島津製作所の大麻事業を解説|分析計測機器で世界進出

こんにちは、CANNABIS INSIGHTです。

島津製作所は、日本の大手企業ですが、大麻産業にも進出しています。特に、分析計測機器の提供を通じて、品質管理や安全性試験に貢献しており、大麻およびヘンプの試験・分析機器の分野で独自の地位を築いています。

本記事では、島津製作所の大麻関連事業にフォーカスして、事業内容や機器について紹介します。

目次

島津製作所の大麻産業進出

島津製作所のロゴ

会社ロゴ出典 – 島津製作所

島津製作所は、140年以上にわたり科学技術を通じて社会に貢献してきた企業です。

分析計測機器、医用画像診断機器、真空機器、産業機械、海洋関連機器など、幅広い分野で事業を展開しています。 創業は1875年、京都の木屋町二条南に初代島津源蔵が教育用理化学器械の製造を開始したのが始まりです。 「人と社会と地球の健やかな未来のために」を経営理念に掲げ、科学技術を通じて社会に貢献しています。

日本ではかなりの有名企業である島津製作所ですが、近年、大麻産業にも進出しており分析分野において独自の地位を築いています。主な事業内容のなかに「分析計測機器」の提供があり、その一環として、アメリカ等の国で大麻産業関連の事業活動を行っているようです。

大麻関連事業として、大麻およびヘンプの試験・分析用機器を提供しています。これらの機器は、品質管理や分析、製品開発など、幅広い用途で使用されています。

島津製作所は、大麻関連で以下の事業を提供しています。

  • 機器の提供:
    島津製作所は、大麻の効力試験、テルペン分析、農薬、残留溶媒、重金属、カビ毒/アフラトキシンなどの汚染物質試験など、幅広い用途に対応する機器を提供しています。 これには、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)などの機器が含まれます。

  • メソッド開発とサポート:
    島津製作所は、機器やソフトウェアに加えて、メソッド開発、機器トレーニング、メンテナンスなどの技術的な知識とサポートも提供しています。 また、FDA 21 CFR Part 11準拠ソフトウェアなどのオプションも提供しています。

  • 研究プラットフォーム:
    島津製作所は、標準的な品質管理ラボを超える機能を必要とする施設向けに、オンラインSFE-SFC-LC-MS/MS、MALDI-TOF MS、高分解能Q-TOF LCMSなどの幅広い研究用機器を提供しています。

  • 標準物質と消耗品の提供:
    島津製作所は、サンプル調製時間を短縮するために、2種類のカンナビノイド混合物を製造しています。 また、カンナビノイド分析用に特別に設計された、NexLeaf™ブランドの超高性能液体クロマトグラフィー分析用およびガードカラムも提供しています。

メソッドパッケージの提供

ここからは大麻関連事業の中で島津製作所が行っている「メソッドパッケージ」について紹介します。

メソッドパッケージとは大麻やヘンプの分析に必要な分析機器だけでなく、分析メソッド(手順・条件)や必要なソフトウェア、標準試薬、消耗品などを一式として提供することを指します。分析機器自体には大麻の分析に特化したものもあれば、大麻の分析に応用させた汎用的な機械もあります。

パッケージごと提供することで、分析にノウハウのない事業者においても、すぐに分析を始めることができます。これは機器のリースだけでなく、さまざまな科学のノウハウを持つ島津製作所が強みを持ってできることでしょう。

島津製作所は、様々なカンナビノイド分析ニーズに対応するため、多数のメソッドパッケージを提供しています。その一部について以下にご紹介します。

HPLC/UHPLCを用いたカンナビノイド分析

HPLC:
High Performance Liquid Chromatography。試料中の化合物を分離し、分析するための分析技術です。HPLCは、大麻などの植物の乾燥材料中の精神活性効力や治療用量の試験に広く使用されています。
UHPLC:
HPLCよりも高度なバージョンであり、より短い時間でより高い分離能を提供します。

島津製作所のカンナビノイド分析機械

画像 – Hemp Analyzer

  • High Throughput HPLC Method Package:
    10分以内で、一般的に要求される10種類のカンナビノイド分析が可能。 THCVは含まれていません。

  • High Sensitivity HPLC Method Package:
    THCVを追加し、10分以内の分析時間で、より高い感度を実現。

  • High Resolution HPLC Method Package:
    30分以内の分析時間で、11種類のカンナビノイドの完全なベースライン分離を実現。研究目的や、新たな規制に対応するために分析対象化合物を追加する場合に最適。

  • 15種類のカンナビノイド分析メソッド:
    Shimadzu Hemp Analyzerを用いて、15種類のカンナビノイドを15分で分析。

  • 16種類のカンナビノイド分析メソッド:
    Nexera-i (LC-2040C 3D) UHPLCとPDA検出器を用いて、16種類のカンナビノイドを分析。

LC-MS(/MS)を用いたカンナビノイド分析

  • LC-MS/MS分析メソッド:
    トリプル四重極質量分析計を用いることで、高い感度、選択性、化合物確認を実現。 LC-MS分析メソッド:
    シングル四重極MSとIn-Source Fragmentationを用いることで、より高い信頼性で同定が可能。

  • GC-MS(/MS)を用いたカンナビノイド分析:
    GC-MS(/MS)は、FID検出器と比較して、質量分析計の利点により、より優れた感度、選択性、質量同定を提供するため、カンナビノイド分析に適しています。

大麻関連領域での活動

島津製作所は各国の大麻関連イベントにも出展しており、大麻産業においてもプレゼンスを出す動きをしているように見えます。以下の画像のように、HPの「NEWS/EVENTS」にも2024年9月11日現在で、MJBizCon2024への参加表明をしているようです。

Shimadzu News and events

島津製作所は、2023年のカナビス・ヨーロッパ・ロンドンでシルバースポンサーを務めました。島津製作所は、このイベント開始当初から議論に参加しており、大麻市場の進化に貢献しています。

島津製作所のヨーロッパ食品市場マネージャーであるUwe Oppermann氏は2021年時に、同社のカンナビステストソリューションについて、効力試験から農薬スクリーニングまで、幅広いアプリケーションを網羅しているとコメントしています。

島津製作所はヨーロッパにおいても、分析機器と環境モニタリング機器のプロバイダーとして重要な役割を果たしていることがわかります。

まとめ

今回は島津製作所を紹介しました。新興産業にこのように大手企業が技術を提供することでプロダクト全体のクオリティが上がり、業界にいい循環が生まれるのではないでしょうか。引き続き企業の大麻産業で面白い事業展開をしている事例をご紹介できたらと思います。

おもしろい動きをご紹介できたらと思います。

参考資料

編集者

CANNABIS INSIGHT代表/編集長
世界の大麻・CBDのビジネスや経済情報を調べています。

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