに開始されており、興味のある飼い主は獣医師の診断書を添えてウェブフォームから申し込む仕組みになっている。企業側は「安全性を最優先し、治療効果に科学的根拠を与えたい。痛みに苦しむ犬とその家族に新たな選択肢を届けられることを期待している」とコメントしている。

【参考リンク】
New Zealand Clinical Trial Recruiting Dogs For Cannabis Research(ICBC)


週刊大麻ニュースは以上になります。

大麻・CBDのビジネス、経済メディア「CANNABIS INSIGHT」編集長:たかおみ

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
法律に関する最新情報は各国の公式サイトをご確認ください。

編集者

赤木 孝臣のアバター 赤木 孝臣 CANNABI INSIGHT代表/編集長

2022年4月20日にCANNABIS INSIGHTを創刊。国内外の大麻・CBDニュースの発信や、国内有識者へのインタビュー、産業動向の解説などを行っている。CBD業界の情報発信として「CBD白書」「ASAラジオ」「大麻・CBDニュース総選挙」などの企画を運営。業界イベントへの登壇や取材活動も行い、日本のCBD・ヘンプ産業に関する情報発信とコミュニティ形成に取り組んでいる。さらに、CBD原料比較プラットフォーム「アサバンク」を開発し、原料サプライヤーと事業者をつなぐ業界インフラの構築を進めている。

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