2025年5月3日(土)から2025年5月9日(金)の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。
※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。
5月3日(土)ポルトガル、医療大麻輸出量が前年比3倍増で世界2位に
5月4日(日)ペンシルバニア州下院、大麻合法化法案を可決
5月5日(月)ドイツ自家栽培大麻、6割が収穫許容量オーバーで問題視
5月6日(火)アメリカ、大麻デリバリー大手が破産、新会社で事業継続
5月6日(火)妊娠中の大麻使用について、米専門家が胎児発達リスクに警鐘
5月7日(水)ミネソタ州、嗜好用大麻市場が本格始動
5月8日(木)欧州で最優秀ブランドを決める「Business of Cannabis Awards 2025」が開催される
5月9日(金)大塚製薬と慶應義塾がシロシビンなど“精神展開剤”国内実装に向け共同研究
ポルトガル、医療大麻輸出量が前年比3倍増で世界2位に
ポルトガルにおける医療用大麻の輸出が急増しています。国家医薬品医療製品庁(Infarmed)のデータによると、2024年のポルトガルからの医療用大麻の輸出量は前年比約3倍の32,558キログラムに達し、172%の増加を記録しました。主な輸出先はドイツ、スペイン、ポーランド、英国、オーストラリアであり、この成長によりポルトガルはヨーロッパ最大、そしてカナダに次ぐ世界第2位の医療用大麻輸出国となっています。
背景には、医療用大麻の栽培から輸出に至るまでの規制環境が整備され、多くの企業が参入していることがあります。現在、栽培活動の許可を受けている企業は41社に上ります。大麻の消費だけでなく、輸出入ビジネスも大きなビジネスチャンスとなっています。
【参考リンク】
Portugal cannabis exports almost triple (The Portugal News)
ペンシルバニア州下院、大麻合法化法案を可決
ペンシルベニア州下院において、21歳以上の成人による嗜好用大麻の購入と使用を合法化する法案が、同州で初めて下院を通過しました。この法案は、民主党の全会一致で支持された一方、共和党は反対しており、現在は上院での審議が待たれています。
法案では、初年度に5億ドルを超える税収が見込まれており、その一部はメディケイド費用や公共交通支援に充てられる予定です。さらに、歴史的に不利な立場にあるコミュニティへの支援、薬物乱用対策、大麻関連の有罪判決の記録抹消にも活用されます。
この動きにより、アメリカ国内で新たに大麻を合法化する州が誕生する可能性もあります。
【参考リンク】
Pennsylvania House advances bill legalizing recreational marijuana (AP)
ドイツ自家栽培大麻、6割が収穫許容量オーバーで問題視
ドイツにおける合法的な大麻の自家栽培に関する調査結果が公表されました。回答者の47%が自家栽培の合法化を支持しており、34.6%が反対、18.5%が判断を保留している状況です。また、46.3%が自家栽培の合法化によって違法活動が減少すると考えており、品質管理の向上(44%)や、栽培の持続可能性の向上(41.1%)にも期待が寄せられています。
栽培の実態については、約10人に1人が栽培経験があると回答し、未経験者の11%が将来的に栽培に関心を示していました。栽培株数の中央値は3株ですが、4人に1人は法定上限を超える株数を栽培しており、また約60%の栽培者が法定収穫上限である50グラムを超える量を収穫していることが明らかになりました。
ドイツの大麻合法化に伴い、さまざまな実態が浮き彫りになっています。
【参考リンク】
Erste wissenschaftliche Studie zum legalen Eigenanbau in Deutschland (DEUTSCHER HANFVERBAND)
アメリカ、大麻デリバリー大手が破産、新会社で事業継続
大麻デリバリー企業であった「Eaze Technologies」は、資産を債権者に売却・譲渡した後、2025年3月に破産申請を行いました。旧会社である「Eaze Technologies」は、破産申請に先立ち、2024年12月31日をもって事業を停止しています。
そして2025年1月1日には、新たに設立された別会社「Eaze」が事業を開始しました。この新会社「Eaze」は、カリフォルニア州、コロラド州、フロリダ州の3州で約1,100人の従業員を雇用し、事業を展開しています。この破産申請のニュースは、大麻ビジネスの厳しい現実がわかります。
【参考リンク】
Marijuana delivery company Eaze can’t cover debt, files bankruptcy(MjBizDaily)
妊娠中の大麻使用について、米専門家が胎児発達リスクに警鐘
米CNNが報じたところによると、米産科婦人科学会(ACOG)および米国小児科学会(AAP)の専門家は、「妊娠中に安全といえる大麻の使用量は存在しない」と改めて警告しました。近年、つわりの軽減や不安の解消を目的に大麻(THC)やCBDを摂取する妊婦が増加しており、連邦機関の推計によれば、妊婦のおよそ3~7%が使用経験を持つとされています。専門家によると、THCは胎盤を通じて胎児の脳に到達し、神経発達や免疫機能に悪影響を及ぼす可能性があるといいます。
【参考リンク】
Marijuana is extremely dangerous to the fetus in the womb, study finds(CNN)
ミネソタ州、嗜好用大麻市場が本格始動
ミネソタ州は、嗜好用大麻市場の立ち上げに向けて、栽培、製造、卸売業などのライセンスを抽選で付与することを発表しました。ミネソタ州大麻管理室(OCM)は、2025年6月5日にこれらの事業ライセンスの抽選会を実施する予定です。
栽培ライセンスでは50枠に対して95件、製造ライセンスでは24枠に対して80件、メゾビジネスライセンスでは100枠に対して267件の申請があったと報告されています。
この動きは、ミネソタ州における合法大麻市場の本格的な始動を意味するといえるでしょう。
欧州で最優秀ブランドを決める「Business of Cannabis Awards 2025」が開催される
カナダおよび英国を拠点に業界メディアを展開する Business of Cannabis(BofC) は、恒例の業界表彰イベント「Business of Cannabis Awards 2025」のエントリー受付を開始したと発表しました。
BofC Awards は、生産・流通から小売まで、北米および欧州のサプライチェーン全体を対象に、“今年最もインパクトを残した企業・人物・取り組み”を選出するアワードです。最終結果は、今秋にロンドンで開催される授賞式にて発表される予定です。
日本ではまだ数が少ないものの、海外では大麻ビジネスに特化したカンファレンスや表彰イベントが各地で開催されており、業界の盛り上がりを示す象徴的な取り組みとなっています。
【参考リンク】
The Business of Cannabis Awards 2025: Call for Entries Now Open(Business of Cannabis)
大塚製薬と慶應義塾がシロシビンなど“精神展開剤”国内実装に向け共同研究
大塚製薬は、慶應義塾と「精神展開剤(サイケデリック)」の社会実装を見据えた共同基礎研究契約を締結したと発表しました。うつ病やPTSDなどの難治性精神疾患に対し、海外で即効性が報告されているシロシビンなどの新規治療薬を、日本でも安全かつ適切に患者へ届ける体制の構築を目指す取り組みです。大手企業による動きや精神展開剤に関する研究事例が増加しており、変化の大きい領域であることがうかがえます。
【参考リンク】
契約を締結‐精神展開剤の社会実装に向けた基盤整備のための産学連携- (大塚製薬)
週刊大麻ニュース 5月3日から5月9日 は以上になります。
今週は「CBD白書2025」海外版をリリースしました!密かに。
日本のCBD市場をウォッチしている事業者ってかなりいるようで、私もLInkedinなどしてると時々DMが来たりします。そのような事業者の方に日本の市場状況を届けることができたらなと思い、ライブラリーさんと、CBD部さんと英語版を作りました。海外向けのしっかりやっていきたいですねー。
大麻・CBDのビジネス、経済メディア「CANNABIS INSIGHT」編集長:たかおみ