米調査メディアMJBizDailyのまとめで、THC入り飲料の米国内売上が2024年に初めて10億ドル(約1,600億円)を突破したことが分かった。低用量(ローディング)で“飲む大麻”として気軽に楽しめる点が浸透し、クラフト炭酸飲料やセルツァー、ティー系など新商品の投入が相次いだことが追い風になったという。
市場拡大の背景には、州の嗜好用大麻ディスペンサリーでの取り扱い拡大に加え、ヘンプ由来のデルタ9-THC飲料が州法の範囲内で一般小売やバー/レストランにも流通したことがある。これにより購入機会が大幅に増え、アルコールの「代替」需要やソバーキュリアス(断酒・減酒志向)層の取り込みが進んだ。
一方で、州ごとに異なる規制やラベリング基準、年齢確認の運用、課税の扱いは依然として課題。連邦レベルでは次期ファームビル(農業法)やヘンプ由来カンナビノイドの取り扱い見直しが議論されており、法整備の行方がサプライチェーンや販売チャネルに影響を与える可能性がある。カテゴリーは急伸しているものの、全体の大麻市場やアルコール市場と比べればまだ黎明段階で、各社は製造コストの圧縮、常温流通対応、リピート率の改善など収益化に向けた取り組みを強化している。
業界関係者は「THC飲料は‘その場で楽しむ’体験価値が強く、オンプレミス(店内提供)や音楽フェスなどイベントでの露出が新規顧客の入り口になっている」と指摘。大手飲料企業の関心も高まりつつあり、今後は共同開発や資本提携を通じて製造・流通のスケール化が進むとの見方が出ている。