週刊大麻ニュース |5月16日-5月23日

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2025年5月16日(金)から2025年5月23日(金)の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。

日本国内の違法行為を推奨するものではありません。

  • 5月21日(水) 韓国研究チーム、大麻から新たなカンナビノイド2種を発見
  • 5月22日(木) カリフォルニア州、過去最大177億円規模の違法大麻を押収
  • 5月23日(金) 中東レバノン、医療用大麻合法化の議論が活発化
  • 5月23日(金) ラトビア国家警察、「医師の処方なら」と医療大麻を許容
  • 5月23日(金) カナダ・オンタリオ州、大麻販売店が窓ガラス設置で営業可能に
  • 5月23日(金) タイ政府、大麻規制を再強化へ
目次

韓国研究チーム、大麻から新たなカンナビノイド2種を発見

韓国の研究者チームが、大麻草の花から新たなカンナビノイドを含む複数の化合物を単離したと、学術雑誌『Pharmaceuticals』で報告された。 今回の研究で、韓国の保健・学術研究者からなるチームは、大麻の花に対して多様なクロマトグラフィー技術を用いた化学的調査を実施し、合計11種類の化合物を単離することに成功した。これらの化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)スペクトルや質量分析といった分光学的分析手法により詳細に同定された。 特筆すべきは、単離された11化合物のうち「cannabielsoxa(カンナビエルソキサ)」と「132-hydroxypheophorbide c ethyl ester(132-ヒドロキシフェオホルビドcエチルエステル)」と命名された2種類が、これまで知られていなかった新規化合物である点だ。この発見は、大麻の可能性を探る上で新たな研究対象を提供するものであり、今後のカンナビノイド研究に貢献することが期待される。

【参考リンク】
Researchers In South Korea Isolate A New Cannabinoid (ICBC)

カリフォルニア州、過去最大177億円規模の違法大麻を押収

カリフォルニア州の統一カリフォルニア執行合同対策チームは、セントラルバレーで過去最大規模の違法大麻撲滅作戦を実施し、1億2350万ドル相当の違法大麻を押収した。 2025年5月5日の週に、州魚類野生生物局や大麻管理局が主導し、15の州・地方・連邦法執行機関から200人以上の職員が参加して行われた。71件の捜索令状が執行され、10万5700本の違法大麻草と2万2057ポンドの加工大麻、銃器9丁が押収され、複数の逮捕者が出た。 今回の作戦は違法市場に大きな打撃を与え、世界最大規模で成長を続けるカリフォルニア州の合法大麻市場の健全性を守るという州の断固たる姿勢を示すものであり、違法業者に対する明確な警告となるとともに、地域社会と生態系の保護に繋がることが期待される。

【参考リンク】
Largest ever multi-agency operation seizes $123.5 million in illicit cannabis (GOVERNOR GAVIN NEWSOM)

中東レバノン、医療用大麻合法化の議論が活発化

レバノンにおける大麻合法化が、同国の深刻な経済危機を打開する潜在的な解決策として注目されている。国連薬物犯罪事務所の2019年の報告によれば、レバノンはモロッコ、アフガニスタンに次ぐ世界第3位の大麻樹脂供給国であり、世界の総供給量の約6%を占めると推定。同国では1998年の法律により大麻は厳しく規制されてきたが、2020年には医療目的の限定的な大麻栽培を認める法律が議会で可決され、大麻政策を一部自由化する動きを見せた。しかし、この措置は規制当局設立のための法令が内閣によって施行されず、実質的には象徴的なものにとどまっているのが現状である。 経済状況が悪化する中、新たな歳入源確保と経済活性化の手段として、この2020年に承認された医療用大麻生産措置の本格的な実施が再び議論の俎上に上っている。

【参考リンク】
Legalization In Lebanon ‘Could Generate $1-3 Billion Annually (ICBC)

ラトビア国家警察、「医師の処方なら」と医療大麻を許容

ラトビア国家警察は、専門家が医療目的での大麻使用に有益性を認め、医師が処方する場合においては、その非犯罪化を受け入れる用意があることを明らかにした。 警察は一般的に大麻使用の非犯罪化には安全上の懸念から反対の立場を取っているが、医療用途に関しては、他の向精神薬が厳格な管理下で使用されている現状を踏まえ、許容できるとの見解を示した。 この姿勢は、国家警察長官が2月に示した、専門家の合意があれば医療用大麻の合法的使用に反対しないという意見とも一致する。一方、進歩党は4月初旬に医療用大麻(カプセル、エキス、錠剤の形態)の合法化を推進する方針を決定しており、多発性硬化症やがんなどに伴う慢性痛、吐き気、筋肉の痙攣といった症状に苦しむ患者にとって、医療用大麻が最も効果的、あるいは唯一の解決策となり得ると主張している。 同党は、オピオイドやフェンタニルパッチといった厳しく規制された薬物が既に特定の患者に処方されている現状を指摘し、医療用大麻も同様に扱えるはずだと主張。現行の禁止規制が患者を違法な購入や不適切な自己使用に追い込み、健康を害する危険性があると警鐘を鳴らしている。

【参考リンク】
Police would accept decriminalization of medical marijuana if experts see benefits (THE BALTIC TIMES)

カナダ・オンタリオ州、大麻販売店が窓ガラス設置で営業可能に

オンタリオ州政府は、大麻販売店の外観に関する現行の厳格な規制を緩和する方針である。 現在、州内の大麻販売店は、通行人が店内の製品を見られないよう窓を覆うことが義務付けられているが、この規則が従業員の安全を脅かし、強盗を誘発するとの批判が業界から長年上がっていた。窓の覆いは、店内から外の状況を確認することを妨げ、また外部からは店内で犯罪が発生していても気づきにくいためである。 2025年度予算案の一環として発表されたこの変更により、店舗は他の小売店と同様に透明な窓ガラスでの営業が可能になる。州政府はこれにより、従業員と顧客の安全性と快適性を高め、透明性を向上させ、消費者を迎え入れやすい環境を醸成しつつ、若者の大麻への露出を防ぐことを目指すとしている。 High Tide社などの大麻小売業界はこの動きを歓迎しており、従業員の安全向上、違法大麻対策、さらには街の景観改善に繋がると期待している。

【参考リンク】
Ford government to overhaul how cannabis stores look in Ontario (Global news)

タイ政府、大麻規制を再強化へ

タイの大麻政策が転換点を迎えています。新法案では大麻の栽培、販売、輸出入に関するライセンス制度が大幅に厳格化される方針が示されました。大麻が医療目的のみに使用されていることを確認するために医療証明書を取得することが義務付けられると、保険大臣が述べたようです。 かつて推進された大麻の非犯罪化によって、大麻関連経済への期待が高まりました。しかし、包括的な規制が伴わなかったため、娯楽目的での使用が野放しとなり、国内各地で大麻販売店が急増する事態を招きました。 新法案では大麻の栽培、販売、輸出入に関するライセンス制度が大幅に厳格化される方針です。既存の事業者も新たな許可を取得する必要があり、違反者には重い罰則が科されることになります。 この規制強化は、大麻の無秩序な拡散を抑制しつつ、プームチャイタイ党の経済政策とのバランスを図ろうとする与党政権の苦心の表れと言えるでしょう。法案はまだ下院に提出されておらず、今後の審議の行方と、それがタイの大麻市場に与える影響が注目されます。

【参考リンク】
Cannabis users in Thailand ‘will need medical certificates’ (Bangkok Post)


週刊大麻ニュース 5月16日から5月23日 は以上になります。

大麻・CBDのビジネス、経済メディア「CANNABIS INSIGHT」編集長:たかおみ

※本記事は、日本国内ならびに国外での違法行為を助長する意図はありません。
この記事の内容は、あくまで読者の皆様のリサーチや学習の一環として提供しています。
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編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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