2025年4月26日(月)から2025年5月2日(金)の期間に世界の大麻・CBD業界で起きた出来事をまとめた『週刊大麻ニュース』をお届けします。大麻に関する合法化、政治、ビジネスなどのテーマを中心に取り扱っております。
※日本国内の違法行為を推奨するものではありません。
4月26日(土) 全麻協、「カンナビノイド含有食品ガイドライン」を発表
4月27日(日)コロラド州、サイケデリック所持の前科を一括恩赦へ
4月28日(月)カナダ大手大麻企業Tilray、NZ市場撤退を発表 オーストラリアへシフト
4月29日(火)カナダ大麻業界、新政権に大麻政策強化を要求
4月30日(水)オーストラリア、動物向けヘンプ製品規制の改革を要求
5月1日(木)フランス、CBD業界が新たな規制圧力に直面
5月2日(金)アメリカ大麻産業、2025年に18兆円の経済効果と試算
5月2日(金)米議会、軽微な大麻前科を“自動抹消”へ 新法案を再提出
【目次】
全麻協、「カンナビノイド含有食品ガイドライン」を発表
カンナビノイド関連事業者で構成される一般社団法人・全国大麻商工業協議会(全麻協)は、23日にCBDやCBG、CBNなどを含む食品向けの自主基準「カンナビノイド含有食品に関するガイドライン」を公開しました。ガイドラインでは、製品ラベル、保管体制、広告表現など5つの項目について基準が策定されています。全麻協は「自主基準を業界全体で共有し、透明性と信頼性を高めることで、日本のカンナビノイド産業を持続的に成長させたい」とコメントしています。
【参考リンク】
カンナビノイド含有食品に関する自主ガイドラインを策定・発表 (一般社団法人全国大麻商工業協議会)
コロラド州、サイケデリック所持の前科を一括恩赦へ
コロラド州議会は、過去にサイケデリック関連の軽微な違法行為で有罪となった人々に対して、州知事が恩赦を与える権限を持てるようにする法案を承認しました。この動きは、2022年に有権者の承認を受けて成立したサイケデリック合法化法「プロポジション122」の実施を進める一環であり、知事の呼びかけに応じたものです。この法案には、サイケデリック推進派だけでなく、慎重派からも幅広い支持が寄せられました。
カナダ大手大麻企業Tilray、NZ市場撤退を発表 オーストラリアへシフト
カナダの大手医療用大麻企業Tilray(ティルレイ)が、ニュージーランド市場からの撤退を発表しました。今後はオーストラリア市場での成長に注力する方針です。ティルレイは、ニュージーランドの医療用大麻制度が始まった当初、最初に品質基準を満たした企業の一つでしたが、今回の撤退により、同社が提供していた7つの承認済み製品が国内市場から姿を消すことになります。この動きを受けて、関係者の間ではさまざまな見方が出ています。グリーンリーフ・グループのCEOは、ニュージーランドの高い規制コストや厳格な基準が企業参入の障壁となっている点を指摘し、患者が製品を入手しにくくなることや価格への影響を懸念しています。
【参考リンク】
Listed Canadian cannabis firm to leave NZ, but new players poised for growth (The POST)
カナダ大麻業界、新政権に大麻政策強化を要求
カナダでマーク・カーニー首相が就任したことを受け、同国の大麻業界団体であるカナダ大麻評議会(CCC)は、自由党政権に対し、業界の持続的成長を確保するための政策変更を要請しました。カーニー氏は、1月に辞任したジャスティン・トルドー前首相の後任として3月に就任し、先日の選挙で首相としての信任を得た形です。これに対してCCCは、カナダが2018年に世界に先駆けて嗜好用大麻を合法化したにもかかわらず、連邦政府による業界支援は不十分であったと指摘。政権交代を機に、具体的な支援策を講じるよう求めています。
【参考リンク】
Cannabis group urges Canadian prime minister to change policies(MjBizDaily)
オーストラリア、動物向けヘンプ製品規制の改革を要求
オーストラリアのヘンプ産業界が、動物向けヘンプ製品に関する規制の明確化を求めています。オーストラリア産業ヘンプ連盟(AIHA)は、農薬や動物用医薬品の審査・登録を担う独立機関「オーストラリア農薬・動物用医薬品局(APVMA)」に対し、動物用ヘンプ栄養製品の規制に関する明確化と改革を求める書簡を送付しました。
現在、ヘンプを含む動物用製品は登録が必要な「動物用医薬品」と定義されており、登録された製品が存在しないため、市販されているヘンプ入りペットフードやおやつなどは、事実上違法な状態にあります。
この不明確な規制状況が、オーストラリアのヘンプ産業の成長や技術革新を妨げており、特に輸出の可能性を秘めたヘンプ農家にとっては大きな機会損失となると同時に、地方経済の停滞を招く要因になっているとの懸念が示されています。
【参考リンク】
Australia’s AIHA Calls For Hemp Animal Product Clarification (HEMP GAZZETE)
フランス、CBD業界が新たな規制圧力に直面
フランスのCBD業界は、同国の食品環境労働衛生安全庁(ANSES)による新たな規制圧力に直面しています。ANSESは、CBDに生殖毒性(受胎能力や生殖器機能への悪影響)の懸念があるとして、食品や化粧品への使用を禁止する可能性を示唆しています。
この判断は、一般的な小売製品よりもはるかに高用量である医薬品「エピディオレックス」のデータに基づいており、業界団体はその点を強く批判しています。
このANSESの見解は、フランス国内で約7億ユーロ規模とされる市場や2万人の雇用に影響を及ぼすだけでなく、EU全体のCBD規制にも波及する可能性があります。業界側は、フランスでの10年以上にわたる安全な使用実績や、実際の消費レベルに基づくデータをもとに反論する構えです。
【参考リンク】
French CBD Industry Under Attack From Food Regulators (Business of cannabis)
アメリカ大麻産業、2025年に18兆円の経済効果と試算
米国の合法的な大麻産業が、2025年に総額1,236億ドル(約18兆919億7,000万円)の経済効果をもたらすとの最新の市場予測が発表されました。経済効果の算出には、大麻業界の売上に対して経済波及効果を乗じる手法が用いられており、1ドルの売上が2.5ドルの経済効果を生むとされています。これにより、同産業の実際の経済的影響力をより正確に把握できる仕組みとなっています。
【参考リンク】
Marijuana industry will add $123.6 billion to US economy this year
米議会、軽微な大麻前科を“自動抹消”へ 新法案を再提出
アメリカ連邦議会の議員らが、連邦レベルの大麻関連犯罪記録を自動的に抹消し、州による記録抹消の推進を支援する2つの法案を再提出しました。対象となるのは「クリーン・スレート法(Clean Slate Act)」と「フレッシュ・スタート法(Fresh Start Act)」です。
クリーン・スレート法では、特定の非暴力的な大麻関連の有罪記録を自動的に抹消することが義務づけられ、さらに無罪となった逮捕歴についても救済対象とされます。自動抹消の対象外となる犯罪についても、一定期間の経過後には裁判所への再申請が可能となるプロセスが整備されており、経済的困窮者に対しては公選弁護人が支援を行う仕組みも盛り込まれています。
一方、フレッシュ・スタート法は、自動抹消制度を導入する州に対して連邦資金を提供する内容であり、罰金未払いなどを理由に処理を遅延させる州には補助金が交付されない仕組みとなっています。
週刊大麻ニュース 4月26日から5月2日 は以上になります。
そういえば、先日「CANNABIS INSIGHT」の創刊から3年を迎えました!
いつも読んでくださっている皆様、ありがとうございます。
最近の進捗としては、「日本臨床カンナビノイド学会」さんのメールマガジンでCANNABIS INSIGHTのニュース記事が掲載れたり、CBD部・CBDライブラリーさんとCBD白書をリリースしたりと3年目ですがじわじわ活動を続けています。3年目も少しでも業界に貢献できるように情報発信を続けていきますので引き続きよろしくお願いいたします。
大麻・CBDのビジネス、経済メディア「CANNABIS INSIGHT」編集長:たかおみ