米国で“大麻×料理”のコラボが広がりつつある。大麻業界が供給過多や規制の壁で苦戦する中、シェフや飲食店と組んだ「体験型プロモーション」に乗り出し、食を通じた差別化を狙う動きが注目されている。
舞台となったのはシカゴ。1月14日の「全米ホットパストラミの日」に合わせ、老舗ユダヤ系デリ「Steingold’s」と地元ディスペンサリー「Ivy Hall」がタッグを組み、無料のパストラミサンドを提供した。話題を呼んだのはトッピングで、伝統的なブラウンマスタードに“大麻成分入り”を加えたもの。イベント名は「High on Rye(ハイ・オン・ライ)」とされ、会場には行列もできたという。
ただし、狙いは単なる“ウケ狙い”ではない。Ivy Hall側は、消費者に新しい大麻の楽しみ方を提案し、店舗への関心やブランド体験を高める狙いがあると説明する。大麻市場は価格競争が激しく、エディブル(食用大麻)も定番化が進む一方で、他社との差別化が難しい局面にある。だからこそ「食」と組み合わせた企画が、次の打ち手になり得るという見方だ。
一方、大麻と料理の関係は“混ぜる”だけではない。かつてシェフとしても活動していた大麻ブリーダーのジェームズ・ラウド氏は、料理に大麻を直接入れるよりも、食事と大麻の品種を組み合わせて「香りや体感の違い」を楽しむスタイルを重視する。大麻を料理に混ぜると効き始めが遅く、体感のコントロールが難しい点もあるためだという。
“料理に大麻を入れる”にせよ、“料理と大麻を合わせる”にせよ、ビジネスとしてのハードルは低くない。大麻規制が州ごとに異なるほか、飲食業界は原価や人件費の負担が大きく、利益率を確保しにくい構造もある。それでも関係者の間では、球場など大型会場で大麻マスタードが提供される未来を想像する声も出ており、食と大麻の融合は新たな市場づくりの実験として広がり始めている。
参考記事:High on … mustard? Cannabis industry teams up with chefs in push to stand out(The Guardian)



