サイケデリックをごく微量投与すると、培養したヒト細胞の「細胞年齢」が若返る――米テキサス大学オースティン校などの研究チームが報告した実験結果が注目を集めている。
研究者らはヒトの血管・皮膚など多様な細胞を培養し、ごく微量のLSDやシロシビン、DMTなど計5種のサイケデリックを7日間投与。その後、DNAの化学的変化から生物学的年齢を推定する“エピジェネティック・クロック”を測定したところ、いずれの細胞でも平均で1年半~2年分に相当する老化マーカーの若返りが確認された。染色体末端のテロメア短縮も抑制され、炎症や酸化ストレスに関わる遺伝子発現が沈静化する傾向も見られたという。
サイケデリックは脳神経の可塑性を高める作用が知られているが、今回の結果は中枢神経系以外の組織でも“アンチエイジング”効果が示唆された点で画期的だ。一方で実験はあくまでも培養細胞を用いた初期段階の検証に過ぎず、ヒトへの臨床応用には適切な投与量の設定や長期的安全性の確認といったハードルが残る。研究チームは「サプリ感覚での使用は時期尚早」としながらも、老化関連疾患の治療や予防に新たな可能性をもたらすとして、動物実験や初期臨床へ研究を拡大する方針を示している。近年、欧米ではPTSDや難治性うつの治療薬としてサイケデリックの医療利用が法制化に向け前進しているが、加齢制御という全く新しい応用先が浮上したことで、規制と倫理を巡る議論はいっそう活発になりそうだ。
参考記事:Psilocybin Boosts Cell Lifespan and Survival in Mice | Technology Networks


