こんにちは、大麻・CBDのビジネス、経済メディア「CANNABIS INSIGHT」です。
近年、日本においてヘンプ(大麻)産業が再び注目を集めています。産業用大麻は伝統文化の継承や、環境負荷軽減といった多方面での可能性が期待されています。
この記事では、三重大学の研究プロジェクトから北海道ヘンプ協会、エイベックスのヘンプブランド、無印良品や麻福の取り組みまで、国内におけるヘンプ産業の最新動向を紹介します。
企業名 |
HP |
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三重大学 |
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北海道ヘンプ協会 |
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大麻博物館 |
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エイベックス |
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無印良品 |
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ASAFUKU |
(執筆日:2024年9月10日)
三重大学 地域共創展開センター 神事・産業・医療用大麻研究プロジェクト
伝統文化の継承や地域経済の活性化
三重大学の地域共創展開センターでは、神事や産業・医療用の大麻研究プロジェクトが進行しています。70年以上の規制により危機に瀕している日本の大麻農業を復興し、伝統文化に必要な大麻素材の国産化を目指しています。
目的は安全な産業用大麻品種の開発と、大麻研究の拠点の確立。プロジェクトには、諏訪部圭太教授をはじめとする複数の研究者が参加し、産学官連携を通じて大麻栽培試験や機具の復元に取り組んでいます。
期待される成果としては、伝統文化の継承や地域経済の活性化が挙げられます。
公式HP:
https://www.rcdc.mie-u.ac.jp/project-taima/
北海道ヘンプ協会(HIHA)
北海道におけるヘンプ産業の創出を目指す
北海道ヘンプ協会(HIHA)は、北海道におけるヘンプ産業の創出を目的とする団体。活動は多岐にわたり、産業化に必要な法整備に向けたロビー活動、ヘンプの可能性に関する情報発信、一次加工会社の設立支援、大規模栽培に必要な海外品種の導入などに取り組んでいます。
具体的な活動として、アグリビジネス創出フェアへの出展、北海道産業用ヘンプ連絡会議の開催、ヘンプに関する勉強会やシンポジウムの開催、PR動画の作成、ヘンプに関する資料の翻訳・作成、改正大麻法に関する情報発信などを行っています。また、会員向けにビジネス研究会を開催し、繊維、食品、住宅、栽培の各分野におけるヘンプ事業化を支援しています。
これらの活動を通して、HIHAはヘンプを北海道の基幹作物とすることを目指し、全道で20,000haの作付け面積を目指しています。
大麻博物館
「農作物としての大麻」について情報発信を続ける私設の博物館
大麻博物館は、栃木県那須にあり、日本人の衣食住を支えてきた「農作物としての大麻」に関する私設の小さな博物館です。2001年に開館し、2020年に一般社団法人化しました。
主な活動としては、資料等の収集、情報発信、講演、麻糸産み後継者養成講座などのワークショップ開催などを行っています。栃木県を大麻で盛り上げ、大麻による地方創生モデルを構築し、日本社会へ発信していきたいと考えて活動されています。
2023年にはWebメディアFINDERでの連載もされていました。魅力的な記事ですのでぜひご覧ください。また書籍も出版されており、大変参考になります。
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FINDERでの連載:
【連載】大麻で町おこし?大麻博物館のとちぎ創生奮闘記
エイベックス (majotae)
10年続いたヘンプブランド。海外展開も視野に。
エイベックスは、音楽事業で広く知られる一方で、2011年から大麻布(ヘンプ)ブランド「majotae(マヨタエ)」の開発に取り組んでいます。かつて日本の日常生活において重要な役割を果たしていた大麻布を、現代の技術を駆使して再現するプロジェクトです。
majotaeの魅力は、シルクのように滑らかでコットンの柔らかさを兼ね備えていることです。従来の大麻布は硬くて粗い印象がありましたが、majotaeは独自の製法により、柔らかく上質な質感を持つ布地を実現しています。
エイベックスは、このブランドを単なる素材としてではなく、「アート作品」として位置づけ、持続可能なライフスタイルや自然との共生という日本古来の価値観を、世界に広めようとしています。具体的な取り組みとして、ミラノデザインウィーク2024での展示や、京都の「真妙庵」での展示などを通じて、majotaeの品質や伝統文化を国内外にアピールしています。
参考情報:
無印良品
天然素材の活用や環境負荷軽減を考慮した商品開発のためにヘンプを利用
無印良品を展開する株式会社良品計画は、環境負荷の少ない天然素材としてヘンプを使用した衣料品を販売開始しています。 これは、良品計画が掲げる「感じ良い暮らしと社会」の実現に向けた取り組みの一環で、天然素材の活用や環境負荷軽減を考慮した商品開発を推進するものです。
無印良品のヘンプ衣料品の特徴は、ヘンプの持つ自然な風合いを残しつつ、シワになりにくいように工夫されている点とされます。 具体的には、縦糸にヘンプ、横糸にレーヨンやポリエステルを使用することで、ヘンプ100%の生地よりもシワになりにくい生地になっています。
商品は、婦人服と紳士服の計15アイテムがラインナップされています。 婦人服では、ジレワンピース、ストレッチスカート、UVカット機能付きニットなどが、紳士服では、シャツジャケット、ストレートパンツ、長袖シャツなどが展開されています。 色は、白や黒などのモノトーン、ベージュやグレーなどのベーシックカラーに加え、ダークグリーンなどのアクセントカラーも用意されています。
良品計画は、今後も天然素材の活用や環境負荷の軽減を考慮した商品開発を進めていくとしています。
ASAFUKU
人気のヘンプ小売事業者
麻福(ASAFUKU)は、ヘンプを原料とした様々な製品(衣料品、寝具、タオル、キッチン用品、麻の実食品、ヘンプ生地、ヘンプ糸)を扱っています。
麻福は、ヘンプを「伝統植物」であり「エシカルな素材」と位置づけ、環境意識の高い層に訴求しています。 ヘンプは、茎、種、葉、花穂、根のすべてを有効活用できるサステナブルな素材であり、衣料品だけでなく、紙、断熱材、プラスチック、建築材料、食品、化粧品、バイオ燃料など、様々な用途への活用が期待されています。
自社製品を通じてヘンプの具体的な活用方法を示すだけでなく、ヘンプの普及・推進活動も行っています。 これは、ヘンプの持つ可能性を広く社会に伝え、ヘンプ産業の発展に貢献しようという姿勢の表れと言えるでしょう。
余談ですが、麻福さんのカヌレはとても美味しいです。
まとめ
日本各地で進行中のヘンプ産業の復興や拡大には、多様な取り組みが見られます。
三重大学の大麻研究プロジェクト、北海道ヘンプ協会の地域活性化、エイベックスや無印良品の製品開発、麻福のエシカルな取り組みは、持続可能な社会づくりに貢献しています。これらの事業や活動はヘンプ・産業大麻市場の拡大に大きな影響を与えるでしょう。