大麻・CBDを科学、経済、ビジネスの視点から語るポッドキャスト「ASAラジオ」。第2回では、JIHE2025(国際ヘンプ博覧会)の振り返りを起点に、CBD業界の最新規制、水溶性CBD原料、CBDの広告規制、そしてCBD原料比較プラットフォーム「アサバンク」について話しました。
ASAラジオは、大麻・CBD業界を科学・経済・ビジネスの視点から解説するポッドキャストです。
CBDやカンナビノイドに関する最新の規制動向、研究トピック、原料技術、海外市場、業界ビジネスなどをテーマに、業界関係者の視点から議論・解説を行っています。
出演者
KCAラボジャパン / Operations Manager
国立大学法人電気通信大学 情報理工学域卒業。化学生命プログラムにてホタルルシフェリン類縁体の発光基質に関する研究に従事。大学では有機化学・生化学を中心に学び、研究分野では分子レベルでの生体反応の解析に取り組む。
現在はKCAラボジャパンにて、カンナビノイド分析や品質管理に関わる業務を担当。CBDやカンナビノイドの分析・規格・科学的知見をベースに、業界の品質基準や技術的理解の向上に取り組んでいる。
ポッドキャスト「ASAラジオ」では、カンナビノイドの科学的背景や研究動向、原料技術などを分かりやすく解説している。
アサバンク / CANNABIS INSIGHT 代表
大麻・CBDのビジネス、経済、規制動向を扱う専門メディア「CANNABIS INSIGHT」代表。日本国内および海外のカンナビノイド産業、ヘンプ産業の市場動向や政策、企業動向を取材・発信している。
また、CBD原料の比較・マッチングプラットフォーム「アサバンク(ASABANK)」を運営。CBD事業者やメーカー向けに、原料調達やサプライヤー選定の情報プラットフォーム構築を進めている。
メディア運営、業界取材、イベントレポートなどを通じて、日本のCBD・ヘンプ産業の情報基盤づくりに取り組んでいる。
JIHE2025で感じた変化|海外参加者の存在感が強まった
まず大きな話題になったのが、2025年11月開催のJIHE2025(国際ヘンプ博覧会)です。
全体の来場者数は約2,000人前後で、前年と大きく変わらないか、やや減少した可能性もあるという印象でした。ただ、数字以上に変化を感じたのは、参加者の属性です。
特に印象的だったのは、海外からの来場者・出展者が明らかに増えていたことでした。会場準備中から海外の家族連れが来ていたり、B2B展示では海外の原料企業やテルペン関連企業が多く見られたりと、例年とは少し違う空気がありました。
今回は運営として海外向けの営業にも力を入れていたこと、さらに**海外スピーカーを軸にした「JIHEフォーラム」**を開催したこともあって、その流れがしっかり表れていたように思います。アメリカだけでなく、オーストラリア、韓国、中国など、参加国の幅も広がっていた印象です。
つまり今年のJIHEは、国内イベントでありながら、日本市場を見に来る海外プレイヤーの存在感が強かった回だったと言えます。
日本のCBD市場は期待されているのか? 現場感はかなり複雑
では、海外企業は本当に日本市場に期待しているのか。
ここはかなり難しいところで、ラジオでも単純な結論にはなりませんでした。
確かに、日本市場は注目されています。
2024年の法改正以降、カンナビノイドを取り巻く環境が大きく変わり、制度面でも議論が活発になったことで、「これからどうなるのか」を見に来る海外企業が増えたのは間違いありません。
ただ、現場にいる感覚としては、期待されている一方で、かなり難しい市場でもあるというのが正直なところです。
特にB2C寄りの空気を見ると、熱量の高い参加者や長年関わっている人たちはいるものの、「一気に新規参入が増えている」という感じではありません。むしろ、既存プレイヤーの中には厳しさを感じている人も多く、表向きの盛り上がりと実際の事業環境にギャップがあるようにも見えます。
このあたりは、CBD業界に限らず新しい産業ではよくある話かもしれませんが、今の日本市場はまさにその途中にある印象です。
JIHEは展示会というより“年に一度のお祭り”になってきている
今回の話の中でしっくりきた表現が、**「JIHEは年に一度のお祭りみたいなもの」**という感覚でした。
もちろん展示会であり、カンファレンスであり、ビジネスマッチングの場でもあります。ですが、実際に現地に行くと、それ以上に「久しぶりに会う人と再会する場」「この業界の空気を確認しに行く場」として機能している面があります。
出展してみると、それがよりはっきり分かります。
ブースがあることで話しかけてもらいやすくなり、普段オンラインでは接点のない人とも自然に会話が生まれます。「いつも見ています」「毎日読んでいます」と声をかけてもらえることもあり、メディアをやっていてよかったと思える瞬間もありました。
業界としては厳しい局面もありますが、それでも現場では「なんとか前に進めよう」という熱量がある。その独特の空気感を感じられるのも、JIHEの大きな価値だと思います。
JIHE2025のカンファレンス内容|規制・医療・産業ヘンプが中心
カンファレンスでは、現在の規制状況や医療用途の話題に加え、海外向けフォーラムでは各社のプレゼンテーションも行われていました。
日本国内のCBD・カンナビノイド文脈では、どうしても規制や医療活用が中心になりやすいのですが、今年はそれに加えて産業用ヘンプの文脈も印象に残りました。
たとえば、食品分野では八幡屋礒五郎のような有名企業が第一種大麻草採取栽培者免許を取得し、国産の麻の実を使った製品展開を見据えて動いているという話もありました。さらにヘンプクリートのような建材文脈もあり、単なるCBDだけではない「ヘンプ全体」への広がりが見え始めています。
今後は、医療・規制だけでなく、食品・建材・素材・流通・地方産業といった周辺領域まで含めて、より多様なプレイヤーが入ってくると面白くなりそうです。
CBN規制の話題はやはり大きい|ただし簡単には語れない
今回のラジオでもかなり気を使って話していたのが、CBN規制に関するテーマです。
JIHE会場でもこの話題は非常に注目されていて、パブリックコメントや署名活動なども含め、関心の高いトピックになっていました。ただ、この話は非常にセンシティブで、軽く断定的に語れるものではありません。
現状としては、完全自由化も全面規制も現実的ではなく、どこかで着地点を探る必要があるのではないか、という見方がありました。その一案として出ているのが、容量基準の考え方です。
たとえば420mgや210mgといった数字が議論の中で出ていますが、これは十分な臨床的根拠から定まった絶対値というより、まずは市場実態から見えてきた一つの目安に近いものです。つまり、「今流通している製品の中で、どのあたりの数値が現実的なのか」を元に議論している段階と言えます。
ここはメディアとしても非常に扱いが難しいテーマです。
ただ、だからこそ感情論ではなく、今公表されている事実や実態ベースで慎重に発信していくことが重要だと感じています。
水溶性CBDとは? 普通のCBD原料との違いを整理
後半では、**水溶性CBD(正確には水溶性カンナビノイド原料)**についてもかなり詳しく話しました。
そもそも通常のCBD原料は、水にそのまま溶けるわけではありません。アイソレートのような高純度粉末も、見た目は砂糖や塩のようでも、水に入れるときれいには溶けません。これはカンナビノイドが基本的に疎水性で、水と相性が悪いためです。
そこで、水の中でも分散・吸収しやすくするために加工されたのが水溶性CBDです。主な製法としては、次のようなものがあります。
エマルジョン化
界面活性剤などを使い、水と油のように本来混ざりにくいものを分散させる方法です。マヨネーズのようなイメージに近いです。
アモルファス化
結晶構造を壊して粒子を小さくし、水中で分散しやすくする方法です。比較的新しい技術として注目されています。
シクロデキストリン包接
糖由来の構造の中にカンナビノイドを取り込み、水に溶けやすくする方法です。
こうした技術によって、水に近い形で使えるCBD原料が作られています。
水溶性CBDのメリット|吸収が早く、少量でも利用しやすい
水溶性CBDのメリットとしてよく挙げられるのが、吸収速度の速さです。
一般的なエディブル製品では、作用実感まで60〜90分ほどかかることがありますが、水溶性の原料を使うと、15分程度で吸収が始まると言われることがあります。海外でCBDドリンクやTHCドリンクが伸びている背景には、こうした「早く使える」価値があります。
もう一つの特徴は、バイオアベイラビリティの向上です。
要するに、体内で利用されやすくなるため、少ない量でも効率的に設計しやすいということです。
このため、水溶性CBDは飲料やグミなど、従来とは異なる製品カテゴリーに可能性がある原料として期待されています。
ただし日本では水溶性CBDのハードルが高い
ただ、ここで大きな問題があります。
それが日本国内の規制と品質管理コストです。
水溶性原料は、そもそも加工コストがかかります。さらに日本では、水溶液に対するTHC残留基準が非常に厳しく、管理面での負担も大きいのが現実です。
つまり、水溶性CBDは技術的には面白く、海外では活用も進んでいる一方で、日本では商品化・流通のハードルがかなり高い原料でもあります。
そのため、研究テーマとしては非常に面白いものの、現時点で国内の商品開発において「おすすめしやすい原料か」と言われると、かなり慎重に見なければならない、というのが今回の結論に近い話でした。
それでも、たとえばグミなどの形で別カテゴリとして活用する可能性など、応用余地はゼロではありません。このあたりは今後も追っていく価値があるテーマです。
CBDの広告規制はどこが難しいのか
今回かなり実務寄りの話として盛り上がったのが、CBDの広告規制についてです。
CBD業界では、商品そのものの設計や品質管理ももちろん大事ですが、実際に事業をやるとなると、それと同じくらい大きな壁になるのが広告と決済です。
たとえばGoogleやMetaのような大手プラットフォームでは、CBD関連商品の広告は非常に出しづらく、出せたとしても警告や配信停止のリスクがあります。見せ方を工夫すれば通ることもありますが、安定して運用しづらいのが現実です。
その結果、CBD事業者は
- SNSを地道に育てる
- 自社メディアを強くする
- オフラインで接点をつくる
- 業界内ネットワークで広げる
といった、かなり泥臭い方法で認知を広げる必要があります。
つまり、一般的なECやD2Cのように「広告を回して伸ばす」という戦い方が、そのまま通用しにくいのです。
CBD原料比較プラットフォーム「アサバンク」とは
そうした課題意識の中から立ち上げたのが、**CBD原料比較プラットフォーム「アサバンク」**です。
アサバンクは、CBD原料を探している企業と、原料を供給している企業をつなぐためのマッチングプラットフォームです。これからCBD事業を始めたい企業や、新たな原料サプライヤーを探している企業が、条件に合う相手を見つけやすくすることを目的にしています。
背景にあるのは、CANNABIS INSIGHTを運営する中で見えてきた、業界特有の課題です。
この領域では、COA、検査方法、原料規格、流通の信頼性など、一般的なB2Bマッチングでは吸収しづらい要素が多くあります。だからこそ、CBD・ヘンプ業界に特化した比較・相談の場が必要だと考えました。
また、アサバンクは単なる問い合わせ導線ではなく、将来的には国内流通や市場感の可視化にもつなげていきたいと考えています。
なぜアサバンクを始めたのか|市場データが見えづらいから
CBD業界では、「市場が伸びている」と言われる一方で、現場ではその実感が持ちづらいことがあります。
海外レポートでは成長市場として語られることが多いですが、日本国内で見ると、一部の企業が強いだけで、全体としてはまだ不透明な部分も多い。原料の流通量や実際の取引規模、どのカテゴリが伸びているのかなど、細かいデータが見えにくいのです。
この不透明さは、新規参入の障壁にもなります。
原料管理コストや法規制対応コストが高い中で、「どれくらい売れるのか」が見えないと、大企業も中堅企業も入りづらくなります。
だからこそ、業界特化のプラットフォームを通じて、少しずつでも市場のリアルを可視化していくことには意味がある。アサバンクは、そうした思想も持ちながら立ち上げています。
2026年に向けて|ASAラジオとCANNABIS INSIGHTで何を発信するのか
最後は、2026年に向けてどんな活動をしていきたいか、という話になりました。
一つは、もっと調べることです。
CBDやカンナビノイド、ヘンプの領域には、まだ分かっていないことが本当に多い。だからこそ、海外事例や技術情報を調べて、良い面も悪い面も含めて客観的に伝えていくことに意味があります。
もう一つは、もっと現場に行くことです。
海外イベントや現地取材、事業者インタビューを通じて、机上の情報ではなく、その場でしか分からない空気感まで含めて発信していきたいと考えています。
2026年は、CANNABIS INSIGHTとしても、ASAラジオとしても、より立体的にこの業界を記録していく年にしたい。そんな話で今回の収録は締めくくられました。
まとめ|JIHE2025、水溶性CBD、広告規制、アサバンクから見える業界のリアル
今回のASAラジオ #2では、JIHE2025をきっかけに、今の大麻・CBD業界が置かれている状況をかなり広い角度から話しました。
印象としては、市場にはまだ難しさがある一方で、面白い変化も確実に起きているということです。
- JIHE2025では海外プレイヤーの存在感が増した
- 日本市場は注目されているが、簡単な市場ではない
- CBNや水溶性CBDなど、技術・規制の論点はより複雑になっている
- CBD広告規制は依然として大きな壁
- その中で、アサバンクのような業界特化プラットフォームの必要性が高まっている
ラジオでも話した通り、この業界は外から見ると分かりづらい部分も多いですが、中に入ってみると、まだ掘るべきテーマが本当にたくさんあります。
ASAラジオでは今後も、こうした大麻・CBDを科学・経済・ビジネスの視点から捉える話を続けていく予定です。タイトル
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